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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
184/344

-Episode73-

「優奈っ!?」

 突然現れた僕の妹に、僕は驚かずにはいられなかった。

「お、お兄ちゃんだ! よかった……! やっと見つけた!」

 優奈は嬉しそうに僕に抱き着いてくる。

「うわっ、っと、と……」

 急に抱き着かれ、僕はよろめく。どうして彼女がここに? 疑問は尽きないが、とりあえず優奈が無事でよかった。

「こんなところまでよく来れたな……あの黒い奴等はどうやって対処したんだ?」

 迅は当然とも言える疑問を優奈に尋ねた。

「え、えっと……私、必死で。気が付いたら目の前にお兄ちゃんがいたんです」

 どうやら、優奈は無意識の内に裏通りに来て、ここまでたどり着いたらしい。聞いた話だと、優奈の魔法は雷だそうだ。確かにさっきまで聞こえていた雷鳴は聞こえない。

「つまり、無意識の内に魔法を使っていたってことか……なんだかすごいな。無意識で黒い奴等を退けるだけの魔法なんだろ?」

 迅は半信半疑ではあるものの感心した様子で優奈に笑顔を見せていた。

「あ、そ、そうだ! お兄ちゃん! 怜さんが数日前から家に帰ってこないの!」

 迅にすごいと言われ少しはにかんだ優奈は、本来の用事を思い出したらしく慌てて僕に話しかけた。

「怜が家に帰ってこない……?」

 僕の記憶では僕が攫われたときに怜が駆け出していったことまでしか覚えていない。数日前までは怜は家に帰っていたのか? 数日前……まぁ、僕が攫われた日も数日前と言えば数日前だからな。

「お兄ちゃんも怜さんも帰ってこないから、私怖くて……!」

 そういえば、怜に聞いた話、強い感情が働くと魔法が発動してしまうことがあるらしい。今回がそのいい例だ。優奈は無意識に魔法を使っていたと言っていた。おそらく優奈が感じた恐怖が、黒い異形に雷を食らわせたのだろう。

「それはそれとして……なぁ優奈ちゃん、どうやってこの結界を破ったんだ?」

 迅は躊躇うことなく質問を続ける。僕の妹が質問攻めに受けているのはなんだか苛立ってくるが、この質問は僕も聞きたいことだったので、あまり深く突っ込むことはできない。

「え? 結界なんてあったんですか?」

 優奈はどうやら何も分からずに結界を突破したようだ。無意識の内に結界を破壊したのか……? いや、そんなことは……。そういえば、迅も簡単に入ることはできていたな。もしかして、入るのは簡単で出ることは難しいのだろうか。

「もし、これで優奈まで出れないなんてなったら……」

 僕は少し不安になりながら、優奈のことを心配する。とりあえず結界の状態を確認しようと、僕は結界のある場所に向かった。

「うーん……結界は残っている……やっぱり入ることはできても出ることができないとかなのかなぁ……」

 僕がそんなことを疑問に思っていると、優奈が僕のもとにやってきた。

「お兄ちゃん、そこに何かあるの?」

 どうやら優奈には結界が見えていないらしい。……もしかして、呪いを受けていないから、これが見えていない? つまり、

「優奈、外に黒いのがたくさんいるのが分かる?」

 僕は優奈に質問をしてみる。優奈は頷いた。そしてやはりと言うべきかその黒い異形のことを怖がっているようだ。どうやらこの黒い異形は杣の呪いとは関係ないらしい。

「優奈、ここにあるものに触れる?」

 僕は結界を引っ張り、優奈の方へ差し出した。

「ここ?」

 優奈は手探りで僕の手のあたりをまさぐった。その様子を観察していると、優奈の手が結界を通り抜けていることが分かった。

「杣に呪いを受けていないと、結界も効果を発揮しないのか……」

 僕は納得したように頷き、迅にそのことを伝える。

「――へぇ、そうなのか……つまり、俺たちは杣からの呪いを受けているということなのか。杣の呪い、魔法より便利だな」

 迅は優奈の登場により少し光明が見えたのか、少し明るい口調で言った。

「別に利便性があるわけじゃないけど」

 唐突に、その声は聞こえてきた。

「杣……!?」

 小雨になった雨音とともに、杣は少し服を濡らしながら現れた。

「杣、今までどこにいたんだ?」

 迅は杣を心配するような口調で杣に言う。雨に濡れ、空が暗いせいで、彼女の表情はよく分からない。

「用事が長引いてね……とりあえず、今までこっちに来れなくてごめん」

 杣は頭を下げ、謝罪した。

「あ、いや……いいよ。それより――」

 そこまで言ったとき、急に杣の表情が変わったかのように見えた。

「――優奈!?」

 彼女は僕の妹の名を呼んだ。

「え? ……ぁ」

 優奈は呼ばれて顔を上げると、急に何か恐怖の対象を見たかのように、僕の腕にしがみついた。

「そ、杣、どうしたの? それに優奈も……」

 僕が戸惑いながら杣と優奈に視線を交互にやると、

「お兄ちゃん……あの人、私を襲おうとした人だ」

 優奈の口から、信じられない言葉が出てきた。優奈が、杣を襲った……? 思い出されるのは、僕が優奈を探すことになった、あの出来事。そのとき、切なそうな目で僕を見る杣の姿を僕は見た。

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