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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
168/344

-Episode57-

 最初に杣の家に向かうことになった僕達だが、僕も怜も杣の家の場所を知らないことに気付く。裏通りに先に向かってもいいのだが、あそこにはあんまりいい思い出がない。出来ればそこには行きたくないのだ。

「迅なら何か知ってるかな?」

 迅も杣を探していたみたいだし、彼らは付き合っているのだから、互いの家の位置ぐらいは把握しているだろう。もしかしたらこの携帯電話に迅の連絡先がないかと思い、携帯電話の電話帳の部分を適当に探してみる。誰だかよく分からない名前が並ぶ中、迅という名前の隣にハートマークが描かれたものを見つけた。杣がこんなことをするとは到底思えなかったが、とりあえずこれが迅の連絡先なのだろう。僕はその連絡先に電話をかけてみる。暫くコール音が鳴り響いた後、

「――もしもし?」

 まるで初対面の人と接するような声で、迅が電話に出てきた。

「もしもし? 僕――えっと、朔だけど。今時間あるかな?」

 僕の声を聴くと、迅は少しだけ電話の向こうで沈黙してから、

「あ、あぁ。時間ならあるぞ。今杣と舞を探しているんだが、見つからなくてな」

 どうやら迅も杣を、そして舞も探しているらしい。その一言で僕は舞の足止めをしてくれたことを思い出し、一言お礼を言う。

「あ、あー。それか。実は、俺は特に何もしてないんだよな」

 少し苦笑いをしながら、迅は僕と別れた後の出来事を話してくれた。舞が僕たちを追ってこなかった理由、それは刀祢が舞を襲撃したかららしい。その後舞と刀祢は二人とも飛びながらどこかへ行ってしまったらしく、その後の二人の行方は分からないそうだ。あれだけの騒ぎを起こせば、誰かが気になってやってくるような気もしていたが、まさか刀祢がやってきていたとは。もしかして、水蒸気の霧のおかげで、怜の方は見つからなかったのだろうか。怜も刀祢を凍らせてはいたから、見つかっていたら間違いなく襲われていただろうし。……こう考えてみると、怜っていろんな人から狙われているなぁ。

「ねぇ迅、杣さんの家の場所って分かる?」

 僕は迅に僕も杣を探していることと、杣のいそうな場所として杣の家、裏通り、迅の家が候補に挙がっていることを話し、杣の家の場所を尋ねた。すると、

「あぁ、場所は分かるが……杣の家と俺の家はもう俺が探した後だからなぁ。俺の勘でしかないが、杣は多分裏通りにいるんだと思う」

 迅が既に僕の挙げた候補の内二つを探索していたことが分かった。残るは裏通りしかないのか。……裏通り自体はどこからでも入れる。それ故に、裏通りはとても広大なのだ。それに、あの黒い異形が裏通りには存在している。危険度は極めて高い。

「でも、そこにしか手がかりがないなら、そこに行くしかないんじゃない? ことわざにも虎穴に入らずんば虎児を得ずってあるし」

 僕の表情から状況を察したらしい怜が、一つ提案をしてきた。よくもまぁ僕の表情からそこまで読み取れるな、と変に感心しながら、僕は怜の提案について考えてみる。別に杣が今回の優奈誘拐の犯人と決まっている訳ではない。しかし、僕が誘拐された状況や、裏通りの薄暗さなどから考えて、たとえ杣が犯人でなくとも、誘拐犯は裏通りに潜伏しているような気がする。だとすれば、答えは一つだ。

「よし、僕は裏通りに行くよ」

 僕は迅と怜に決意を表明する形で言った。

「分かった。俺も裏通りに向かう。……せっかくだから、合流しておくか? そうだな、学校の前でいいか?」

 迅はどうやら学校の近くにいるらしい。少し時間がかかるかもしれないが、目印となる建物としては学校というのはいい選択だと思う。僕は迅の提案に賛成し、ひとまず学校を目指すことにした。

 徒歩で向かう気だった僕を怜は引き留め、彼女は彼女の魔法を利用した水のボートで車のようなスピードで学校まで飛んで行った。途中僕が振り落されそうになった……というか振り落されたのだが、そのときにはすでに僕たちは学校に到着していた。

「大丈夫か……?」

 上空から落ちてきた僕に、迅は声をかけてきた。怜の水クッションのおかげで傷はないが、またびしょ濡れになってしまった。夏だから乾くのは早いが、だからといって毎度こんな目に遭っていては風をひいてしまう。そんなことを考えた途端、僕のびしょ濡れになっていた服が、急に乾燥した。

「風邪、ひかないように、です……」

 迅の後ろにずっと隠れていたらしい弥奈が、虹魔法を使って僕の服を乾燥させてくれたらしい。弥奈が一緒だと、なんだか急に安心できてしまう。おそらく彼女の虹魔法に関連しているのだろう。

「よし、行くか」

 迅は、学校のすぐ近くにある細い道から、裏通りに入り始めた。僕は怜がこちらに戻ってくるのを待ってから、迅の後に続いた。

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