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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
167/344

-Episode56-

「うーん……朔君の言った通り、誰かに誘拐されたっていう線は正しいと思うけれど、それだとついさっき朔君の聞いた優奈ちゃんの声に説明がつかないからなぁ」

 怜は僕の話を真面目に考えてくれ、悩んでいた。しかし、彼女はそれ以上に別のことが気になっているようにも見える。怜は僕の表情から僕の考えていることを読み取れるみたいだが、僕もなんとなく怜の表情からある程度の情報を手に入れることが出来るようになったようだ。

「僕はあんまり詳しくないから分からないけど、魔法で瞬間移動とかは出来ないのかな? それで優奈を連れ去ったとか……」

 僕の仮説を、怜は少し長めに考えた後、

「可能性はないわけじゃないけど、私が今まで見てきた魔法の中には、瞬間移動の出来る魔法はなかったかなぁ」

 そんな結論を出した。怜が見たことないのだから、僕がそんな魔法を見たことなんて当然――。

「あ、あった」

 僕は瞬間移動に近い魔法を持つ一人の少女のことを思い出した。しかし、彼女がそんなことをするとは思えない。まぁ、彼女と決まったわけじゃないし、そういう魔法があるということが分かればいいのだ。

「影の魔法なら、影に潜んで誰かをさらうことが出来るんじゃないかな」

 僕はそういった後、杣の魔法について話した。怜は暫く僕の話を黙っていたが、時折首を傾げては何かを考えるように上を眺めていた。大体の概要を話し終えた後で、怜に何か質問があるか尋ねると、

「ねぇ朔君、その魔法って影を操ってるのかな?」

 すぐに怜は質問をしてきた。あまり深く考えたことはなかったが、きっとそうなのだろう。僕が頷くと、怜はすぐさま次の質問をする。

「じゃあ朔君、私の水の魔法で紙を燃やすことはできると思う?」

 質問の意図が分からなかったが、とりあえず僕は自分の意見を答える。

「それは無理じゃないかな。むしろ火を消しそうだし」

 その質問の後、怜は一つの結論に行きついたようで、彼女は無意識に組んでいた腕を解いた。

「朔君、多分、その影の魔法――それは、魔法じゃないよ」

 僕には、怜の言っている意味がすぐには分からなかった。

「え? でも、現実には起こりえないことだし――」

 僕の言葉を、怜は遮って言う。

「勿論、私の魔法とか、舞の魔法とかは、一見すると現実ではありえないようなことをしてるように見えるんだよ。でも、朔君の話からすると、私の魔法と、杣の魔法みたいなものには、決定的な違いがあるの」

 そこから、怜の解説のようなものが始まった。

「――つまり、私たちが使っている魔法は、少なくともその物質を使って起こりうる出来事しか、起こすことが出来ないんだよ」

 怜は色々と具体例を示しながら、説明をしてくれた。先ほどの説明の時は、彼女の水魔法は水の本来持つ性質外のこと、例えば火を起こしたり、電流を発生させたり、強風を発生させたりはできない、なんてことを示してくれた。

「だから、杣の魔法――影の魔法は、どう考えてもただの影には出来ないことをしているの。影の中に身を潜めるなんて、不可能なんだよ」

 怜の説明に、僕はただ頷いて話を聞くことしかできなかった。魔法の存在自体が突飛なものなので、別に影の中に入れてもいいものだと思っていた。どうやら魔法というのはそんな曖昧なものではなく、明確なルールに則って存在しているみたいだ。

「じゃあ、杣の使っているものって一体……?」

 僕がそんなことを呟いたが、怜はそれに反応はせず、

「そんなことより」

 と言って今までの話題を全て打ち切ってしまった。

「早くしないと舞がここに来るよ? 多分ここに優奈ちゃんはいないし、優奈ちゃんを探しに行かないと」

 怜の言葉で、僕は先ほど起きた出来事について思い出す。全く追ってくる気配がなかったことと、優奈の出来事によるパニックで、舞のことを忘れていた。説明のせいで大分時間が経過してしまったし、もしかしたら僕の家の近くまで来ているかもしれない。

「分かった、優奈を探しに行こう。どこに行けばいいかな?」

 僕は自分でも考えを巡らせながら、優奈のいそうな場所を考える。ただ、僕が思いつけるのは杣の魔法、いや魔法ではない何かについてのことだけ。そうなるとやはり僕が候補として挙げられるのは、杣の家、迅の家、裏通りしかない。

「うーん、朔君の言ってた杣がなんだか怪しい気がするなぁ。少なくとも無関係ではなさそうな気がするんだよなぁ」

 怜はそんなことを呟いていた。どうしてと聞くと、ただ一言、勘だよ、と回答した。女の勘とかいうやつだろうか。そういうものに頼るのはどうかとは思うが、一つの指標にはなる。僕はまず、杣の家に向かうことを提案し、そこに優奈が居ないなら裏通り、そこにもいないなら迅の家に行こうと言った。怜も特に反論はなく、こうして僕たちの優奈捜索は開始したのだった。

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