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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
165/344

-Episode54-

「ちょ、ちょっと朔君! さすがにそれはやられすぎじゃないのかな!?」

 早くゲームセンターを去りたい一心で、僕はあえてド下手なプレイでゲームをしていく。おかげで怜も少しずつ苦戦し始め、ダメージを負っていくようになった。

「ご、ごめん、僕あんまりこういうの苦手で……」

 苦手というのは嘘ではない。まぁ今のプレイはわざと特攻してやられたのだけれども。ちなみに顔を見られると表情から僕の真意を読み取られてしまうので、僕はそれを防ぐために迅からハンカチを借りて、顔を隠している。顔を隠し始めた時は怜に訝しげな顔をされたが、顔を真っ赤にさせながら僕の恥ずかしい黒歴史を熱弁してみたら、少し可哀想な視線を向けられたのちにそれ以上の追及はされなくなった。なんだか大切なものを一つ失った気がするが、安全の方が優先されるのは当然だ。ふと、そんなことを考えていると、怜がゲームオーバーになっていた。僕は安堵した気持ちをなるべく表に出さないようにしながら、

「あー、終わっちゃったかー。まぁ、僕は十分楽しめたから、今日はこの辺にして帰ろ――」

 ふと、怜がどこから取り出したのか、僕の財布を手に持って、そこから百円玉をゲーム機に投入しようとしていた。

「な、何してんの!? それ僕のお金だし!」

 ギリギリで怜のコイン投入を妨害し、財布を返してもらう。

「ま、まだ終わってないよ! ここからノーミスプレイできればまだ得!」

 怜は少し慌てながら答える。僕の表情が隠れているから、いつもの余裕そうな表情は見えない。

「いや、だからって僕のお金を使うのはおかしくない!? それに今日は下見が目的なの! ほら、明後日もう一回行くから! そのときでいいんじゃないかな?」

 怜なら実際にノーミスプレイしてしまいそうだから怖い。僕は様々な言い訳でプレイを続行しようとする怜に対し、なんとか時間を稼いで、コンティニュー不可能になるまで待つ。

「……あっ! あー……」

 怜は小さな叫び声を上げた後、ひどく残念そうに肩を下ろした。そんな彼女を見ているとなんだか心苦しくなってくるが、僕はあえてそろそろ帰ろうと言う。

「――うー……うん……」

 ゲームをクリアできなかったことが余程響いたのか、意外とあっさり僕の提案に従ってくれた。僕はほっと胸を撫で下ろし、二人でゲームセンターを後にする。

「あ、最後にクレーンゲーム……」

 怜は入口付近で見つけたクレーンゲーム機に反応し、やりたそうにその機会を見つめる。罪悪感を感じていた僕は一瞬彼女の言葉に従ってクレーンゲームをやりそうになったが、心を鬼にして、

「今日はもう終わりにしよう。また来たときには絶対やるから……ね?」

 僕の言葉に、怜はしゅんとしながら頷いた。僕の表情が見えていないとここまで余裕をなくすのか。むしろ僕の考えていることが分かるからこそ、あそこまで余裕ある行動を取れているのか? そんなことを思っていると、入口の方から声をかけられた。

「別にやらせてあげればいいじゃない」

 今、一番聞きたくなかった声が、僕の耳に入る。反射的に僕はそちらを見、赤いポニーテールを目撃した。

「舞……!」

 僕はポケットに手を入れ、魔法瓶を構える。いざという時は、これを使って逃げる。

「随分警戒してるのね? まぁそりゃそうよね。あんたを誘拐したんだし」

 舞は僕に特に興味を示さずに言う。僕が警戒しているのは僕自身のことではなくて怜のことなのだが。僕が舞の言葉を聞いたとき、杣の呪いで舞には見えていないはずだったから。――そういえば、いつの間に呪いは解除されていたのだろう? 呪いがかかっている間は空が真っ黒になっているから、解除されたタイミングはすごく分かりやすいと思うのだが……。駄目だ、どうもいつ解除されたかが思い出せない。

「今回はあんたに危害を加えるつもりなんてないわ。だから安心して」

 舞は肩をすくめて言う。――僕には危害を加えなくても、僕以外の誰かに危害を加える気はある、ということなのか? そこまで思考を巡らせたとき、後ろから少しだけ冷たい空気が漂ってくるのを感じた。

「――今、朔君を誘拐したって言った?」

 振り向くと、目の据わった怜が、舞をじっと睨んでいた。その目にはあからさまな敵意がにじみ出ていて、思わず僕は一歩退いてしまう。

「ええ、言ったわ」

 まるで挑発をするように、舞は言った。その瞬間、舞の足場から氷の棘のようなものが何発も飛び出してくる。舞はそれを予期していたのか、炎をまるでジェット機のように噴射させて避ける。周囲に人影がないのが救いか。誰も怪我をしないから。

「れ、怜、僕は大丈夫だから」

 しかしこれ以上騒ぎが広がれば怪我人が続出するに違いない。怜へ説得を試みると、怜は僕にトウワタのような笑みを見せた。

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