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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
164/344

-Episode53-

「杣に会った……? どこで?」

 迅は少し驚いたような顔をして尋ねる。

「裏通りだよ。ところで、杣の携帯電話ってどんなデザインだったか分かる?」

 質問の仕方としてはなんだか不自然な気がしたが、僕は迅のメールが届いていないことが気になっていた。…いや、もしかしたらあのメールを送ったのが迅かもしれないという可能性はあるんだけど。

「デザイン? なんで今そんな質問を……まぁ、いいか。杣の携帯は割とシンプルなデザインでさ。俺が別のデザインの機種に買い替えてみるか? って聞いたんだが、別にいいって断られたから、よく覚えてる。白黒のチェック模様だったな」

 迅はできるだけ明確にデザインについて教えてくれた。僕はお礼を言い、せっかくなので僕の身の回りで起きた変わったこと――優奈がやっとネギ料理以外の料理を作ってくれるようになったこと、怜の新しい一面を発見したこと――を話した。迅は僕の話したことが思っていたことと違っていたらしく、微妙な笑顔で僕の話を聞いていた。それにしても、杣の使っている携帯電話は、僕の持っているこれではないのか。なら僕にそれをあげたのも納得できる。が、ではなぜ杣は使わないこの携帯電話を持っていたのだろうか? 予備だとしても、迅の話からあんまりこういうかわいいデザインの携帯電話は杣が進んで買いそうにない。だれかから、例えば迅からの贈り物なのだろうか? しかし、断られた迅以外に杣へ携帯電話を買い与えそうな人は思いつかない。

「なぁ朔、裏通りで杣は何をしてたんだ?」

 迅が、三つ目の質問をしてきた。僕は少し返答に困ったが、よく分からないと回答した。……ふとエアホッケー台の方へ目を向け、怜の安全を確認する。まだゴル先輩と楽しくやっているようで、僕は少し安心する。

「……朔? さっきから何を心配しているんだ?」

 ふと、迅が僕の様子を見て四つ目の質問をしてくる。彼に舞のことについて話すべきだろうか。下手に彼を巻き込んで危険な目に遭わせたくはない。しかし、迅は僕にとって数少ない、というか唯一かもしれない友人なのだ。もし彼が協力してくれるなら、これ以上嬉しいことはない。

「少し、事情があってね……詳しくは話せないけど、ここにずっといると、僕達が危険な目に遭うかもしれないんだ」

 舞に関する情報は伏せ、僕は迅に状況を説明する。ゲームセンターの中に危険な人物がいること、その人と鉢合わせするともしかしたらゲームセンターの中にいる人たちに危害が及ぶかもしれないということ、その人物が今ゲームセンター内のどこにいるか分からないことを話す。

「……ふーん。だからここから早く立ち去ろうってことか」

 迅は納得したような表情で頷く。少し僕を気遣うように笑顔を見せ、彼は立ち上がった。なんとなく、彼には舞のことを感づかれたような気がする。

「よし、じゃあ俺はゴル先輩をなんとか説得するよ。朔は怜さんをよろしく頼む」

 迅はそう言って、ゴル先輩の方へ向かっていった。僕は怜の説得をしなくちゃいけないのか……まぁ、二、三個ゲームをプレイすれば怜は楽しんで帰ってもいいと言ってくれると思うから、それぐらいの時間はここにいてもいいかもしれない。

「え? 何? 朔君、一緒にゲームしてくれるの!? やったぁ!」

 怜はエアホッケーを終えた後、僕の提案にすぐ乗ってくれた。エアホッケーの点数は互いに0点。二人の攻防がなんとなくイメージできてしまう。

「じゃあ最初はクレーンゲームがしたい!」

 怜はクレーンゲームの方を指差す。……いや、ここのゲーセンは難易度が高すぎるから、普通の人はクレーンゲームなんてしないんだけど……それに、今日はそんなにお金を持ってきてないし。

「えー……まぁ、お金がないなら仕方ないかぁ……。じゃ、これやりたい!」

 お金のないことを怜に伝えると、怜はしぶしぶ納得してくれた。そして彼女が指差したのは、いわゆるガンシューティング系のゲームだった。僕はあんまりこういうホラーテイストのゲームは好きじゃないんだけど……。まぁ、怜が楽しんでくれるならいいかな。

「う、うわぁぁぁぁああぁ! 来るな! いや来ないで! あぁごめんなさいすいませんもう二度と撃ちません! あ、うわぁあ! あ、怜、ありがと……」

 僕は半狂乱になりながら、ゲームをプレイしていた。怜はいつこんな所に通っていたのか、僕は何度も即死してゲームオーバー画面が映るのに、怜の方は全くの無傷、かつ僕を助けに戻っては確実に救助してくれるというとんでもない腕前を披露していた。

「このゲーム、救助にコストがかからないのがいいよね。朔君のことだから、きっと何回もやられちゃうって思ってたから」

 余裕なのか、雑談をしながら怜は敵を倒していく。二、三個のゲームでは、もしかして半日くらいつぶれるんじゃないだろうか? そんな不安を抱きながら、ゲームを続けることにした。

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