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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
157/344

-Episode46-

「な、なんで……!?」

 舞は信じられないと言った様子で地面に膝を付いていた。僕も今見ている光景が信じられない。僕はあの爆発からてっきり杣が大怪我を負っているものだと思ったのだが、杣自体は無傷だった。反対に、舞の方が大怪我ではないもののいくつかの切り傷を負っている。

「さ、朔君、何があったの!?」

 状況を把握しきれていない怜が、僕に話しかける。少し前なら状況の説明ができたかもしれないが、今見せられた光景にちょっと状況が混乱してきているような気がした。

「……やっぱり、怜には見えてるみたいだね」

 杣は小さく溜息を吐いた。……どうやら、怜には僕にかけられた呪いが効かないことをなんとなく予想できていたみたいだ。

「ね、ねぇ、何が起こったの?」

 僕は恐る恐る杣に聞いてみる。杣はその質問には答えず、

「とりあえず、これで一段落、かな……」

 と溜息を吐きながら大きく息を吐き、ゆっくりと影の中に入って行った。

「え、ちょっと待ってよ!」

 僕が制止するも、彼女はちらとこちらを見ただけで、そこから出てくることはなかった。残されたのは、洞窟の中に入って行った僕たちと、洞窟の中で膝を付いている舞だけだった。舞は少し放心していて、僕が近づいて呼びかけても返事さえしない。

「この人、舞だっけ……? 何してたんだろう?」

 怜は不思議そうに彼女の顔を見つめていた。まさか怜を殺そうとしていたなんて言えない。

「うーん、杣と舞で魔法の実験をするとかなんとか言ってたけど、失敗しちゃったみたいで……」

 僕は咄嗟に思いついた嘘を言ってごまかす。

「魔法の実験かぁ……炎と影って、なんだか不思議な組み合わせだね」

 怜は僕の嘘を疑うことなくすんなりと受け入れた。そして、僕はこれからのことを考える。舞をこんな場所に一人置いていくことは、僕の良心が許せない。病院に電話でもして彼女を病院に送ってもらおうか……。僕が携帯電話を取り出すと、

「あ、それ何!? うわー、携帯電話だ! しかも朔君の携帯電話すごく女の子みたいなデザイン! あ、可愛いストラップまでついてる!」

 怜にそれを奪われてしまった。元々はそれ僕のじゃないのに、まるで僕がそれを買ったかのような口調で言ってくる。

「ちょ、ちょっと怜! 今から119番通報するんだから返してよ!」

 僕は怜から携帯電話を取り返そうと必死で動く。

「えへへー、返してほしいなら私に追いついてみなさい!」

 怜は変にテンションが上がってしまったのか、その場から逃げるように走り出した。もちろん、携帯電話を持って。

「あーもう! 変なところでふざけなくていいよ!」

 僕は慌てて怜を追いかけ、携帯電話を必死で取り返した。

 その後、怜から携帯電話を取り返したのは、怜が逃げ出してから三分後だった。真面目に話をしている内に、怜も少し状況を理解したらしい。そもそも、舞が放心状態になっている時点でふざけられるような状況ではないことを理解してほしいものだが……。

「さて、電話をしないと……あれ?」

 僕が携帯電話を開きながら洞窟に戻ってきたとき、そこに舞の姿はなかった。彼女はどこへ行ったのだろう? 重症ではなかったし、放心状態でなければすぐに動けそうではあったけれど……。少なくともさっき怜が入ってきたことを確認していたのだし、もしかしたら怜の元へ向かったのかも――。

「朔君、舞はどこに行ったの?」

 ふと、後ろから怜の声がする。……近くに舞の姿はない。どうやら、怜の元へ向かったわけではないようだ。ではどこに? 

「ねぇ朔君、とりあえず帰らない? 夜も更けてきたし……」

 怜がそんなことを言って、僕は空がずっと真っ暗であることを思い出した。僕にかけられた呪いのせいで、時間感覚がおかしくなっている。

「分かった。とりあえず帰ろうか」

 優奈も心配しているに違いない。早く彼女を安心させようと、僕は怜と一緒に帰宅することにした。途中、僕が攫われた理由について、少し脚色しながら説明しておいた。

「ふーん、魔法実験の実験台としてねぇ。危ない実験だったの?」

 怜は僕のことを心配して言う。

「僕自身に身の危険は及ばないんだけど……ほら、さっきみたいに舞が放心状態になっちゃったり……」

 僕はさっきの状況をうまく利用して嘘を吐く。一回嘘を吐いてしまうと、それにどんどん嘘を重ねていかなくてはならないので、少しつらい。

「ならいいんだけど……んー、それだったら普通に頼み込んでやってもらえばいいのにねぇ、何も攫わなくても」

 確かに怜の言うとおりだ。

「ま、まぁそれはあれだよ。あんまり実験が安全性の保証されるものじゃなかったからさ」

 なんだかよく分からないことを言っている気がする。

「ふーん……ま、いいか」

 疑わしい視線を向けつつも、怜はこれ以上の追及をしてこなかった。

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