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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
155/344

-Episode44-

「魔法じゃなくて、呪いなの? 僕はてっきり魔法だと思ってたんだけど」

 実際、さっき杣に言われるまで、僕はこの現象は魔法によるものだと思い込んでいた。

「あえて言うなら呪い、っていうだけだけど……魔法じゃないのは確かだよ」

 杣は少し訂正を加えて言う。僕としてはこれが魔法じゃない方が奇妙に思えるのだけれど……。本題はそこではないので、とりあえずその質問は置いておくことにする。

「えっと、じゃあこの呪いをかけた理由とか……教えて欲しいんだけど……」

 さっきから質問ばかりで、なんとなく申し訳ないという気持ちを抱きながら僕は杣に頼んでみる。

「いくらか理由はあるけど……大まかな理由の一つは、朔君が舞に見つからないようにするためというのがあるかな」

 杣は嫌そうな顔をせず質問に答えてくれた。確かに猫のいた場所では、杣の呪いのおかげで舞に見つからずに済んだ。呪い、と聞くと少し物騒な響きがするが、別にそこまで害のあるものではなさそうだ。

「あと、この呪いには呪いにかかった人の位置を私がある程度特定できるっていうものがあるの。それも理由の一部ではあるかな」

 僕の位置を知っておくことに何か得でもあるのだろうか? と杣の二つ目の理由に疑問は持ったが、杣はまだ何かを話そうとしていたし、これ以上の質問はなんだか杣に失礼な気がして、聞くような気分にはなれなかった。

「……まぁ、舞の方はまだ大丈夫だとして、そろそろ日も暮れ始めるし、この裏通りからは抜け出した方がいいかもね」

 どうやら、理由の説明は終わってしまっていたらしい。その点に関しては質問のタイミングを逃したのは自分なので何も言えないが、僕はどうしても気になることを失礼を承知で質問させてもらう。

「もう日は暮れているんじゃないの? ほら、空だってこんなに真っ暗だし」

 僕は空を指差して言う。雲も月明かりも星も見えない空が、裏通りの上に広がっている。杣はどう説明したらいいか迷ったように一瞬視線を逸らし、すぐに僕の方を向いて答えた。

「呪いにかかった人と、その呪いにかからない人は、ある一定範囲から外が真っ暗に見えるの。その範囲内で呪いが作用しているからそうなるんだけどね。あり得ない話だけれど、その範囲の外から出られれば、呪いの効果は発動しないよ」

 どうやら呪いのせいで僕は現在の大まかな時刻さえ分からなくなってしまったらしい。ふと、杣が僕に何かを手渡してきた。杣のイメージからはかけ離れている、可愛らしいデザインの携帯電話だ。ピンクの猫のストラップまで付いている。

「これ、私には必要のないものだから。時間の確認とか、誰かへの連絡用に使うといいんじゃないかな」

 そんなこと言われても、僕がこんなものを使っているのを身近な誰かに見られでもしたら、恥ずかしすぎてもう外を出歩けなくな――あ、今は僕の姿は誰にも見えないのか。なら問題はない。ないはずだ。

「さて、多分朔君は道順が分からないよね? はぐれないように付いて来て」

 杣はそう言って、足早に広場を去っていく。僕は慌てて携帯電話をポケットにしまうと、杣の後を付いて行った。

「で、出れた……!」

 僕は久しぶりに見た外の景色に、妙な感動を覚える。移動中に携帯電話で日時を確認したら、僕たちが山登りをした日から、二日程の時間が経過している。もしかしたら怜や優奈辺りが僕を探しに町中を駆けまわっているのではないだろうか?

「……その線は薄いと思うよ。私が保険をかけておいたから」

 僕の思っていたことは、あっさりと杣に読まれ、否定されてしまった。保険、とはどういうことなのだろうか。

「とりあえず私は舞の元に向かうけど、朔君はどうする?」

 杣の質問に、僕はこれからの予定を考え始めた。姿が見えないということは僕自身の家に帰った所であまり意味が無いように思える。ならば、今やるべきことを最優先させるべきだ。

「僕も付いていくよ。舞さんを止めないと」

 僕は大きく頷いて答えた。杣は淡白な返事でそれに応答し、どうやら舞の居場所へと歩き始めた。ふと、杣が小さく何かを呟くのが聞こえる。

「――変わらないんだね――」

 何が変わらないんだろう? その前後はよく聞き取れなくて、僕はやきもきしてしまう。しかし杣は今の言葉を聞かれたと思っていないのか、それとも答える気がないのか、それ以降は何も言わずにゆっくりと僕の前を歩いていた。

 ふと、杣と一緒に歩いて数十分が経過すると、僕たちは階段の前に立っていた。神社の階段だ。僕がもともと山登りで登るであろうと思っていた場所であり、この場所で夏祭りが行われる予定の場所でもある。

「この奥に、舞はいるはずだよ」

 そう言うと、舞は階段を一段一段登り始めた。階段の多さに少し戸惑いつつも、僕は杣の後に続いて階段を上って行った。

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