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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
148/344

-Episode37-

「う、うーん……まぁ、大丈夫かなぁ?」

 僕は優奈の安全を考えながら、優奈の一緒に山に行きたいという提案について考える。おそらく怜が登ろうと言っている山は神社のある山のことだろう。神社までなら階段もあるしそこまで危険という訳ではない。ただ、怜が登ろうと言っているのはおそらくその先、神社の先にある山道のことだろう。あの山の頂上に神社の御神体があるらしく、かなり昔はその頂上に神社があったらしいが、そこに行くのにかなり苦労させられるということもあり、今はふもとに近くなっている。

「道は整備されてるし、問題ないんじゃないかな?」

 怜は僕たちの会話を聞いていたらしく、そして優奈の同行に賛成らしい。

「うーん……明日のうちに色々と準備しておこう」

 優奈だけじゃなく、僕たちの安全も考えて、虫よけスプレーや鈴、タオルや飲み物を明日買っておくことにしよう。別に神社の道は数少ない観光客が登るので、そこまで本格的な登山用品は必要ないはずだ。

「そうだ! 明日いろんな人も誘ってみんなで登ってみようよ!」

 怜が急にそんなことを提案する。まぁ僕も大人数で登った方が楽しいとは思う。大体そういうときは僕だけなんか妙な距離を取られてひとりぼっちになることがあるんだけど。

「安心して朔君! 私は絶対朔君から離れないから!」

 妙に誇ったような顔をして、僕の考えを読んだ怜が言う。正直色々と面倒そうではあるが、まぁ一人寂しく山を登るよりはましか。

「じゃあ僕は明日登山に必要なものでも買ってくるよ」

 僕はそう言って、自分の部屋に戻って行った。

「なぁ朔、そんな状態で大丈夫なのか?」

 明後日、僕は迅にそんなことを言われた。僕の周りには、怜が誘ったと思われる迅と弥奈、そこに偶然やってきて無理やり参加を決め込んだらしいゴル先輩、そして僕の妹優奈がいる。――全員、謎の重装備で。

「まさか、ここまで本格的に山を登ろうとしているとは……」

 僕一人だけが観光客のような服を着ていて、なんだか疎外感を感じる。

「ふっ、朔よ、何事も本気で臨まねばいかんぞ!」

 ゴル先輩はそう言いながら僕の背中をバンバン叩く。……なんだこの人は。かなり馴れ馴れしい。迅はゴル先輩の方から思い切り視線を外している。きっとこの人が苦手なのだろう。僕もそうだ。この人とこれから登山をすることになるのか。なんだか気が滅入るなぁ……。

「さぁ、レッツゴー!」

 怜はもう登りたくて仕方がないのか、僕たちを急かしている。

「でも、このままじゃ、朔さん、が……」

 弥奈は心配そうに僕を見る。大体お察しの通り、このまま僕が登れば間違いなく僕の身に事故が起こる。

「靴とか予備もないからなぁ……」

 迅は腕を組んで考え込む。そういえば、迅の隣に杣がいない。そのことについて聞いてみると、

「あ、あぁ……。ちょっと用事があるとかで、今日は行けないらしい」

 事情は深く知らないようで、これ以上の情報は分からなかった。

「ふむ、実は舞も用事があるらしく、某が誘っても断られてしまったのだ」

 ゴル先輩はとても残念そうに言った。彼の誘いを断るとは、舞は大した人物だ。前もゴル先輩を護衛につけようとしていたし、彼をうまく操れているように思う。

「実は舞の為に持ってきた登山用の道具があるのだが、もしかしたらこれは運命かもしれんな!」

 ふと、ゴル先輩が彼の背負っているとんでもなく大きなカバンから、女性用らしい登山服を取り出した。

「え、こ、これ……着るの?」

 まぁ身の安全を考えれば着るべきなのだろうが、いかんせん女性用だ。見た目にそこまで大きな違いはなさそうだが、僕の心情的にそれはきつい。

「朔君、着ないときっと大変なことになっちゃうよ?」

 まるで僕を気遣うように言う怜だが、その顔は明らかににやけている。

「別に問題はないんじゃないか? 朔が一人だけここに残されるっていうのもきついし」

 迅は本当に僕を気遣いながら言う。なんだかこのままだと僕が着る流れになっている気がする。

「迅さんの、言うとおりだと、思います……」

 弥奈はそう言って、迅の後ろに隠れる。彼女と迅の間に何かあったのだろうか、弥奈は迅に割とべったりとしている。迅は少し困ったような顔を浮かべているが、別に彼女を引き剥がしたりはしない。まぁ迅は優しいし、そんなことはしないとは思うけれど。

「あ、足がきついんだけど……」

 その後、僕は僕以外満場一致でゴル先輩の持ってきた登山服を着る羽目になってしまった。服を着れない、という最悪な結果にならないだけましだったが、やはり女性用の服を着ているという事実がなんだか恥ずかしい。

「うーん、もうちょっと女性らしい服の方が楽しめそうなのになー」

 怜はちょっと残念そうに呟く。女装なんて絶対にしたくない。そんなやりとりをしながら、僕たちは登山を開始した。

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