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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
136/344

-Episode25-

「……妹?」

 僕はつい彼の言葉を反復してしまった。

「はい。僕には妹が一人いる、いえ、いたんです」

 彼は少し暗い表情をして言う。まぁ、さっきの言葉から察するに、彼はすでに妹をなくしているのだ。

「え、えっと……そう、ですか」

 そう言う弥奈の顔には、同情が見て取れた。まぁ僕も優奈を失ったらつらい。そう考えれば彼に同情はするし、もしできるから彼の力になりたい。

「えっと……ごめん、なさい」

 しかし、弥奈の口からは、はっきりと否定の言葉が出た。

「な、なんでですか!? 虹魔法使いなら、なんだってできるでしょう!?」

 刀祢は驚いた様子で叫ぶ。僕も驚いた様子を見せるが、なんとなくそうなることは心のどこかで分かっていた。

「死んだ人は……蘇らないんです」

 ゆっくりと、弥奈はその言葉を言った。迅は少し困ったような顔をして刀祢から視線を逸らす。舞は元々刀祢の方を向いていなかった。怜は何か考え込んでいるのか、俯いて下を向き、杣は刀祢の方をじっと見ている。

「そんな、それは……でも、だって……」

 刀祢はまだ心の底から納得できないでいるのか、僕たちを見回す。きっとここで誰かがそれは嘘だと言えば、彼はそちらを信じるのだろう。でも、虹魔法使いらしい弥奈がそれは出来ないと言えば、僕たちにできることなんて何もないし、そんなことで無駄な嘘を吐いて彼を余計に苦しめたくない。

「う、嘘ですよね……?」

 彼はまるで救いを失ったかのように、部屋をふらふらと歩き、弥奈にすがる。彼女は触れられたとき一瞬震えたが、すがられたままで、

「ごめんなさい……できません」

 もう一度、告げた。途端に、彼の中で、何かがはじけたような音が聞こえた。いや、聞こえた気がする。誰もその音に気付いていないからだ。僕だけに聞こえていたらしい。

「う、うぅ……」

 彼はその場にしゃがみこむ。ふと、彼の足元に、黒い何かが渦巻いているのが見えた。もしかしてこれも……?

「な、なんだこれ!?」

 ふと、迅が声を上げる。どうやら今度はみんなにも見えているらしい。

「これは、まさか……!」

 舞は、何かに気が付いたようで、そこに向かって炎を放とうとしていた。そこへすかさず怜が止めにかかる。

「何やってるの!? そんなことしたら今度こそ死んじゃうよ!」

 そうやっている間に、彼の足元にある黒い渦は彼を少しずつ覆って飲み込んでいく。

「え、ええと、なんとか、してみないと……!」

 弥奈は、魔法で彼の黒い渦を取り除こうとしたみたいだ。……が、なかなかうまくいっていないみたいだ。

「ど、どうして……!?」

 彼女自身も、驚いているようだ。

「……」

 ただ一人、杣だけが無言でその場に立っていた。しかし、それは、冷静であるというよりも……。

「何が、起きて……!?」

 僕と同じで、突然の出来事に何も出来ないでいるように見えた。

「う、ぐッ……ア、うぁ……!」

 刀祢の苦しむ声が、部屋の中にこだまする。部屋には別に反響するような仕組みがあったり、そういう構造が出来てたりはしない。なのに、どうして彼の声だけが反響しているのだろう。僕たちは結局何も出来ないまま、彼が黒い渦に飲み込まれていくのを見ているだけだった。その渦は彼を飲み込むと、すぐに消えてなくなってしまった。

「今のは、一体何だったんだ?」

 一足早く我に返った迅が、話題を切り出す。

「分からない。ただ、なんだかすごく危険なもののような気がしたよ」

 他のみんなに代わって、僕が彼の話題に答える。あの黒い渦、どこかで見たような気がする。いつ、どこかは分からないけれど。なんだか最近……駄目だ、それ以上考えると頭痛がする。

「私の、魔法でも、あれを、取り除くことが、できません、でした……本当に、何だったの、でしょう」

 弥奈も戸惑いを隠せないでいる。彼女は彼を助けられなかったことに負い目を感じているた、それでも、彼女は頑張ったと思う。僕と違い、彼女は彼を助けようと行動したのだから。

「渦、黒い……なんだっけ、何かひっかかるんだよね……」

 怜が、僕と同じようなところでひっかかりを覚えていた。あの黒い渦には何かあるのだろうか? これからあれについて調べてみようかな。

「……」

 杣は一言もしゃべらずに、ただ彼の消えた跡を除いていた。彼の周りに出てきた黒い渦にまだ驚いているのか、それとも全く別のことを考えていて、意識が他に向けられていないのか。と、それぞれが様々な反応を示す中、

「あれ……私、一度見たわ」

 と、舞が突然そんなことを言った。

「あれを見たって……、どこで!?」

 迅が、舞に尋ねる。舞は少し考えるように上を見上げると、

「裏通り……と言っても、分からないかしら。いいわ、連れて行く」

 そう言って、部屋を出ていく。つまり、付いて来い、ということだろうか。彼女はあれについて何かしっているようだし、僕は彼女についていくことにした。

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