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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
135/344

-Episode24-

「はー、い……って、迅? あ、舞さんもいた」

 ドアを開けると、前から順に迅、舞、杣がいた。途中で偶然出会いでもしたんだろうか。弥奈の姿が無いので聞いてみると、

「あ、あの、います……」

 ふと、迅の後ろから、弱々しくて途切れ途切れの声が聞こえてきた。聞き間違いでなければ、弥奈の声だろう。

「ご、ごめんなさい、気付かなくて……」

 僕は弥奈に謝罪する。怯えているのか、迅の服を掴んでいて離す気配もない。

「お兄ちゃんの友達?」

 食器を洗っていた優奈が、リビングから顔を出して言う。僕が優奈に応答している間に、舞は自分勝手に中に入って行った。僕が苦笑いをしている中、

「あー、朔、中に入ってもいいか?」

 迅が尋ねてくる。別に断る理由はないし、僕が呼んだんだけど……。舞にこうもぶしつけな態度を取られると、なんだか嫌な気分になる。

「うん、いいよ」

 迅達はそんなことをしないので安心だ。迅、弥奈、杣の順で家に上がり、二階に上がっていく。迅と杣って僕たちと違って本当のカップルなのに、どこか冷めた感じがあるよなぁ、なんてことを思いながら、三人の後に続いた。

「え、ええと……刀祢です、趣味は料……ひぃ!?」

 人が入りすぎて少し狭く感じる僕の部屋で、刀祢はなぜか脅されているような悲鳴を上げた。

「別に自己紹介とかいいのよ。最初に要件は話したでしょ? なんであたしたちを襲ったのかって」

 舞が呆れたように言う。どうやら僕が到着する前に舞は要件を刀祢に話したらしい。随分と行動が早いな。ちなみに怜は僕が階段を上っている途中に一階に下りて行った。どうやら昼食を食べにいったようだ。僕は……うん、大丈夫、昼を抜いたところで死ぬわけじゃない。

「お、襲った!? 何言ってるんですか、僕がそんなことするわけがっ!?」

 彼が否定しかけた所で、彼の右肩に炎が燃え始める。燃え移りはしないが、あれだけ近くの距離にあればさぞ熱いのだろう。なんだか彼に同情したくなってきた。

「しらばっくれてもいいけど、もっとひどい火傷になると思うわよ?」

 そういう舞の目は据わっていてそれが嘘ではないことが分かった。どうやら舞は彼がただ演技をしているだけだと思っているらしい。僕が制止しようと彼女へ手を伸ばしたとき、彼女がこちらを向いた。

「何? 今こいつがあの出来事を覚えているかどうかは別として、こいつは人を殺そうとしたのよ? 別にこれぐらいしてもばちは当たらないと思うけど?」

 そういう問題じゃないと思うが……。が、彼は人を殺そうとしたどころか、ファミレスで人を殺しているのだから、そう考えれば彼の今の苦痛そうな表情も妥当だと思えてしまう。が、それは彼が凶暴な人格であったからであり、今の彼には何の罪もないかもしれない。

「それは違うと思うよ。彼が望んでしたことじゃないだろうしっ!?」

 僕の言葉は、目の前に現れた炎に中断された。

「だから何? たとえ正当防衛であろうと、大義名分があろうと、人殺しは人殺しでしょ? 十分な報いは受けるべきよ」

 鋭い目つきで、彼女は言った。そこまで考えさせる何かが、彼女の身に起こったことがあるのだろうか。なんにせよ、彼女が今の拷問に似た質問は中断される気配がない。これで僕が無理やり止めに入ったら、彼女が僕を燃やしかねないし――。

「ひべっ!? つ、冷たい!」

 ふと、刀祢がそんな声を上げる。見ると、彼が全身水浸しになっていた。水ということは、それをかけたのは――。

「舞、何やってるの?」

 やはり、怜だった。昼食を食べるのが随分早かったように思える。彼女の声に、どこか怒りのようなものが含まれているのが見て取れた。

「何って、質問してるだけよ」

 舞は怜を鼻で笑って答える。あからさまな挑発だった。

「それが、質問? ……ううん、そこじゃない。今、何をしたの?」

 怜の声色がだんだん鋭くなっていく。空気が張りつめていくのを感じる。

「今……ねぇ。邪魔しようとしてる人がいたから」

 そこまで言いかけた所で、怜が何かをしようとしていた。まさか、舞に何かする気か――? 怜の目は、今正気ではないような気がする。何が彼女をそうさせたのか分からないが、なんとかして怜を止めないと――。

「そういえば昨日、私たちの方で一つ進展があったよ」

 急に声を上げたのは、杣だった。唐突過ぎたのか、この場にいる全員が、動きを止めて杣の方を見る。まさか、全員がその唐突さに驚いた訳じゃないだろうが。

「彼女、弥奈さんのことだけど……どうやら彼女、虹魔法使いみたい」

 その言葉に誰よりも反応したのは、僕ではなかった。迅でもなく、舞でもなく、怜でもなく、弥奈自身でもない。

「虹……魔法使い!? 本当に!? 本物ですか!?」

 刀祢が、縛られた手足のまま立ち上がって言う。その反動か彼は前のめりに倒れるが、彼はすぐに起き上がると、こう言った。

「お願いします、妹を甦らせてください……!」

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