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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
125/344

-Episode14-

「な……何!?」

 僕は思わず叫び声を上げる。よく見ると、図書室中のありとあらゆる場所に大小の穴が空いている。もし杣が伏せてと言わなければ、僕たちは蜂の巣になっていたかもしれない。僕は今起きている謎の襲撃が収まった後、ゆっくりと立ち上がる。

「あ、あんた、どうしてここに……!?」

 ふと、舞と目が合う。舞は驚いた様子で僕に質問をしてきた。僕としてはどうして彼女が図書室に飛び込んできたかの方が知りたいんだけど……おおかた、さっきの襲撃をした人に追われてきたのだろう。どうして追われているのかは分からないけれど。

「えっと、僕たちは杣の後を追ってここまで来たんだけど――」

 僕はそう言いながら、図書室を見渡す。何が起こったのか分からず、困惑した様子で立ち上がる迅、同じような様子ではあったが僕を見つけた瞬間に僕の方に飛び込んでくる怜、状況が読み込めずフードが脱げたことにも気づいていない少女、唯一落ち着いていそうな杣。とりあえず全員無事なようだ。ちらと確認したが、フードを被っていた少女の素顔は、以外にもとても綺麗な顔立ちをしていた。人を惹きつけるような美しさがある。それ故にフードで隠していたのだろうか?

「……なんというか、奇跡ね。これだけの人数がいるのに、怪我人が一人もいないなんて」

 舞が少し驚きながら呟く。それは僕も思っていた。杣に助けられた。僕は杣に深く感謝――したかった。ただし、心の底から感謝することはできないでいた。あまりにもタイミングが良過ぎている。あんな攻撃が起こるなんて、一体誰が予想できるのだろう? それこそ未来予知なんかがないと予想なんてできない。杣が虹魔法使いだと思っていた頃は虹魔法で未来予知をしていたのではないかと思っていたし、そうでないと分かった時でも、一度くらいの予想なら偶然ということもあり得るのではないかと思っていた。だが、二回もこれから起こる不幸な出来事を予測できるというのは、どう考えてもおかしい。そこで考えられる仮説が、彼女が別途未来予知の何かしらをもっているか、彼女がこれらの出来事を何らかの意図で起こしているか、という二点だ。前者はともかく、後者は限りなく危険だ。僕たちを助けている点から、彼女は僕たちを傷つけるのが目的ではないことが分かるが、そもそもこんな危険な場面に出くわしたのは、彼女が僕たちをこの場所に誘導しているからなのではないだろうか。そんな風に僕が熟考していると、図書室のドアの方向から、声が聞こえてくる。

「――カッ! お遊びはこれでお終いだぜ!」

 聞き覚えのある声だった。ファミレスで出会った、あの少年だ。急に聞こえた声に、フードを被っていた少女はカウンターに潜り込んでしまった。

「さ、朔君、あいつ!」

 怜は少年を指差して言う。そういえば、僕の家で彼とトラブルがあったっけ。更に言えば、彼の魔法は怜の魔法で打ち消すことが出来る。……そう考えると、少し希望が見えてきた。ふと、少年がこちらに気付き、ニヤリとする。

「あん? てめぇは……丁度いいぜ、お前の女の魔法対策が完了したんだ、あの手が通じないってことを、見せつけてやるよ!」

 怜の魔法への対策が完了した……? なんだかいい予感がしない。僕はなんとかして逃げられないか考える。窓からの脱出はガラスが割れているためかなり危険であり、ドアからの脱出は彼がドアの前を塞いでいるから不可能だ。

「お前の魔法は、俺が魔法を発動してからじゃないと俺の『風』を打ち消すことは出来ない。ってことは……」

 スッ、と、彼の姿が消える。どこに行ったんだ? 僕は辺りを見回すが、彼の姿は――。

「至近距離で打てば、何の問題もない」

 丁度、後ろ。僕の後ろで服を掴んでいた怜の真後ろに、少年が立っていた。まずい。僕は怜を助けようとして、彼女を突き飛ばす。少年の指先には、風が渦巻いていた。これに貫かれて、僕は死ぬのだろうか。そう思った瞬間、

「うグッ!?」

 突然、少年の体が揺れた。風邪の渦は消え、少年はその場によろめく。彼はすぐさま体勢を立て直し、風を纏ってドアの近くに移動した。僕が不思議に思って少年がいた場所を見る。すると、そこには迅が両手両足に橙色に輝く鎧のようなものを付けて立っていた。

「ふぅ、危ない。大丈夫か、朔?」

迅はこちらの安否を確認すると、ニコっと微笑んだ。僕は彼に感謝しなくちゃいけない。背後では、少年の愚痴のような声が聞こえてくる。

「クソッ、次から次へと……!」

 少年は吐き捨てるようにそう言うと、ドアの方から素早く逃げて行った。逃げるのも二回目となると、なんだか彼が小者のように見えてしまう。

「――終わり、ました?」

 カウンターから、フードを被りなおした少女が話しかけてくる。一番冷静そうな杣が状況を伝えると、彼女はほっと胸を撫で下ろしていた。

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