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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
124/344

-Episode13-

「学校に忘れ物でもしたの?」

 とりあえず、どうして学校に連れてきたのかを杣に尋ねてみる。しかし、彼女はこちらを向くと、

「特にしてないよ」

 と答え、足早に学校の中へ入っていってしまった。僕は杣についていくべきかどうか迷ったが、迅が杣の後を追いだしたので、僕も彼女を追いかけることにする。

「どこまで行くんだろうね?」

 僕の後ろを付いて来ている怜が、そんな疑問を口にしたとき、僕の前にいる迅が右手を上げた。どうやら立ち止まれという合図らしい。僕は立ち止まり、迅の後ろから杣の様子を確認する――。

「べふっ!」

 前に、怜が後ろから激突してきた。

「朔君、急に止まらないでよ!」

 怜はわざとらしく怒ったふりをしている。

「いや、僕たち急に止まったくらいで激突するくらいのスピードにはなってないからね? ついでに、迅が止まれっていう合図は出したし」

 僕がそんなことを言うと、今度は迅が不思議そうに後ろを振り向いた。

「俺、そんな合図出したか?」

 話がややこしくなってきた。これ以上話題を進めても混沌な状況が改善されるとは思えないので、話題を早急に変えることにする。

「杣は今何してるの?」

 僕は前方にいるであろう杣に話しかける。が、彼女は僕が思っていた方向にはいなかった。

「杣なら図書室に入ったぜ」

 杣の様子を一番見ていた迅が教えてくれた。確かに、左を見れば図書室の室名札がある。

「失礼しまーす……」

 僕は不満そうに僕を見ている怜と、まだ合図を出したかどうかで考えていそうな迅の間をすり抜け、図書室に入る。教室の中には、カウンターで本を読んでいる杣と、カウンターの内側に座っているフードを被った人がいた。おそらく図書委員なのだろうが……。

「うん、来てくれてありがとう。それじゃあ、みんなその辺りで読書でもしててくれるかな」

 少しそっけなく、だが明らかに何らかの意図があって、杣は僕たちに図書室にいるように求めた。これから一体何をするのだろう。結局僕と怜は出かけた先で何をするのか聞いていないし……この様子だと、迅も聞かされていないみたいだし。

「じゃあ俺は本でも借りるかな」

 ただ、迅は状況の呑み込みが早かった。これから何をするのか、もしくは何がおこるのかは分かっていないにしても、自分の取るべき行動がちゃんと分かっているみたいだった。それに比べて、僕は随分と優柔不断である気がする。

「朔君、ちょっと凹んでない?」

 怜はやはり僕の心を読んでいた。

「ねぇ怜、怜って僕の心が読めるの?」

 自虐的思考に陥りかけていた自分の頭を切り替えるため、僕は適当な話題を振ってみる。

「え? うーん。どっちかと言えば、朔君の考えていることって、朔君の顔に出やすいんだよ」

 顔に出やすい、ねぇ。ということは怜だけでなく他のみんなにも僕の考えていることが概ね理解できてしまうということだ。これからは考える内容にも気を配らないと……何に気を配るかはさておき。

「さ、朔、ちょっといいか?」

 ふと、迅が声をかけてくる。僕は彼のいるカウンターまで歩き、話を聞くことにした。

「本借りるの、手伝ってほしいんだけど」

 何を言うかと思えば、本を借りることの手伝いだった。本の貸し借りなんて、小学生でもできそうなものだけど。

「なぁ朔、割と失礼なこと考えているだろ?」

 僕の考えていることを、迅にまで言い当てられてしまった。やはり顔に出やすいのか。ちょっとショックを受けながら、詳しい話を聞いてみる。

「いや、それが……本を借りようと彼女に話しかけているんだが、返事がなくて」

 そう言いながら、彼は一冊の本をカウンターに置く。

「これ、借りたいんだけど……」

 迅がフードを被った少女に話しかけるが、確かに、返事がない。

「じゃあ僕が代わりに処理をしようか? 本はよく借りるから、簡単な本の貸し借りなら、僕でも――」

 僕がそう言いながらカウンターに入ろうとしたとき、

「だ、駄目ですっ!」

 ふと、聞き慣れない声がカウンターの中からした。その声はきっとあのフードを被っている少女から出たものだろう。……が、彼女はすぐにフードを深く被り、俯いて座り込んでしまった。

「う、うぅ……」

 なんだか少女に申し訳ないことをしてしまった気がする。僕はアイコンタクトで迅にこれ以上の尽力は無理だと伝え、僕も何か本を借りようと本棚のところに向かう。そして僕が本棚の中にある一冊の本に手を伸ばしたとき、

「――五秒以内に伏せて!」

 杣の声が、聞こえた。ファミレスのときと同じ、強制力のある声。僕は二度目ということもあり、他の皆より早く伏せることが出来た。そのおかげか、僕ははっきりとその光景を見た。轟音と共に破れるドア、飛び込んでくる赤いポニーテールの少女。その光景になぜかデジャヴを感じた瞬間、図書室中のガラスが割れた。

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