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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
123/344

-Episode12-

 夏休み序盤の忙しさはどこへ行ってしまったのか、そこから数日間は、家の中で淡々とした日々を過ごしていた。ただ言えることは、僕の家に怜が居候として住まうことになったということと、迅が杣と一緒に僕の家に来るようになったことだ。僕と迅は割とすぐに意気投合して仲良くなれたのだが、どうしてか杣と怜はぎこちない関係が続いていた。互いに妙に警戒しているところがあって、なんだか見ていると二人の背中を押したくなってくる。ただ、怜にそんなことをすると後で何をされるか分かったものじゃないからできないし、杣は迅の彼女らしいから下手に手を出すと迅との仲が少し悪化してしまいそうな気がする。

「だからと言って、出かけるときに僕を呼び出すのはなぁ……」

 僕は深いため息を吐いていた。朝怜にたたき起こされたときはあの少年が再び襲いに来たのかと疑ったが、そうではなかった。杣が怜と一緒に出掛けたいと提案をしてきたそうだ。怜は自分でも杣とあまり仲が良くないことを自覚しているみたいで、その提案を受け入れたまではよかったようだ。……が、一人だと関係が改善される自信がないから、僕について来てもらいたい、というわけだ。

「いいじゃん、朔君暇そうだし」

 怜は微妙に核心を突いてくる。確かに暇だったし、別に断る理由はないんだけれど……なんだろう、僕には怠け者のような精神があるのだろうか。

「迅の家が集合場所なんだから、そこから迅の家に上がれるかもしれないよ? 他人の家の中って、妙に冒険したくなるよね」

 怜はわくわくしながら言う。僕は君付けなのに、迅が呼び捨てられていることにちょっとした違和感を覚える。僕が認めてないとはいえ、怜にとって僕は怜の彼女なんだよね……? なぜか迅の方が親しげに見えるのは気のせい?

「あ、あそこだよ!」

 怜は少し離れた位置にある家を指差した。僕は迅の家がどんなものか知らなかったから、正直迅の家に興味はあった。その家は、正直僕が思っていたよりも、

「空き地だね……」

 何もない土地だった。これは絶対場所を間違えてるだろう。

「朔君、どこ見てるの?」

 ふと、怜が不思議そうな声で言った。どこって、怜が指差したところだ。

「いや、朔君、さっき朔君は確かに私が指差したのは家だって分かってる顔をしてたよね? なんでそこから空き地の方に目を向けちゃうかな?」

 怜はちょっと呆れたように言った。言い訳だけさせてほしい。まさか迅の家が比較的大きめの家、つまり中流階級のちょっと上くらいのランクの人が住めるような家に住んでいるとは思わなかったからだ。僕の家? ちょっとしたいわくつき物件だったからか、とても安い。そうでないと、僕たち二人で生活するのはほぼ不可能だからだ。

「お、朔も連れてこられた感じか?」

 丁度僕が見ていた家から、迅が出てきた。その隣には杣もしっかりいる。身長のせいで時折迅の体に隠れてしまっていた。

「えへん! 朔君がどうしてもって言うから、仕方なくね!」

 怜は思い切り胸を張って答える。僕は一言もそんなこと言ってないのに。

「多分それはないと思うけど」

 僕の心の内を、杣が代弁してくれた。怜はちょっとだけふくれた顔になって、

「むー! ちょっとくらい冗談に付き合ってくれてもいいじゃない!」

 不満を漏らしていた。杣ってあんまり冗談に付き合うタイプに見えないし、仕方ないのかもしれないけれど。

「とにかく、一緒に出掛けない?」

 杣はどこか僕たちの行動を急いていた。そんなに今から行く場所がすごい場所なのか、それともただ単にせっかちなだけなのか。僕は前者である可能性に賭け、大分わくわくしながら杣の後ろを付いて行った。

 杣について分かったことが、いくつかある。一つは、彼女は虹魔法使いではないということ。どうやら彼女が使うのは『影』という魔法らしい。色々と応用が利く魔法のようで、影を使ってさまざまな芸当をこなしていた。怜はちょっと不思議そうな顔でその芸を眺めていた。そこで彼女の魔法を褒めてあげればもうちょっと仲良くなれたと思うんだけどなぁ……。

「朔君、ちょっと失礼なこと考えてない?」

 怜はよく僕の脳内で考えてることを八割当ててくる。それだけ僕を観察しているのか、それともテレパスか何かがあるのか。

「失礼な、失礼なことなんて考えてないよ!」

 僕はちょっと威張った格好をして言う。

「へぇ。でもさ、今の言い方ってちょっと戸惑ってるように聞こえない?」

 怜は少し意地悪な笑みを浮かべて言う。まぁ、今の言葉を反復してみれば、確かに戸惑って同じ言葉を繰り返しているように聞こえるが。

「着いたよ」

 僕が怜に何かを言おうとしたそのとき、杣が僕たちに向けていった。どんな場所に着いたのだろう。なんだか見慣れた場所のような……。

「が、学校?」

 迅が、どうしてここに連れてこられたのか分からない、という表情でそんなことを呟いた。正直、僕も全く同じ気分だった。

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