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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
116/344

-Episode05-

「へぇ、こんなところにファミレスなんてあったんだ」

 僕は迅達と一緒に商店街に向かい、そこにあったファミレスの中に入る。商店街にこんなファミレスがあったとは知らなかったな。

「朔君、知らなかったの? ずっと住んでるのに?」

 怜が僕の隣で口出しをしてくる。別にいいじゃないか、知らなくても。

「私はコーヒーでも頼もうかな」

 黒いツインテールの少女――道中で説明を受けたが、彼女は杣という名前で、僕と同じ中学生らしい。……ありえない。

「別に飲み物だけじゃなくてもいいんだけどな……」

 迅は飲み物以外を注文する気のない杣に、少し硬い笑みを浮かべながら言う。

「えーと、イチゴパフェと、チョコケーキと、バニラアイスと、あとこのトロピカルフルーツパフェと……」

 それとは正反対に、怜は片っ端から注文をしていく。甘いものしか注文していないみたいだが、そのままだと体重が増えたりするんじゃないだろうか。

「ん、朔君、今何か失礼なこと考えてない?」

 怜に勘ぐられ、僕は慌てて首を振る。そんなやり取りをしている間に、

「さて、メニューは決まったか? 朔は……ハンバーグのライスとサラダのセットか。俺はナポリタンで、杣がコーヒー。優奈ちゃんは、お子様カレーでいいんだよね? んで、怜は……あ、あの、もう少し減らしてくれないかな?」

 迅は苦笑いを浮かべながら、怜に注文の量を減らすように頼んでいた。ちなみに彼が僕らのことを呼び捨てにするのは、その方が親しみやすいからだそうだ。別に僕は構わないが、怜はどこか不満そうにしていた。

「えー。じゃあしょうがないから、いちごパフェ、バニラアイスをやめて、もう一つトロピカルパフェを頼もうかな」

 怜はまるで妥協しているかのように話す。しかし、メニュー表を見れば、トロピカルパフェの値段が、いちごパフェとバニラアイスの値段の和を上回っている。むしろ欲張っているとしか思えない。

「あ、あははは……とりあえず怜はトロピカルパフェ一つかな」

 強引に怜の注文を決める迅。怜は必ず何か言ってくるかな、と思ったが、彼女は何も言わずに迅がボタンを押すのを見ていた。ちょっと意外だな、と思いながら店員さんを待つ。

「お兄ちゃん、ハンバーグ少し分けてね」

 優奈はファミレスを見渡して、目を輝かせながら周囲を見ていたのだが、ある程度落ち着くと、そんなことを言ってきた。僕は別に構わないと返答する。正直優奈にはここで正しい味覚というものを学んでもらいたい。いや、優奈に正しい味覚がない訳ではないのだが……。ネギが食べ物を埋め尽くすぐらいの量でなくとも、おいしくなることを彼女には知ってもらいたいのだ。そんなことを思っていると、店員が注文を聞いてきた。迅がさっきとっていたらしいメモを見ながら注文を言う。迅、杣、僕、優奈の順で注文をいい、最後に怜の注文を頼もうとしたとき、

「トロピカルパフェ百人前!」

 怜がとんでもない発言をしてきた。店員は一瞬何を言っているのか分からないような顔をしていた。

「い、いや冗談です。注文はさっきのトロピカルパフェ――」

「百人前」

「――で十分です……って、間に入れないでくれ!」

 注文を否定しようとする迅と、それを妨害する怜の間で一悶着がある。その会話に加わりたかったが、不意に杣が話しかけてきたので、彼女の方を見る。

「ごめんなさい」

 彼女の第一声は、それだった。

「ど、どういうこと? 僕は何もされた覚えがないけど……」

 正直何を言っているのか分からないので、無視してしまいたいという思いもあった。しかし、彼女のカンパニュラのような儚い表情を見ていると、彼女のその目から目を離せなくなっていた。だから僕はそう聞いてみる。

「――いや、なんでもないよ。変なこと言ってごめんなさい」

 杣は軽く頭を下げると、やり取りを終えたらしい迅と怜の間を通り抜け、ドリンクバーの方へ向かう。どうやら迅がコーヒー以外も飲めるからという理由でドリンクバーを注文したらしい。怜との扱いの違いが見て取れる。まぁ怜の方は自業自得な所があるが。

「朔くぅん、迅がトロピカルパフェを一個しか注文してくれないよぅ」

 怜は甘えるような声で僕に言う。僕にどうにかできる問題ではないというのに。

「トロピカルパフェ以外を注文する、っていうのは駄目なの?」

 僕の提案に、怜は目の前に両手でバツを作って答える。

「絶対、駄目!」

 強情な怜に溜め息を吐いていた頃、店員がトレイを持ってこちらにやって来た。どうやらお子様カレーが出来たみたいだ。

「わーい、カレーだ!」

 優奈は年相応の笑顔を見せる。なんというか、優奈は普段僕よりもしっかりしているから、こういう顔を見るのはどこか新鮮だ。そんな様子を微笑ましく見ていると、彼女がカバンから何かを取り出した。ぬいぐるみのようだが……。ふと、彼女はぬいぐるみの首に手を突っ込み、何かを引っ張り出した。そこから出てきたものは――ネギ、だった。

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