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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
106/344

-Chapter49-

「と、とりあえず杣の居場所を教えてくれ!」

 朔が俺の心の内を探るようにこちらを見てくるので、俺の焦りに拍車がかかり、つい叫んでしまう。朔は少し自分の行動にためらいを見せたが、意を決したかのようにこちらを見据えて言う。

「教えてもいいけど……詳しく教えてよ、杣のこと」

 俺の言葉をうまく利用して、杣の情報を引き出そうとしていた。……朔の策士ぶりに、俺は歯噛みして、呻く。それでも朔は妥協する様子がない。ただ、彼の瞳には罪悪感が浮かんでいた。どうやら、彼には譲れない何かがあるらしい。勿論俺にだって譲れないものがあるが、このことに関しては……いやしかし、朔を巻き込んでしまうのは……。

 少し日が傾くほど考え込んでしまったが、俺の方も意を決して朔に杣と楓のことを話すことにした。

「……分かったよ。教える」

 俺は深く溜息を吐きながら言った。朔の瞳に宿っていた罪悪感がさらに大きくなるのが分かったが、それでも朔は聞く姿勢を崩さない。

「前、話したよな? 楓の病気について……」

 そこから、俺は前朔に話した楓の病気から、ゆっくりと杣の話に入っていくことにした。

「……それで、夏休みの初日……意識を失っている楓の中に、別の人格が宿ったみたいなんだ。どうしてかは分からない。ただ、その人格が宿っている間は、彼女の髪の色が、変化する」

 俺はそこまで言ったところで、言葉を切った。少しの沈黙の後、策が呟く。

「二重人格……?」

 その言葉に、俺は少し反応し、

「……そうだな。平たく言えば、そうなる」

 と言った。朔は少し考えるような素振りをして、一つ、質問をしてくる。

「その……それって、二重人格じゃなくて――とは言っても、それは僕が言ったことなんですけど、つまり幽霊とか、そういう類のものなんじゃないですか?」

 そういえば、俺もそんなことを考えていたことがあったなぁ、確かあの時は――。

「それが、杣にそのことを聞いてみたんだが、否定されたんだよ。あいつの言葉を鵜呑みにはしないが、あいつは別に幽霊とかいった類の代物ではないみたいだ」

 俺は杣に聞いたときの状況を思い出しながら話す。朔は納得したような様子で何度か頷いた。……話しているうちに随分と時間が経ってしまったな。俺は少しずつ焦りを思い出して、

「俺が楓について知っていることはこれで全部だ。さあ、杣の居場所を教えてくれ」

 と言って朔に問い詰める。朔は必死で思い出そうとしながら、ゆっくりと道順を説明し始める。

「えっと……どこかの裏通りだったよ。道順は、その」

 そんな言葉から、ゆっくりと道順を説明し始める。俺は焦ってこそいたが、朔の話を急かすほどではなかった。

「はい、これ。楓さんに返したほうがいいと思って」

 話が終わった後、朔は携帯電話を俺に手渡した。俺はそれを手放さないように携帯電話をしっかり握り、目を瞑る。道順を思い浮かべ、しっかりと記憶する。

「ありがとう。じゃあ、俺はそこに向かう」

 俺は目を見開いて、記憶した通りの道筋を走り出して行った。

 朔の言われた通りの裏通りへ向かう。黒い奴のおかげで微妙に裏通りが怖くなってきているが、今は杣のことの方が優先だ。

「杣ー!」

 俺は杣の名前を呼びながら探す。きっとどこかに杣と舞がいるはずなんだ。そう信じて探し続けると、一人、裏通りに佇む影を見つけた。

「杣!?」

 俺はその影に近寄る。そしてその影は振り向くと――。

「――」

 黒い表面をこちらに向け、襲いかかって来た。

「ッ!? またこいつか……!」

 もうすでに見慣れてしまい、驚くことなく、俺は冷静に魔法を展開して黒い奴を薙ぎ払う。しかし周りに黒い奴が集まってくると、次第に黒い奴等の対処が難しくなってくる。――ふと、頬に乾燥した空気が触れた瞬間に、視界が、燃えた。業火が俺の周囲を包んで、黒い奴等を燃やしていく。

「な、何だ――?」

 俺は戸惑いながら、周囲を見渡す。するとそこに一人の少女が降り立った。

「――ん、あんた、ここで何してるのよ?」

 舞が、赤いポニーテールを揺らしながら言った。

「え、あ、あぁ……そうだ、杣を知らないか?」

 俺はとりあえず舞に質問する。すると舞は溜め息を吐いて、

「まさか、杣に会うためだけにここに来たの? ……呆れた」

 そう言いながら、舞は少し狭い通路を指差した。

「まぁいいわ。そこに通路があるから、その先に杣がいるわ」

 そう言われ、俺はその狭い道の先へ走り出して行った。

「杣っ!」

 道の先に杣の姿が見え、俺はその先へ走り出していく。――その瞬間、急にめまいのような感覚が俺を襲い始めた。

「ぐっ……!? な、何が……」

 俺は何の抵抗もできないまま、襲いくるめまいによって意識を失ってしまった。視界が暗転する直前、杣の驚いたような顔が見えた気がした。

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