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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
103/344

-Chapter46-

「ウグ、ゲホッ……ぜぇ、ぜぇ。とにかく、母さんに話だけしてみるから、期待しないで待っててくださいね」

 やっとの思いでゴル先輩から解放された俺は、ゴル先輩にその場に待機するように指示を出して家の中に入ろうとする……のだが。

「あのゴル先輩? 話聞いてました? 俺は『待っててください』って言ったんですが」

 ゴル先輩が俺の真後ろを付いて来て、今にも家の中に入ろうとしていた。

「ふっ、遠慮するな迅よ。某を助けてくれるというならば、もはや某達は運命共同体というやつだ! 迅を見捨てることなどできようか、いやできない!」

 軽く迷惑なくらい忠義の厚い人物である。

「別に危険なことをするわけじゃないし、むしろ一緒にいると誤解されて色々と面倒なことになりそうだから、ここで待っててくれた方がありがたいんですけど」

 俺はゴル先輩を説得しようとなるべく分かりやすくゆっくりと話しかけるが、ゴル先輩は面白い具合に聞き違いや勘違い、ド忘れをして、一向に俺のそばを離れる気配がない。俺はげんなりしながら、ゴル先輩と一緒にリビングに行く。母さんは一瞬ゴル先輩の姿を見て驚いたようだったが、俺が説明をすると苦笑いをしながら状況を把握してくれた。ゴル先輩は感極まったのか号泣して俺を抱きしめる始末。正直かなり痛い。

 その日はずっとゴル先輩が俺と何らかの勝負を持ちかけてきた。何度も断ってはいるが、断ったら断ったで別の勝負を持ち込んでくるし、運よくそれでゴル先輩の独壇場にならないような勝負事が出て来ても、なぜか最終的に体力勝負のような形になりやはりゴル先輩の独壇場へ変化してしまっていた。そんな状態がほぼ一日中続いていたため、翌日は家の中で生活していただけにもかかわらず満身創痍であった。どうしてこうなってしまったのか。激しく後悔しながら一階のソファで寝転んでいると、玄関のベルが鳴る音がする。俺がその音を聞き玄関まで歩いていくと、丁度母さんがドアを開けて客人を迎え入れているところだった。その客人とは――。

「迅~!」

 とても嬉しそうに抱き着いてくる橙色のツインテール少女――楓と、

「満がここにいると聞いて、連れ出しに来たわ。いるんでしょ?」

 ゴル先輩のことで辟易しているような様子の赤髪ポニーテール少女――舞だった。

「急に黒いのが私の前に現れてね、私の携帯電話を壊しちゃったの! 怖くてその場に縮こまってたら、舞さんが助けてくれたんだよ!」

 楓は数日の間意識を失い杣として行動していたことに気付いていないのか、まるでついさっきあった出来事のように黒い奴の出来事を話す。

「そうか、それは良かったな。――あと、本当にありがとう」

 俺は楓の頭を撫でると、ゴル先輩を外から家の中を眺める形で探していた舞の方を向き、お礼を言う。それに気付いた舞は、

「別にいいわよ。私も楓さんにいなくなってもらっちゃ困るし」

 アイコンタクトで杣のことをほのめかした上で、そんなことを言った。それについて俺が口を開こうとしたとき、二階から大きな声が聞こえてくる。

「おーい迅! 某とともに武者修行なるものを――」

 そんなゴル先輩の声は、彼が舞の姿を見た瞬間に、静止する。

「お……おぉ! ついに連れ戻しに来てくれたのか! 舞よ! 某は信じていたのだぞ!」

 ゴル先輩の表情は瞬く間に輝き、全力で舞に抱き着こうとする。そんなゴル先輩に、舞は的確に彼の鳩尾を突いて防衛した。――ゴル先輩は全く痛がる様子はないようだが、抱き着くのはやめたようだ。もしかして鳩尾を突けばゴル先輩って割と言うことを聞くのか?

「とりあえずこいつ回収していくから。じゃあ」

 舞は簡単な挨拶をすると、足早にその場を去って行った。ゴル先輩は今度は舞の後ろをついていく。まぁこれで明日も満身創痍になることはない訳だ。

「あ、そうだ楓、これ」

 舞とゴル先輩が去った後で、俺はあることを思い出して、ずっと渡そうとポケットにしまっていた携帯電話を取り出す。

「え? ……わぁ! かわいい! これ私にくれるの!?」

 目を爛々と輝かせて楓は言う。うん、これだけでも俺がこの携帯電話を買ったかいはあったというものだ。

「ああ、もちろんだ。前の携帯は壊れちゃったしな。電話番号とメールアドレスは移しておいたから、それ以外は頼む」

 俺がそういうと、楓は元気よく返事をする。その後しばらく楓は俺からもらった携帯電話を眺めながら、にこにこと笑みを浮かべていた。

「ねえ迅、このストラップももらっていいの?」

 楓は携帯電話についているストラップをつまんで俺に見せながら言う。俺が勿論だと頷くと、楓はさらに嬉しそうな顔をして携帯電話をまるで周囲に見せびらかすようにわざと目につきやすい場所で携帯電話を開いたり閉じたりしていた。

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