第10話 科学の恐竜
コスモギャラクシーの急所を狙い、ジ・アースパラディンは剣を振るう。それらを的確に捌きながら、コスモギャラクシーは隙を突いて距離を取る。
ビームを発射して牽制を図るコスモギャラクシーに、ジ・アースパラディンはビームを掻い潜って接近する。
「こっちから行ってやる!」
コスモギャラクシーはビームブーメランを両腕に装着し、ブースターとビームで加速して、高速で移動しながら攻撃する。
ジ・アースパラディンも冷静にコスモギャラクシーの猛攻を捌きながら隙を伺う。
すると、二人の武器が同時に上に弾き飛ばされる。
ジ・アースパラディンがすかさず盾で殴りかかるも、コスモギャラクシーはそれを蹴り返し、武器を掴みに行く。
コスモギャラクシーはジ・アースパラディンの剣を掴むと、そのまま落下しながら斬りかかる。
ジ・アースパラディンもコスモギャラクシーのビームブーメランを拾って反撃に移る。
互いに譲らないとばかりに、バチバチと音を立てて押し合う。
そこに、ヤマトが手をパンパンと叩きながら割って入って来た。
「はい、そこまで。明日は大会なんだから、あまり根詰めない方がいいよ」
「まぁ、上出来だな」
キリュウはPCDを仕舞うとジ・アースパラディンをジオラマから回収した。セイカは今では充分キリュウと互角に渡り合うことが出来るようになったし、もう大丈夫だと判断した。
「キリュウさん、ありがとう」
セイカはキリュウに頭を下げて礼を言う。
ここまで戦えるようになったのはキリュウのおかげだ。
キリュウはそんなセイカの感謝に、首を横に振って答えた。
「ここまでやってきたのは間違いなくお前自信の実力だ。後は、勝つまであがき続けてみろ」
「はい!」
アヤは夕暮れの帰り道を鼻歌を歌いながら歩いていた。調整も問題なく出来たので、明日を快く待つだけでいい。
その時、アヤは河川敷のGキューブで誰かがファイトしているのが視界に入った。
「……お母さん?」
マグナ・オーバーロードは火炎弾をかわしながら大型銃を撃つ。
茶色い恐竜の様な頭のカスタムソルジャーが、斧で銃弾を叩き落とす。そして、マグナ・オーバーロードに接近して斧を振り下ろした。
マグナ・オーバーロードはビームサーベルで受け流すと、その後の追撃もなんとか上手く受け流していく。
恐竜型の機体はマグナ・オーバーロードの片手銃による連射を斧で防ぎ、大型銃の砲撃をジャンプでかわす。素早い身のこなしで回避し続け、ある程度距離を取るとエネルギー弾を叩き落として、マグナ・オーバーロードに狙いを定める。
そして、襲いかかろうとした所で、プレイヤーの男がアヤの存在に気づいた。自分の機体を回収して、アスカに話し掛ける。
「どうやら、ここまでのようだな」
「そうね」
アヤはアスカに駆け寄ると、この男が誰なのか尋ねる。すると、男の方から自己紹介を始めた。
「俺は創造ライフ。こいつは俺のカスタムソルジャー、サウルス・テラーだ」
そう言いながら茶色い恐竜型の機体を見せる。見た目通りのパワー型で、先程の戦闘を見る限りスピードも中々の様だ。
「彼はクリエイト社の社員でね。私と同じでカスタムソルジャーの開発部の主任を勤めているの」
「まぁ、俺は翼さん程優秀じゃないがね。そっちのは肩書きばかりで、本業はもっぱらテストプレイヤーさ」
ふーん、とアヤは頷いた。難しい話は分からないが、とにかくこの人はお母さんと仕事の話でもしていたのだろう、と結論づけた。
「お嬢さんとは大会で合うかもしれんな。その時はよろしく」
そう言ってライフは立ち去る。その後ろ姿を眺めながら、アスカはアヤに話し掛ける。
「多分、クリエイト社がTC社のカスタムソルジャーにどれだけ対抗出来るか試す為の刺客って所ね。まだ奥の手があるような素振りをしていたけど……」
アスカはアヤの頭をそっと撫でて、微笑む。
「せっかくの大会ですもの。思いっきり楽しんできなさい」
「うん!」
セイカは自分の部屋で、星空を眺めながら明日の大会のことを考えていた。ヤマトやキリュウに鍛えて貰い、自分でも納得のいく所まで強くなることが出来た。
ここまで面倒を見て貰った二人のためにも、明日は負ける訳にはいかない。
「絶対勝って、もっと強くなろうぜ。コスモギャラクシー!」
夜空に向かって機体を突き上げ、セイカは強く意気込んだ。