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1-5 ケイト

始めてサブタイトルをつけてみました。

書き始めたころより書いていて欲が出てきたため、(ストーリーに幅を持たせたい、もっと多くの人物を登場させたいなど・・・・)折に触れ書き出しから、改定していきたいと思っています。

1章が終わっていないのに2章を書き始めている・・・・

クロと銀なのに、銀は今だ登場していない・・・・・

など、ありますが、ながーい目でみてやってください。今まで登場した人物の中に銀が居るということは、ありませんので・・・・

1-5      


 レディの合図でケイトの前に現われたのは、15~6歳の綺麗な金髪の少女だった。(いやー、LV1って、今始めたばっかり、しかも女の子)これ見よがしに胸を強調した少女のアバターに自分の胸と見くらべてしまっていた。(でかきゃ~いいってもんじゃ~ないんだよ)と少し嫉妬する。


 カウントダウンが開始され試合開始になるが少女は上を向い何か言っているようだった。(なにしてんだ、こいつわ)と思いながら10メートル程の間合いをいっきにつめて右回し蹴りを頭部目掛けて放つ、思ったより相手が吹っ飛んだ事に違和感を覚える。


(あれ???そんなに強く当たってないのに???)すくっと起き上がった相手に自分の足に残る打撃感から(まあそうよね)と納得し、攻撃を再開する。「武器、武器、武器」少女がそう言いながら何かの操作をしている素振りを見せていたが、その割に打撃が当たらないのだ。


(なんなのよ、こいつわ!)ケイトは攻撃がヒットしない、いらいらがつのりはじめていた。


「痛いの、きらいなんだよね~」と対戦相手の少女・・・(格闘ゲームやってて、痛いのいやだ~?)ブッチッとケイトの中で何かが切れる音がした。


「は~~~あ、アンタ、バッカジャナイノ~」思わず口を裂いて出た言葉だった。


「LV1の初心者の女の子だと思って、手加減してやってたのに、痛いのきらいだあ~あ。それなら始めからこんなゲームしなきゃいいでしょ~、頭沸いてるの~?」


「痛いのは、まっぴらごめんです」(キッパリ!)(ん、その前に何かいったような??)「いちばん最初になんて言いましたっけ?」クロが聞きなおす。


(なんなのよこいつ)ケイトはそう思いながら繰り返す「初心者の女の子だから手加減してやってるって、言ったのよ」


「何言ってんですか、俺は男です」クロは(イヤ~な予感)を感じながら自分の胸を確認するように視線を下に、ありえないものが目に飛び込んできた。


「えええええええええええええ~・・・なんで胸??」クロは目を白黒させた。


「うっわ、ネカマ~??きも~い、あっりえないし~」「アンタ変体?最悪じゃ~ん」


そんなケイトのそしりを無視して、クロはGMコールする「GMカレナさーん、居ますか?」今見えている端っこに別ウィンドーが開いて先ほど対応してくれたカレナが現れた。


「ライトニング様いかがなされましたか?」


「アバターのデータの件なんですが」


「はい、いかかなされました?」


「僕男なんですが、どうみても女性のアバターになってるんですが?」


「少々お待ちください」カレナが手元にあるキーボードを操作しはじめる。


「お待たせしました。物流課から戴いたデータを元に作成しております。ライトニング様は、女性ということで送られてきた身体計測データを元に作成しておりますが。物流課の方での入力ミスでしょうか?」それを聞いて黒はふつふつと怒りがこみ上げてくるのを自覚しながら、「わ・・わかりました」それだけ言ってGMコールをきった。


(いきなりGMコールって何考えてんの、こいつ?やっぱ頭沸いてるし~、このネカマ)さらに沸騰しそうなケイトが居る。


「KING・orzさんいますかー?居ますよねー?これ見ながら、大爆笑してますよね~?」クロは大声で叫んでいた。クロの頭の中に、大笑いしすぎて床を腹を抱えてながら転がるその人物の姿がすぐに想像出来た。


「今すぐINしてここのフィールドまで来てください。そんな事くらい朝飯前に出来るはずです。俺は今までに無いくらい怒ってます」クロの師匠である、このゲームのキングは、上司でもありこの格闘ゲームの開発プロジェクトチームの一人でもあるらしい。クロのデータを書き換えて女性のアバターにした張本人であるのは、見え見えだった。


「は~あ?今度はKING??来るわけね~し。あんたなんなわけ~?KINGの知り合い?」ケイトが罵倒の言葉を続けようとした瞬間、その人物はフィールドのど真ん中に現れた。


「うっそ~」ケイトが目を丸くした。


「よお!」さわやかな挨拶とともに、KING・orzが二人の目の前に現れた「そっちは始めましてだな」差し出されたキングの手をケイトは両手でがっちりと握り返した。「だ・・大ファンです」とケイトが叫ぶ。

2メートルはゆうに超える身長で、がっしりした体格、彫りの深い顔の優男だった。


(KINGだー、ホントに来ちゃったよ~。しかも握手まで~!!ちょっと渋めのいい男だし~)ケイトはこのゲームをやっている者であれば誰もがあこがれるその人を間近に見て、目をキラキラと輝かせた。


「これは、あなたの仕業ですね?」クロが低い口調でKINGに問いただす。


KINGは、クロのその姿をにんまりとした顔で上から下まで舐めるように見ると、笑いをこらえられずに、大笑いし始める。


「クロ・・・・似合いすぎwwwwwwwwwwwwww」その笑いはなかなか止まらず、その間クロはどんどん頭に血が上って、顔が怒りと恥ずかしさで真っ赤になってるのが、はた目に見てもわかるほどであった。


ケイトのほうは、いきなり出てきたKNGが、ネカマ野郎を見て大笑いする様に、何がなんだかわからないと、いった表情だった。


「決闘を申し込みます」4~5分は笑っていただろうか、KINGの笑いが治まったところで、クロがKINGに言い放つ。


「おう!受けてやる、そこの穣ちゃんも見物していきな!」そこに居ても攻撃当たんないようにしてやるから。KINGはその場でGMコールを始める。


「んで、どうよ?」「いいんじゃないですか、ご自分でも見てたんでしょ」KINGの問いに、はき捨てるようにクロが言う。


(ええ・・・・え、何?何が起こってるの?KING、さっき始めたばっかりのネカマ野朗の挑戦受けてるし??)ただただ困惑しているケイトがいた。


いつの間にか公式戦の司会者が現れ、アナウンスを始めていた。


「さーあ前代未聞の試合が今始まろうとしています。Lv1の初心者の少女が申し込んだ決闘をこのゲームのキング、KING・orzが受けるというこのゲーム始まって以来の、だーいハプニングだー。しっかーも、公正を期すためキング自らLvダウンを申し出るほどの大一番となりましたー。さーてー勝つのはキングか?はたまた、こつ然と現れた少女かー?」


 そんな喧騒を尻目に二人は準備を始めていた、「得物は剣でいいんな?」KINGの問いにクロはただ頷いて答える。


 二人の前にそれぞれの剣が空中に姿を現し、自重のみでフィールドに突き刺さってしまう。地面に数十センチ刺さっていてもお互いの胸の下辺りまで柄の部分があることから、両方とも相当な長さの剣であることが見受けられる。


(あんなもの、振れる訳が無い!たとえ振れたとしても大振りの一撃離脱攻撃になるだろう)ケイトは幼いころにヒイ爺さんの形見といって見せてもらった太刀を思い出していた。刃渡り1メートルほどの普通より少し長めの太刀であったが、ケイトの父である大の大人が振ってもよろけてしまうほど重かったのである。(いかにロードとわいえ、あんなものを自由に振り回せるわけが無い)そう思ったのであった。


 KINGの剣は、幅20センチの両刃で、1.2メートルほど刀身が剣先30センチ程から頂点にかけ尖っていてた。それに50センチ程の束がつき1.7メートルもある馬鹿でかい物だった。対してクロの剣は日本刀のように反りのある剣で、幅5センチ刀身はKINGと同じく1.2メートル程の刀身であるが束の部分が少し短めに見えた。この二振りの剣に共通していることは、「剣先40センチ程の部分しか研がれていない」ということだった。


「なんなのあの剣?刃が剣先にしかない?」思わずケイトの口から発せられる。


「剣なのに、斬る事を捨ててますね」と言う声に、ケイトが左に振り返る。いかにも何処か一流企業の秘書といった風の黒いパンツスーツ姿の女性が、いつの間にか現れていたことに気づいた。紫陽花であった。

 一瞬にして今まで何も存在しなかったフィールドが直径200メートルの芝生が目にも鮮やかな戦闘フィールドに、その周りをぐるりと観客席が埋め尽くされる闘技場へと変更される。観戦希望者が多数出たための処置であるらしかった。ある程度の観客が入るまで始められないということである。


「どうも始めまして。わたくし、ナロー商会人材開発部次長の紫陽花と申します」紫陽花はケイトに一礼し、名刺を差し出した。周りの喧騒でよく聞こえていていなかったケイトは、名刺に記された「ナロー商会」の文字を確認し、目を大きく見開いた。


 ナロー商会とは、この星「アクア」だけではなく、アクアを含むこの太陽系周辺にある人類が生存可能な恒星を持つ6つの太陽系全てで商業活動している、巨大物流総合商社であった。「紙おむつから、棺おけまで」と言われるほどの商品を扱っている(黒い噂も数限りない)のであった。


「えっとえっと、ナロー商会様が、あたしに何か??」上ずった声が、ケイトの動揺を伝える。


「率直に申します。スカウトです」そこまで言うと紫陽花はしっかりとケイトの目を見る。


「失礼なのは承知で、あなたのことは色々と調べさせていただきました」


(えええええ~なんで~???)ケイトの中で、何故今このような状況になっているのか、それが全く解っていなかったのである。


(片田舎の不良で、いきがってチームの副長兼特攻隊長なんていうかっこ悪い事してる自分に、嫌気すらかんじている。でも出来損ないみたいな私に??なんで?)正直なケイトの気持ちだった。


「私と同じロード種として、あなた自身の力を生かせるお仕事に、就く気はございませんか?」


紫陽花が発したその言葉で、ケイトの脳裏に衝撃が走った。


 自分にロードの種としての力があることは幼少の頃より自覚していたのだ。しかし「女性のロードは使わない」と言う世間的な流れがあり、それを知っていた両親から、きつく「人前でロードの力を見せてはいけない」と、言われ続けたこともあり、ハイスクールを卒業するまでは、ロードの血を受け継いでいることをひた隠しにしていたのであった。


街の景気が悪くなる一方で、ハイスクールを卒業しても就職先が無く、他の若者がするように、日がな一日繁華街をブラブラするようになった。


街のチンピラに絡まれるのも日常茶飯事となる。そんなある日、今所属しているチームのリーダーが絡まれているケイトを助たと言うのがきっかけで、チームに入り、ここまでズルズルと、今では自分がチンピラまがいの事をしている有様だった。


紫陽花の言葉が(こんな使えない力、何で持って生まれえたんだろう)そこまで思いつめて考えていたケイト自身に(始めて誰かに認められた)と思えるほどの衝撃を与えたのだった。(こんな私にも、ありのままの自分で出来ることがあるのかもしれない)と始めて希望を持てた気がしたのだ。


一瞬何か物思いにふけった様子のケイトを見て何かを悟ったのか、「言い方が間違っていますね」と言って紫陽花が一瞬下を向いた。(もしかしたら、この子も私と同じようにロードの力を持って生まれたことを・・・・)と考えを巡らせた。気を取りなおしケイトに向き直る。


「あなたの力をナロー商会に、ぜひともお貸しください!」言い終わると紫陽花は、90度に近い角度に腰を曲げ、手を前に差し出した。


「ハヒィ!」どこから声が出たのか解らないくらいハジケタ声だった。「こ・・こちらこそ、よ・・よろしくお願いいたしまっす!」ケイトは、紫陽花の真剣な眼差しに思わず声を上ずらせ、紫陽花の手を握って、二つ返事してしまっていた。


よい返事と、手を握り返された紫陽花は、礼をしたまま(してやったり)と黒い笑顔をうかべた。


 ドオオンーという何か爆発したような音とともに、地響きのような振動がスタジアム全体に響き渡った。二人の試合が始まったのだ。


「なななななななんな~~~なんですか?今の??」驚きを隠せないケイトが叫んでいた。


「ただの剣圧です。あのクラスのロードなら当然です」紫陽花は、さらっと答えるとケイトの横に並ぶ。


「では、契約書にサインを」と紫陽花が言うと、目の前で行われている戦闘に目をまん丸にしたケイトの前に、一瞬にして書類とペンが現れる。


「はい」と言って契約書にサインしようとするケイトの手を紫陽花の右手が一瞬止めさせた。お金の話を忘れていたのだった。


「契約金はあなたの年齢であれば、片手です」紫陽花は左手の五本の指を広げて見せた。


「500ゴールドですか??」ケイトは一般的なサラリーマンの初年度の年俸の2倍と言われている額を言ってみた。


「5000ゴールドです。その代わり3年間は死亡以外の理由で退職は出来ません」必殺の紫陽花作り笑いが炸裂している。


「契約金以外にもちろん、あなたの適正に応じた給与が支払われます。最低年俸250ゴールド以上は保障いたします。お休みは、通常の労働基準に準じますが、少数精鋭で仕事を回しておりますので、取れなかった場合いは、通常の1.5倍の賃金で会社が休みを買取る形なります。全社的に平均して年に5日程です。ほかに何か聞きたい事があればお答えしますが?」


(生涯獲得年収の4分の1が契約金、拘束はたった3年!しかも年俸も平均初任給以上が保証、こんなおいしい会社絶対、入る~~~~!)ケイトの心の叫びだった。


「いえ、とくにわ」と言ってケイトは契約書に決意を込めてサインした。


「契約金は明日こちらにある、当社の支店で直接お支払い致します。と言いましても5000ゴールドの大金ですので、うちの系列バンクの講座を新たに開設していただいて、そちらに入金と言った形が一番スマートだと思われますので、身分証明になるものをご持参下さい。バンクの営業時間中にお越しいただければ、当日中の納金が出来ますので、出来るだけバンクの営業時間内にいらっしゃってください。その時に今日の契約書の控えもお渡し致します。」


「わかりました」とケイトは元気のよい返事を返す。


ケイトにとっては、夢のような話がとんとん拍子にきまってしまったのである。ほっぺたを自分でつねって、夢では無いことを確認したケイトであった。妖艶な顔つきのケイトが見せた少女のような一瞬であった。


その様子を見た紫陽花が、クスッと笑う(可愛いところもあるじゃない)と。


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