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大好きやったひと

作者: 美雪

大好きなひとがいてん。

あたしは、そのひとのことほんまにほんまに、好きやってん。

照れ屋なあたしは素直になれんくて、そのひとと喋る時は悪態ばっかついてた。

ある時

『お前口悪すぎるんちゃう』

ってだけ言ってそのひとがどっかいっちゃってな。

あたし強がってても気にしいでびびりな上に泣き虫やねん。

すごいショックでなんか勝手に涙でてきて…

どうしようもなくなって勢いでメール送ってん。

『ごめん』ってだけ打って。

速攻でメール返って来てな、

『はあ?なんの話よ?笑』

って。

気抜けて余計涙とまらんくなったわ。

次の日学校で会ってあたしすごい勇気出してさあ、ゆってん。

『あんな、あたし口悪いからめちゃキツいことゆうてまうけど全然本心とちゃうから』

って。

『わかってるわ、そんなん。俺のことアホやと思てるんか?』

笑いながらそのひとはゆいはった。

当たり前のことやん、て顔して。

嬉しくて嬉しくて、あたしその日1日笑ってた。



だんだん時間たつにつれてあたしの気持ちは大きくなって、押さえられんくなっていった。



『大好きやねん』

そしてとうとうあたしは気持ちをぶつけた。

ほんま驚いた顔したあとあのひとは困った顔してゆいはった。

『めちゃ嬉しいわ。ほんま嬉しいで。そやけど…お前とはずっと友達でいたいねん』

わかってた答えでも実際聞くとショックやねんな。それでも必死で笑顔作ってゆった。

『しゃあないなぁ。友達でいたるわ』

ほんま素直ちゃうやろ。

それでもあのひとにはあたしが涙こらえてるんなんかお見通しやった。

そんで、それに気づかんふりしてほしいって思ってんのも。

『ほんま可愛くない女やなあ』

わざと大袈裟にあきれたふりしてくれはった。

あたしの涙見んように背中向けてくれはった。

『俺、お前彼女にはしたれへんけど、大好きやで』そうゆうとあのひとは振り返らんで行きはった。



あたしの大好きなひとの話はここでおしまい。

だいぶ前の話やのに今でも思いだす度、胸の奥のとこが痛くなって、でもなんか暖かくなるねん。

きっとそれは、あたしがあのひとをほんまにほんまに強く好きやったからで、あのひとがあたしをちゃんと受け止めてくれはったからやと思うねん。

ひとをすっごい好きになってまうと、しんどいことも辛いこともおまけに涙もいっぱい出てくるけど、そんなん出た後に残るんは、ほんのちょっと強くなった自分と……暖かい想い出やと、あたしは思うよ。

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