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et cetera.  作者: loco
3/5

kahokiss.

****





―――なんのために、私は生きてるの?





果歩は、ベッドに寝転がり天井を見上げながらふと思った。


いや、小さく口にしていたかもしれない。


けれども横で眠る男の寝息にかき消されて、冷たい部屋にこだましなかった。





わたしは…死にたいわけではないのよね、と果歩は自身に問いかける。


自ら自分を殺めるほど強くも弱くなかったし、憎くも愛してもなかった。


そもそも、人は否が応でもいつか必ず死ぬのだ。その流れを自ら断ち切るなんて自然の原理に反してる、と果歩は考えていた。


だから、私は自殺なんてしない、と。


ただ、問題があるとすれば死にたいという意思がなければ、生きたいとも思わないことだった。




ー…なんのために生きるかなんて…、


ふと、男の声が蘇ってくる。横でスヤスヤ眠るこの男の声が。優しい優しい声が。



「なんのために生きるかなんて、人それぞれ違うんだ。


仕事のため、趣味のため、愛する人のため、誰かとの約束のため。みんな違ってるから、だから自分は何の為に…なんて不安になるのかもしれないね。


大丈夫、

果歩ちゃんも焦らないでそれを一生かけて見つければいいさ。

あぁそうだ、生きる意味を見つけるため生きるってのもいいかもしれないね。」






生のための生…。


答えなんかない問いだなんて承知の上だった。どんな答えだろうとも期待してなかった。そうと知っていても聞いてみたくなったのだ。自分以外の考えを。


まだまだ答えは見つかりそうにないな、と果歩は息を吐く。


でも、それでいいなかもしれない、とも思った。




とりあえず、

と果歩は小さく呟く。今度は確かに自分の意思で呟いた。


「とりあえず、わたしがいますることは寝ることだな」


果歩は幸せそうに眠る男にキスを落とし、温まった布団に潜り込んだ。





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