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et cetera.  作者: loco
2/5

あなたのことを、

****





~~~♪アナタノコトヲ深ク愛セルカシラ?~


コンポから流れるメロディに耳を傾ける。この曲、私だいすき。居心地のいい声に今にも眠ってしまいそう。


ピンポーン。


眠気を吹き飛ばすかのように、部屋のチャイムが勢いよく鳴った。



来たわね。


今日は恋人との七回目の記念日。あの日から七年が経ち、私たちは25歳になった。そして記念日を私のアパートで祝いに、彼がやってきた合図に違いなかった。


ピンポーン


「いま出ますよ~」

ドアを開けると、愛しい愛しいあの人が笑顔で立っていた。七年前、下駄箱で話しかけてくれた笑顔のまんまで。


「ハッピーアニバーサリー!」


彼はそう言って小さな箱を差し出した。箱の中身は、7年間の思い出に相当するくらい煌めいている指輪だった。もしかして、そう感じた刹那、彼の目が私を捉え、そのまま自然と顔が近付く。


ちゅっ。


優しいキスのあと、次のステップへ進む言葉を彼は言った。「ずっと、ずっと一緒にいよう」




驚く私を横目にCDがまた一から再生された。


~~~♪アナタノコトヲ深ク愛セルカシラ?~


…ううん、違う、と私は私自身に言った。


あなたのことも、と言って彼の指輪を受け取り、あなたのことも、と言ってお腹をさする。


あなたのことも、

あなたのことも、

深く愛していくからね。


私は泣いた。

彼も泣いた。


小さい命だけが、まだ泣かずに深い海底で眠っていた。





*****



※引用

spitz『冷たい頬』



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