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燃え〈ルナ〉よ剣‼️~コミュ障少女。ぼっち生活を死守するために、お弁当と燃える剣で冒険者たちを守ります~  作者: みちのあかり
朝食と冒険者さん(4日目)

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第42話 お菓子をつくるよ

「じゃあなルツィナ。今晩はシルルが行くからよろしくな」


 リーダーさんが、絶望的な言葉を吐いて去っていきました。

 なんで私は、夕方に冒険者さんが来ることを了解してしまったのでしょう。


「押し切られただけだよね」


 そうですね……。


「でも、よく一人だけ来るようにしたね。ルツィナなりに頑張ったよ」


 うん。頑張ったよ。四人で来られたら何もできないから。心の友一人だけで来るようにお願いしたんだから。


「名前、覚えてるの?」


 うん! ええと……あれ? シシラ? シララ? だったっけ?


「シルルじゃなかった?」


 あっ、そうかも。


「友達失格だね!」


 いいんです。私の中の心の友なんですから。名前なんて呼び合うこともないし。


「大丈夫か? ぼっち慣れしすぎてない?」


 う……そう、かも。


「ま、名前くらい覚えてやりな。そこからだよ」


 そう、ですね。はい……。


「ま、後のことは後で考えて、お菓子作るよ」


 うん。スイートポテトですね。え? でもサツマイモ自体、スイートポテトって言いませんか?


「そうだね。でもこれから作るのはスイートポテトを使ったさらにおいしいお菓子だよ。言うとおりに動いてみて」


 はい! じゃあエプロン付けます!

 私は気合を入れて準備に取り掛かった。



「まずはイモを洗って。オーブンがあったらじっくり焼くのが一番なんだけど……、アルミホイルもないしな」


 え~と、悩んでいるんですか?


「ああ、ごめん。とりあえず、ここにあるもので簡単に作るとしたら。まあ、輪切りにして煮るのが早いよね。ルツィナ、そのサツマイモ皮ごと輪切りにして。5センチくらいの厚さで」


 わかりました。切ります。一個でいいですか?


「せっかくだから二個にしよう。余ったら次に使えばいいし。あ、皮も剥いておこう。じゃあ、鍋に敷き詰めて。そうそう。ひたひたより少し多めに水を張って。いいね。それくらいだ」


 では、浄化魔法をかけましょう。


「蓋をして、沸騰したら弱火で10分くらい? 柔らかくなるまで煮たらお湯を捨てて。そうだね。半分は裏ごし用に取っておいて、半分を木べらで潰しながら水分を飛ばそうか」


 半分は鍋から出して、半分を火にかけながら木べらで潰していきました。


「うん。そのくらいざっくりとしているのがいいよね。じゃあ火を消して」


 はい!


「バターをひとかけら入れて混ぜる。余熱で溶けるから全体にからませて。そこにミルクを大さじ二杯。砂糖を大さじ一杯いれてよく混ぜて。生クリームがあったらコクが増すんだけど、ないよね」


 ありません。高いです!


「お金ならあるじゃん。あとで買いに行こう。うん、いいね。味見してみて」


 これを食べるのですか? いいんでしょうか。


「味見だよ! 少し口に入れて。あたしが判断するから!」


 そ、そうですよね。じゃあ、遠慮なく……。


 ……………………なんですか! このおいしさは!


「ん? イモの甘味が薄いな」


 は? 何言っているんですか! こんな甘くておいしいものに何を!


「やはり、生クリーム……まあ、はちみつを入れてみようか。はちみつを小さじ一杯入れて。それからバターもひとかけら追加で」


 えええええ! まだ甘味とコクと風味を! 追加! 本気ですか!


「いいからやれ」


 はいぃぃぃ! はぁはぁ。はちみつ。バター。こねこね。


「味見」


 はいっ! ん? おいしいいいいいい!


「あっ、そうか。塩か。塩一つまみ加えて」


 え?


「ほら。早く」


 はいぃぃ! これでいいですね。こねこね。


「じゃあ、それを半分にして」


 は?


「半分は、その一番大きなスプーンで掬ってそのままお皿に盛りつけて」


 こう、ですか?


「そう。小さなサツマイモみたいな形に見えない?」


 なるほど。確かに!


「本当は大きく成形してオーブンで焼きたいんだけど。まあ大丈夫」


 またオーブン。そんな高いもの無いです!


「はい、作って。そうそう、いい感じ」


 残った半分はどうするんですか?


「干しブドウ入れよう。一つまみ入れてみて」


 はい!


「あ、少ない。あと二回。二回分入れてみて」


 入れました。


「じゃあよく混ぜて成形。いいね。見た目で区別がつくよ」


 それはそうですよ! 干しブドウが目立っていますから。はい、これで全部です。


「じゃあ、残りのおいも、裏ごししようか」


 言われた通り裏ごしして、鍋で温めました。こちらは蜂蜜もブドウも入れず、代わりに薬草のミックススパイスを練り込みました。


 三種類のスイートポテトが出来上がりました。


「おやつの時間だね。ドリンクはお茶? コーヒー? ミルク?」


 甘いお菓子にはミルクかな?


「はは、お子様だねえ。まあ、ルツィナがいいならミルクにしようか」


 ブラックコーヒー飲みたいんですよね。私には無理です!


 では、気を取り直して。まずは最初に作ったはちみつ入りのスイートポテトを食べます。


 うん。さっきの味見した時より、味がクリアになっています。お塩が全体を引き締めて下さっています! ミルクと最高に合う、素晴らしいお菓子になりました!


「う~ん。これはこれで素朴でいいか」


 は? え? 何? 何が素朴でいいですって? 素朴? これが?


「うん。ま、次食べて見な」


 次? 次ですね。このレーズンが入った方ですね。


 ん? ふわぁ! これはまた!


 凝縮したレーズンの甘さと酸味。クチュっとした歯ごたえが、ほくほくしたおイモの荒い粒たちと混ざり合い、何とも言えない幸せがあふれ出ます。


 先ほどのシンプルな方をもう一つ。


 うん。これはこれでおイモのおいしさがダイレクトに味わえます。

 そしてレーズン入り。酸味と甘みの爆発が!


 みんな違ってみんないい!


 甲乙つける必要なし! 確かに素朴な味って言える……のか⁉


 全然素朴じゃないよ! どっちも至高のおいしさだよ!


「ははは。ほら、まだ残っているのにそんなこと言っていいの?」


 そうでした。裏ごししたやつ。一番シンプルな味付け。


 ゆっくりと指でつまみ、口にいれます。


 ん~! 何でしょう!


 降りたての雪が地面で溶けるように、口の中に入れた瞬間にフワッと蕩けそうな食感。


 舌でへにゃっと潰れ、さらさらとした粒子が、ねっとりと寄り集まっているこの感じ、なんて言えばいいんだ?


 薬草のほのかな苦みが、おイモの甘さを強調させる。

 なんて言うか、絶対の調和。


 はちみつがない分、おイモの自然な甘さが引き立っています。


 大人のための上品な逸品!


 先ほどの二つが至高なら、これは、そう、至極! 至極というべきイモ料理!


「おおげさだなぁ。うん。まあまあいい出来」


 まあまあですって!


「だって、生クリーム入れてないし、黄身を塗ってオーブンで焼いてもないし。あたしの理想から言えば、まだ製造途中だよ」


 オーブン! またオーブン? あんな高いもの。


「いくらするんだよ。宝石売ったお金でも買えない?」


 買える、んじゃない?


「生クリームは買えるよな。じゃあ、見に行こう。オーブンとか調理器具。お金は使ってこそ価値があるんだよ」


 そうかもしれませんが……。私が大金使っていいのでしょうか。



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