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燃え〈ルナ〉よ剣‼️~コミュ障少女。ぼっち生活を死守するために、お弁当と燃える剣で冒険者たちを守ります~  作者: みちのあかり
朝食と冒険者さん(4日目)

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第40話 衝撃のTKG

 翌日。目が覚めるとまだ一人。

 いつもと変わらないはずなのに、なんか静かだ。


 まあ、いいや。お弁当11人分作りましょう。


 着替えて洗顔して。今日はいろんな野菜のミルク煮込みを作って、スープと分けましょう。


 私たちの分のお米だけ洗って水に付けておきましょう。


 人参、大根、サツマイモ。四角く切って詰めやすいように串に刺す。


 柔らかくなったらミルクを入れる。

 お塩と砂糖で味を調え……うん。いいお味。……あれ? もしかしたら。


 私は少しだけスープを別の鍋に移し、お味噌を入れてみた。


 ……ん。おいしい! 思った以上だ。

 昨日のお汁と全然違うんだけど、ミルクとお味噌のコク同士が柔らかに混ざり合って、深い喜びに変わる。


 うん。これは最高に良いお味。これならお弁当高くても許してもらえるよね。


 お肉は……さすがにダンジョンで取れたお肉じゃやりすぎだよね。

 このスープに合うのは、鶏肉かな?

 こっちも食べやすいように焼いた後串に刺しましょう。


 塩コショウのシンプルな焼き方で。皮はパリッとなるように。


 あとはパンを切って。蕗の葉に包めば。

 うん。出来上がり。


 じゃあお米を炊きましょう。ルリが朝は絶対ご飯にしてッて言っていたから。


「や、おはよう、ルツィナ」


 おはよう。ご飯もうじき炊けるよ。


「朝ごはん作っているの? なに? 朝から焼き鳥?」


 焼き鳥? まあ鶏肉焼いたから間違ってないよね。


「塩味もいいけど、タレを作ってかけて焼くのもいいよね」


 タレ? 焼き肉のタレですか?


「ん~、もっと甘くした感じの。味醂と日本酒があるといいんだけど、砂糖醤油でも作れそう。まあ、今日はいいか」


 なんですか。気になります。


「じゃあ、簡単に。大さじ一杯の砂糖を大さじ二杯の醤油で溶く。よく混ぜてね。小さじ一杯の水を加えようか。味見て。うん。こんな感じかな?」


 甘じょっぱい。不思議な味です。


「網かなんかで直焼きしたいところだけど……コンロ汚したくないからつけるだけでいいか。刷毛で塗って良しとしよう」


 じゃあ、四本あるうちの半分だけ塗るよ。塩味と比較したいし。


「いいね。そうしな」


 私のはお弁当じゃないから、スープに具が入ったまま味噌を入れた。


「ミルクに味噌いれるのか? まあ、あり、なのか?」


 おいしいよ。味見したから大丈夫。


「そうか。まあ、まかす」


「ご飯できた? ああ。今日もお米ね。早く食べましょう」


「サニー。いきなりそれか? おはようは?」


 サニーさんがやってきました。おはようございます。


「ルツィナ、ルリ、おはよう。いい朝ね」

「起きてきたらご飯できてりゃ、いい朝だよな」

「イヤミ? でも大丈夫。ルツィナのご飯の前では」


 またじゃれ合っています。はい、盛りつけたよ。


「ルツィナ、卵ある?」


 あるけど。何作るの?


「卵かけごはん。サニーは放っておいてあたしたちだけで食べよう」

「えっ、何それ。私にも頂戴!」


 はいはい。卵二つね。どうするの?


「その器でいいかな? そこに割入れて」


 うん。じゃあ浄化するね。サニーさんの分も。


「そうしてお箸で軽く混ぜ溶く。そうそう。そんな感じ」


 これでいいの?


「そこに醤油をひと垂らし。そう。そのまままた軽く混ぜて」


 黄色い卵が茶色身を帯びていきました。


「それを熱々のご飯にかける」


えっ。ドロドロしたまま? わかりました。えいっ。


「ご飯と混ぜて。そう」


 なんというか、ねばねば? とろとろ? せっかくくっつき合っていたお米同士が、水分でバラバラになっています。白だったお米が少し汚れたような黄色に侵食されていきました。


「じゃあ食べようか。いただきます」

「「いただきます」」


 ルリは実体がないから私が食べるだけなんだけど、隣に座ってご飯を見ている。

 わかってますよ。ご飯からだよね。


 ん。お箸ではつかみづらい。


「スプーン使ってもいいよ」


 そうする。え? 最初からスプーンを使っているサニーさんが、一口食べて固まっています。


 どろどろになったご飯をスプーンで掬って、一口……。

 ………………

 言葉を失うほどの衝撃がお口の中にあります。


 ごはん? ご飯だよね。でも昨日食べたご飯とはまるで別の食べ物だよ、これ。

 生の卵って、こんなにも濃厚なのですか!


「ちょっとちょっとちょっと! なにこれ! おかしい」


 うるさいです! 思考邪魔しないで下さい!


「だってだってだって! おいしい~!」


 うん。理解できないけどおいしいことだけはわかる。一面のタンポポが咲き乱れている平原。そのタンポポが次々に綿毛になって、朝一瞬黄色く焼けた空に吸い込まれるようにいっせいに飛んでいくような、そんなイメージ。


「ルツィナ、わかんない」

「そうね。わからないけど、まあ、感動はわかるわ」


 あ~! いいの! 私のイメージなんだから。


「ほら、焼き鳥も食べてみようよ」


 そうだね。まずは定番の塩味。うん。パリッとした皮と柔らかなお肉。塩のおかげで脂の甘味が引き出されています。


 まだ刺さっているけど、たれの方も一口。


 えっ、さっきタレの味は確かめたはずなのに……。

 お肉に絡むと全然違う!


 お肉の脂が溶け合ったタレは、これが完成品だとばかりに口の中で主張します。

 コク、コク、甘さ。お醤油のコクと塩辛さが甘いだけではない複雑な旨さを引き出しています。


 鶏肉のジューシーさがしっかりとたれを受け止め、でもべったりとした甘さが後を引きます。


「肉を一つ、ごはんに乗せて一緒に食べてみて」


 これを? ご飯にのせる? たまごがかかっているのに?

 でもルリの言うことです。やってみましょう。


 んんんんん! ご飯が! 卵かけごはんの味が進化を遂げました!

 さっきの濃厚さとは違う、甘いたれの混ざったご飯は、筆舌に尽くせぬおいしさです。


「卵かけごはんはね。ご飯のお供しだいでいろんな面を引き出せるんだ。この間作った肉そぼろ、あれを加えると全く違うおいしさになるし」


 肉そぼろ! おにぎりの具にした! 絶対おいしいやつだ!


 ああ、ご飯がもうありません。もっと確かめたかったのに。


 サニーさんが騒いでいますけど放っておきます。


「卵かけごはんは一日一回だけにしておきな。三日に一回でもいいくらいだ」


 ええ! 何でですか!


「卵の取り過ぎはよくないよ。それに他の卵料理も作りたいし」


 うう~。わかりました。


「まだスープも残っているじゃん。ミルクに味噌? 味確かめて」


 私はさっき確かめたけど、ルリは初めて?


「ああ。入れたことないな」


 私の唇の端が上がりました。何でだろう? まあいいや。

 私がスープを飲むと、ルリが固まってしまいました。


「これは……。なんて優しくてまろやかな味。初めてだけど懐かしい。全身が優しさに包まれて温まっていく」


 おいしい? おいしい? おいしいですよね!


「ああ。すごいよルツィナ! これはすごい! すごくおいしいよ」


 え? そこまで褒められると、なんかむずむずします。


「絶品! やっぱり無理してても来てよかった! じゃあ夕飯もよろしく。絶対来るからね! 新作料理楽しみにしてるから!」


 あ、サニーさん帰っていったよ。


 ルリと二人になりました。今日は、何をしましょうか。


「お菓子作る? それから調理器具見に行きたいな」


 お菓子! それは素敵です。上手く出来たら孤児院に持っていきましょう。


「いいんじゃない? じゃあ簡単スイートポテトを作るよ」


 甘いお芋? おいしそうです。



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