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第20話 レベルアップ

 やっと戻れた。

 皮を剝いている途中の人参を見ながら、不思議な安堵感を覚えた。


「お疲れさま。まさかこのダンジョンに、魔王が魔物を送ってくるとは思わなかったわ。いつもならあと50年はないだろうから安心していていいと思うわ」


 サニーさんがもう大丈夫だと言ってくれた。


「あ、それフラグってやつだね」


 なんですか、フラグって。


「悪い呪文みたいなやつだよ」


 悪い呪文? 呪いか何か?


「ラノベの読み過ぎよ。はい報酬の調味料。お味噌よ。レシピは『豚肉の味噌漬け』ね」


 壺が現れ、中に茶色い粘土のようなものが入っていた。


「使い方はルリにきいたらいいわ」

「ああ。あたしにまかせな。出汁入りか?」


「出汁なんて入っていないわよ。欲しかったら魔物倒してね」

「それもフラグだよ!」


 え~と。会話に入って行けません。何言っているのかちんぷんかんぷんです。


「出汁、欲しいな」

「何が欲しいの? 鰹節? 昆布?」


 何ですかそれ!


「そうなんだけど……まずは顆粒コンソメの元だね」

「何で! 和の食材じゃないの!」


「まあ、でも洋風もないと。鰹節と昆布も魅力的だけど、それは、粒状の本格的出汁の元で。あ、うま味調味料もいいよね」

「現代っ子め」


 どういうことでしょうか! まったく意味がわかりません!


「カレールーもいいよね。早めに欲しい」

「無理ですよ。もうあなた達に出番はないんですから。もし、新たな魔物が発生しても、絶対他のダンジョンですから。同じダンジョンに何度も現れたことは、いまだかつてありません」


 もう、戦わなくていいんだよね。よかった。


「ふはははは! 我の策略にはまりおったな321! 先ほどからフラグ立てまくりだ」


「はいはい。中二病めが。ルツィナに迷惑かけないようにね。私は仕事に戻るから、あとは安らかに過ごしてね。それから、321ってやめて! サニーって呼んでよ」


「またフラグを立ておったな。まあよい。貴様が望むのであればサニーと呼んでやらんこともない」


「はいはい。まあ、何もなければもう会うこともないんだけどね。サニーって呼んでもらえて嬉しいわ。じゃあね。幸せに暮らすのよ」


 そう言って、サニーさんの声と存在感はぷつっと消えた。



「調理場ここだよね。コンロが二口だけ? お米もう吸水がすんでいるけど、炊いていい?」


 ルリがお鍋を持ち上げた。どうやって炊くのか、私は気になって仕方がない。


「隣で、大なべを使ってもいい? 野菜とお肉を大量に煮込んでおきたいの」

「どの鍋? 寸胴か。なら大丈夫。影響そんなにしなさそうだし」


 皮をむく手を止めて、ルリの行動を見守った。


「おっ、米の炊き方知りたいんだよね」


 うん。


「じゃあおさらいから。まずは丁寧にお米をといで糠を洗い流す。その後吸水させるために30分以上置いておく。冬場は1時間待った方がいいかも」


 うん。


「ほら、うっすらと半透明だったお米が真っ白くなっただろ。こうして、爪を立てると半分に割れる。中まで水が入った証拠だ。水加減は重さの1.4倍。ここまではいいね」


「研いで、吸水30分以上。白くなったらいい。水はお米の1.4倍」


「そう。よく声に出して言えたね。鍋に蓋をして、そうだね、この蓋平べったいから上に重しを乗せようか。ヤカンに水を入れて上に乗せて」


 ヤカン? ああ、ケトル。


「ケトル? うんそうも言うね。あたしの所だとヤカンって言っていたんだ」


 そうか。じゃあそっちに合わせるよ。


「ありがと。蓋は出来上がるまで取らないから。まずは強火で沸騰させる」


 私は言う通り、コンロの火を点け強火にした。


「大きな鍋だから沸騰するまで時間かかるよね。じゃあ、待っているうちに皮剥いて切りそろえようか」


 私は、途中になっていた皮むきを再開するために、包丁を握った。


 え? なにこのスピード。何でこんなに早く丁寧に剥けるの?


「レベル、上がったからじゃない?」


 私はあわててギルドカードを探した。レベルを知るには、ギルドカードの裏を見るしかないから。


 ギルドカードを覗き込む。隣でルリも覗いてる。私が見ればいいんじゃないの?


「まあ、雰囲気さ。それに自分で見た方が理解が早いんだ」


 そういうものなの? まあいいや。レベルは……43⁈ この間までレベル6だったのに。


「かなり高いね。RPGだと中盤から後半レベル」


 何言っているんですか! RPG?


「ここだとどのくらい強いんだろ? サニーがいれば分かるのに」


 あの……鋼鉄の剣の皆さま、Bランクで40台前半……って。


「Bランク! だいぶ強いんじゃないか?」


 ……は、い。


「え~と、体力420、パワー342、魔力800、スピード475、器用さ777、多分凄い数値だろうね」


 ええ。昨日まで、体力42でしたから。


 ギフト

収納(時間遅延)LV10 収納能力 無限 (細胞が崩壊した箇所から水分が奪われるデバフ有り)    

食物保存 LV 5 保存期間30日 使用回数 無限     

魔物浄化 LV10 生体不可。死亡状態の魔物動植物にある、毒・寄生虫・細菌・ウイルス等、全ての異物を排除し食用可に変える。


 え? こんな項目あった?


「レベル上がったからじゃない? それより、これ他の人に見られたら大変なんじゃないの」


 他人が見えるのはレベルだけ。あとは本人にしか見えないようになっているの。


「ふ~ん。じゃあいいのか?」


 基礎データも見られないはず。大丈夫よね。


「けどさ、レベル見られても大変なんじゃない?」


 ああ~! 確かに! でも、私のレベルなんて興味ないよね。誰も。

 ああ~、そういえば!


「なに?」


 ギルドで特殊な機械を通すと確認できるはず。ランク上げる時にギルド長がチェックするはず。


「ランク、上げたいのか?」


 できればDランクまではなりたいんだけど。いろいろやっていいことが増えるから。


「今行ったら、根掘り葉掘り聞かれると思うよ」


 そうですね。


「諦めな」


 うう~。何でこんなことに。


「それより今は100個! せっかくのレベルアップ、とっととやるよ」


 はいっ! それから必死で皮をむいては大きさを切りそろえて煮た。

 同時に、お米の炊き方、特に火加減を教えてもらった。炊きあがると、甘い匂いが漂ってくる。


「まだだ。ここから火を落として、15分蒸らす。絶対に蓋は開けちゃダメ。待つのも仕事」


 余熱調理ですね。わかってます。じっくり待ちましょう。


「今のうちにおにぎりの具を作るよ。焼き魚はできたよね」


 うん。グリルで焼いてるのができたよ。


「ひき肉あったよね」


 あります。収納しています。


「じゃあ、肉そぼろ、作るよ。フライパン温めておいて」


 肉そぼろって、何ですか!



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