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終わりなき鍛錬の始まり

【メッセージボックス】

 滅多にないが、ネルヴィアやカイネからの連絡が来ることがあるらしい。カイネはまだしも、ネルヴィアからの連絡なんて絶対にいらない。


【クエスト】

 ハンターズギルドで受けた依頼や神域での特殊任務がここに表示されるらしい。履歴も確認できるそうだから、地上に戻ってハンター業に復帰した時に便利そう。


【装備一覧】

 現在身に着けている衣服、装備品、装飾品が確認できる。何かしら特殊効果があれば記載されるらしい。もっとも、そんなものは遺物【オーパーツ】くらいで、私の手元に遺物は一つもない。従って、確認のしようもない。


【魔法一覧】

 自分が使える魔法を一覧できる。今のところ、私が把握している補助魔法はすべて記載されていた。今後レベルが上がれば、使える補助魔法も増えるかもしれない。時々確認しておこう。


【祝福一覧】

 神から授かった祝福とその効果が確認できる。現状は『武具と鍛錬の祝福』のみ。ネルヴィア曰く、今後さらに四つの祝福を得られるらしい。全部揃った時が楽しみだ。


【所持アイテム一覧】

 手持ちの道具が一覧できる。二十種類まで持てるらしいけど、そのあたりはまだよくわかっていない。忘れ物チェックに使えそう。


【アイテムボックス(精神力、知識、知恵が60以上で解放)】

 C級以上の補助魔法使いが使えるという噂の空間収納魔法。早く使えるようになりたい。


【ショップ(レベル20以上で解放)】

 カイネが運営するらしい謎の店。とりあえず、意味不明だけど納得しておく。


【武具作製】【武具修理】【アイテム作製】【アイテム修復】【分解】

 素材さえ揃えば色々とできるらしいが、今はまだレベル不足で開放されていない。遺物も作れると聞いた時は少しワクワクした。


【神力異界通信(レベル100以上&精神・知識・知恵が140以上で解放)】

 神様たちが読んでいる新聞とやらが読めるようになるらしい。異界って、何よ。


【称号】

 特定条件を満たすと神様から与えられる。能力上昇効果があるらしい。あのクソ神のセンスは信じていないけど、まあ利点があるなら仕方ない。


【オプション】【ヘルプ】

 メニュー画面の見た目や呼び出す言葉を変えたり、カイネからの説明を読み返したりできる項目。でも、メニュー画面の見た目を変える暇があれば、強くなる努力をしたいわね。


『……以上になります。長丁場になってしまい申し訳ありません。何か質問はございますか?』


「えっと、そうですね……」


説明はわかりやすかったし、見直しもヘルプでできる。


あとは実戦あるのみ……でも。


「あ、カイネに連絡したい時って、どうすれば?」


『私に……ですか? それは初めての質問ですね。ですが、私と話しても面白いことなどありませんよ?』


「そんなことないですよ。ネルヴィア様の神域を進むのは、さすがに一人だと心細くて……。話し相手、というか愚痴を聞いてくれるだけでも心強いなって思って」


『なるほど。ミシェル、あなたは本当に面白い方ですね。では、こうしましょう』


カイネがそう言うと、メニューの最下部に【カイネ直通念話】という項目が追加された。


『これを押せば、基本的にはいつでも応答できます。ただし、力を貸すことはできませんので、その点はご了承ください』


「わかりました。話を聞いてくださるだけで十分です。ありがとうございました」


『いえ。ミシェルが大変なのはこれからですよ。どうか、ご無事で』


なんだかすごく不安になってくる。


でもやるしかない。


『では、時間停止を解除します。覚悟はよろしいですか?』


「は、はい。大丈夫です」


本当は全然大丈夫じゃない。


だけど、アウラとレイチェルが待つ地上に戻るため。


あのS級ハンターどもに鉄槌を下すため。


私は、この神域を攻略するんだ。


硝子が割れるような音が響き、次々とゾンビたちが地面から這い出してくる。


「よし、まずはさっき振った筋力の確認よ」


杖を構えて、私はゾンビたちの頭を片っ端から殴り飛ばす。


腐っているとはいえ、以前と比べて遥かに手応えがある。


「すごい……。さっきまでの私とは段違いじゃない!」


筋力に一しか振ってないのに、効果は絶大。


この調子なら、やれるわ。


『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルはレベル2になりました』


「やった、もうレベルが上がったのね」


嬉しさで浮かれた私は、重大な事実を見落としていた。


ゾンビの数が増えすぎていることに。


『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルはレベル3になりました』


「この調子で……きゃっ⁉」


突然、地面から伸びた腕に足を掴まれ、転倒する。


「この……離しなさいよっ!」


蹴り飛ばすとゾンビの頭は飛んでいった。


「たいしたことないわね……って、痛っ⁉」


首筋に激痛。


振り向けば、ゾンビが私の首に食らいついていた。


「いつの間にこんな……」


ゾンビの群れは、もはや一人では対処しきれない数になっていた。


必死に振り払っても、次から次へと群がってくる。


「やめて、来ないでええええっ!」


もみくちゃにされ、倒され、身動きが取れなくなる。


「いやっ、痛い! やめて、やめてえええっ!」


これで終わりなの? 祝福をもらって、変われるはずだったのに。


『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルはレベル4になりました』


私は……アウラ……レイチェルのところに……帰る……。


痛みと血と絶望に沈みながら、ゾンビたちが発する咀嚼音のなかで私の意識は闇へと沈んでいった。


『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルは称号【食べられちゃった】及び【終わりなき鍛錬の始まり】を取得しました』






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