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Paradise⑲

「へぇ……主様、色々とありますね!」

『そうだね、改めて見ると確かに沢山……うーん、確かにどこも混んでるな』

「そうですね……」


エルと一緒に坂道を昇りながらも通りに面しているカフェや洋食屋を散策する。

時間帯もあるのだろうけれども、どこも混んでいてはお客さんの出入り……回転率が早いような印象だった。

どこか場所は無いかな? とエルと一緒に見て回っていると──。


「おや、お客さん。食べるところ探してるのかな? うちはどうだい?」

『え?』

「あっ、どうもー! また、お越しくださいませ~!」


美味しかったねぇ~! っと、カップルが店から出るのを見送りつつ、店員だろう人が僕達をちょうど見つけたのだろう、声を掛けてくれて来ていた。


『どうする?』

「主様……エルは結構、実はもうペコペコです」

『だよねー。うん、なら入ろうかな?』

「あはは! いらっしゃい! うちはホッカイドウでも美味しい洋食屋さんだよ! 味は保証するよ! さぁ、いらっしゃいいらっしゃい! お客様2名様~!! 入ります~!」


僕達の返事に店員さんは顔をニッコリとしては僕達を店内に案内してくれる。


「あっ、こちらメニュー表です! お決まりになりましたら、お呼びくださいませ!」

『うん、ありがとうございます』

「メニュー……いっぱいですね。オススメとかあるのでしょうか?」

「うちは、ハンバーグとナポリタンはオススメだよ!」

『なるほど……』


そう言いながら、エルと目が合うとエルも同じことを考えていたのだろう。


『なら、僕はハンバーグの定食で』

「エルはナポリタンでお願いします」

「はい! 承知致しました~! オーダー入りましたー!」

僕達の注文に笑顔で店員さんは頷いては厨房にオーダーを知らせに行く。


店内はお客が溢れており、皆美味しそうに食べていた。


「楽しみですね」

『そうだね! 既に店内の中の匂いが良いものね』

「はい!」

エルと二人でウキウキと待っているとハンバーグとナポリタンが運ばれてくる。


「ワァ~! 主様! 凄いですね!」

『肉汁も凄いや……』

教会に居た頃は質素な生活をしていたから、それも理由にはあるのだろう。

暴力的な美味しさは僕の胃袋をしっかりと鷲掴みしては黙々と食べてしまう。

ふと、顔を上げてエルを見てみると、エルも目を輝かせながらもフォークの扱いに多少は困りながらも一生懸命に食べていた。


「あっ……」

『美味しいね』

「はい……美味しいです」

『うん、食べよっか!』


そんな自分の視線に気付いたエルは恥ずかしそうに応えるが、僕の言葉に頷いては、僕もそうだけれども黙々と食べ始める。

お皿の上が綺麗に無くなるまでは、そう時間が掛からなかった。


「美味しかったですか?」

『はい、本当に美味しくて……』

「また食べたくなりました」

「ふふふ、ありがとうございます。 こちら食後のサービスのコーヒーになります。 お砂糖とミルクは自由に入れて下さいね」


そして、店員さんは僕達の食べ終わった皿を綺麗に片付けるとテーブルの上にコーヒーを2つ、ミルクの入った容器と角砂糖の入った壷容器を置いていく、そしてニコニコと厨房へと戻っていくのだった。


「この容器……可愛いですね」

『そうだね、それに魔法の術式が描いてるのかな?』


良く見るとミルクとコーヒーには保温性や殺菌の術式っぽいのが描かれてるように思える。

角砂糖の壷には湿気を防ぐような物も見られた。


「確かに、これは……丁寧な作りですね」


エルもじっくりと観察してから、視線を外しては角砂糖とミルクに目がいっている。


「主様は入れるのですか?」

『ん? 僕はブラックで楽しみつつ入れようかな? って、思ってるよ?』

「へぇ……」


そう言いつつ、エルはコーヒーをすするが……ウッ! っと、苦い顔をしては黙々と角砂糖とミルクを入れ始める。


『苦かったかな?』

「ウー……」

『一応、この苦さとか、苦みの中のキレとか美味しさもあるのだけれども……』

「エルは普通にミルクと角砂糖入れて飲めれば良いと思います……ふぅ、美味しいです」 

『なら、良かった』


角砂糖を多少多めに……ミルクも同じく多めに入れてはエルは改めて、口を付けては啜ると美味しそうに顔を綻ばせては飲み始めていた。

僕もそれを見つつ、ゆっくりと飲んでは途中から角砂糖、ミルクを調整しつつ入れては味を楽しんでいた。


のんびりとした時間はずっと続くかと思われたが、お互いにコーヒーを飲み終えた事で終わる。

店外を見てみれば並んでいるお客さんが居て、この店の人気を象徴しているようだった。


『そろそろ、行こうか?』

「そうですね」

『すみません! 清算をお願いします!』

「はーい! 美味しかったですか? こちら、お間違え無いでしょうか?」


清算をお願いすると店員さんが僕達のテーブルまで来てくれては目の前には本日食べたメニューと値段、そして下には合計金額が出ており、清算ボタンが現れていた。


『うん、大丈夫だね』

手を動かさなくても承認を意識すると自分のステータスのSEEDが減っては清算がされていく。


「はい、お間違え無く頂きました。お客様が出ます~!」

『ご馳走さまでした』

「美味しかったです」

「また、いつでもお越しくださいませ」

店員が頭を下げては見送ってくれる。

そして、僕達と入れ違いに新たなお客さんも店内に入っていくのだった。


「美味しかったですね!」

『そうだね、また明日も他のメニュー食べてみたいよね』

「はい!」


僕達はお腹と心が満たされては宿へと帰るのだった。

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