Paradise⑰
『えっと、こっちかな……?』
「主様? もう少し、こっちかと……?」
『えっ、そう?』
mapを2人で覗いては目の前の光景や風景、目印を確認しつつ向かうと。
食堂、解体場、取引所……他にも併設されているのだろうか?
冒険者ギルドが見えて来る。
『えっと、どっちかな?』
「あちらにルーキー、初心者のマークが見えますよ?」
『あっ、確かに……それにしても、僕達結構迷子になってないかな?』
「えっ、そ、それは……き、気のせいです」
僕の問いかけに少しだけ、本当にすこーしだけエルは遠い目をしては応えてきていた。
『とりあえず、初心者の所に行こうか?』
「そうですね!」
『って、エルもギルド登録するの……?』
「ん……?」
『いや、そんな可愛い顔で見られても……』
「だ、大丈夫です! 私もステータス画面有りますから!」
えっへんとした、自慢した表情でナビが自分を見てくる。
『それってシステムに介入しているってこと?』
「……体よく言えば……そうですね」
『大丈夫なの?』
「こ、このくらいならシステムも……見逃してくれるはず?」
『本当……?』
「不安にさせないでください」
プイッと顔を背けてはエルの反応は無くなってしまう。
けれども、僕が歩くと一緒には着いてくるので、一緒に冒険者登録の受付まで来る。
「えっと……お二人の登録で大丈夫でしょうか?」
『あっ、はい。よろしくお願いいたします!』
「私もお願いいたします」
僕たちの返事を受けてはギルドの受付嬢が微笑みながらギルド登録とギルドの説明をしてくれる。
「冒険者ギルドは冒険者をサポートするための組織です。その規模は世界に渡ってあります。ギルドに所属することによって、ギルドに付随する様々な恩恵を得られる事が出来ます。但し、注意点としましてはギルドランクに応じての期間においてのノルマがあります。期間内にてある程度は活動をしていない際は剥奪の恐れがあります。ですが、剥奪された際も復帰のサポートもありますので、その際は都度ご確認頂けましたらと思います。その他は大丈夫そうでしょうか?」
『うーん、大丈夫かな?』
「すみません、そうなると私たちのランクは最初はどの程度に?」
エルがお姉さんに質問する。
「そうですね。最初はEランクからになります。良ければ、頑張って頂けましたら、それ相応にランクも上がりますし、受けれる依頼の幅も増えますので、是非奮って挑んでみてください」
「ありがとうございました」
『うん、お姉さんありがとう』
「いえ、ではこちら……ギルド証が出来ましたのでお渡し致しますね! 一応、ステータスの方にも連動するようにはなっていますので、重ねてご確認下さいませ」
『うん、大丈夫そうだ』
「私も大丈夫です」
僕達はお互いのステータスを見ては項目にギルドランクEが追加されているのを確認する。
「では、私からの説明は以上になります。広間の方にはクエスト依頼が張り出されていますので、そちらで依頼の確認を。気になるものがありましたら受注窓口で承認を貰ってから、クリア後は討伐なら解体場などでの完了報告も出来ます。そこら辺は受領時に確認するのをオススメ致します」
『うん、分かったよ』
「私も分かりました」
「では、お二人とも良い冒険を!」
受付嬢に手を振られては窓口から離れては広間の張り出されている依頼掲示板を眺める。
『「これとかどうでしょうか?」どうかな?』
『「あっ……」』
僕達は二人して同じ依頼の張り出しを指差していた。
依頼内容は薬草採取の依頼だ。
出来高制になっており、品質と量で報酬が変わってくる仕様だ。
更にお買い得では無いけれども、目を引いたのは薬草以外でも良いものがあれば別途買い取ると書かれていた。
納品場所はギルドに併設されている取引所で、定期的には上がっている依頼だけれども、人気はボチボチらしい。
っと、いうのも見分け方とか探しかたとか分からなければ面倒であり、更に稼ぐとして見たら効率的には微妙な代物という扱い枠らしかった。
僕達がその張り紙を取っては受付窓口まで持っていったら窓口のお姉さんは感謝をしつつ、承認をしてくれたのだった。
ただ、付近の森や草原では魔物やモンスターが出るから注意するようには言われたのだった。
だけれども、僕とエルは楽しみを胸に歩き出すのだった。
まだ陽は昇り始めで時間はたっぷりある。
僕とエルはギルド専用の街の出入り口から外に出ては近場の草原と森へと歩き始めるのだった。