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Paradise⑭

『すみませーん! 乗せてくださーい──!!』


あの後歩き続けては最初の最寄りの開拓が済んでは村となった場所に辿り着いた僕は乗り合い馬車の小屋から、丁度街へと向かう馬車を見掛けては急ぎ声を掛けていた。


「乗っていくのかいー?」

『はい! お願いします!』

「ほら、街行きの馬車で前払いだよ!」

「えっと、これでお願いします……!」

御者の方の手元に、自分の手を差し出しては必要なSEEDが表示されては承認して払い込む。


「うーんと……よし、大丈夫だな」


払い込みが無事に終了した事を確認したであろう御者の方は手を後ろに向けては荷台へと案内をする。


『えっと、失礼しますね……』


荷台は雨風が防ぐようにほろが張られており、先には護衛の冒険者の方や、商人の方、同じように街へと用事がある方など色々な人が乗っていた。

後はアイテムボックスに入りきらなかったであろう、荷物が荷台には溢れていて、僕を見ては皆少しだけスペースを空けるように動いてくれた。


「では、出発しますねー。到着は多分陽が落ちる頃には着ければと思いますので宜しくお願いします」


御者の方がそう言いつつ、馬へと鞭を軽く入れると馬は軽くひと鳴きしては、自分が歩いて来た道よりも更に踏み均された道を歩いていく。


荷台から見える景色はのどかなものだった。

ホッカイドウは広大な大地……いや、今は少しずつそれ故に開拓してはいるのだけれども。

開拓した箇所に限ってはその広大な大地を利用しては稲作や、畑作、酪農など本当に多彩に広げては土地を利用している。

そして、荷台からはそんな広大な光景が広がっている訳で、教会の小さな畑や牧場しか知らない僕には輝くように映っていた。


時たま幌馬車に気付いた人たちがこちらに手を振って来るので、軽く手を振り返す。


ただ、もう少しだけ視線を遠くに向けると魔除けの柱や鉱石が埋め込まれてるような箇所も点在しては見えている。


うん、村にも魔除けの柱とかは立っている。

大きな所だと壁とかで防いでいる箇所とかもあるみたいだけれども。

この世界にはモンスターや魔物といわれてる存在は当たり前に居る。


彼らは普通に彼らの領分で生活を営んでいるし、動いてる。

お腹が減れば彼ら同士で争うとか、人里に降りて来るとか、はたまた人を襲う等は当たり前の話だった。


だからこその魔除けなのだろう。

軽い結界を鉱石とかにも刻むことで周囲を覆ってはある程度遠ざけるようにもしているのが現状だった。


だけれども、それさえも越えて現れるモンスターや魔物も居るし。

お腹が減っては死活問題の末に常識外に動く存在も居る。

だから、冒険者という職業は結構お仕事が引く手あまたなのだと、以前にも教会に来てくれていた冒険者の方は語っていたのを思い出す。


それに村や街の中にも警護など彼らのお仕事は多岐に渡るらしい。


そんな話を思い出しつつも馬車は道をカタコトカタコトといつの間にか石畳に整備されている道を馬が悠々と歩きながら進んでいく。


そして、御者の方が言った通りに陽が落ち始めては僕から見える世界に朱が射す頃にはホッカイドウエリアの街が見えて来ていた。


そう、人が多く集まっては商業や産業……が大きく回っている。

その恩恵が既に光となって見えていた。

教会の頃は照らす光は蝋燭ろうそくの灯りだった。

けれども、街は魔力で彩られた光がありふれていた。


街の街頭や、施設や住居等、公共機関にもこの光の魔法を溜めるお仕事があるとは話には聞いていた。

それもまた多彩にやっている冒険者ギルドでのお仕事として紹介があるらしい。

ただ、光の使い手は絶対数がそう多いわけでも無いから、結構美味しいお仕事なのだと言っていたのを思い出す。


『綺麗だ……』


不意に言葉がこぼれていたのだろう。


「そうだろう? ようこそ、ホッカイドウの街へ」

自分の独り言を聞いた、御者の方は嬉しそうに微笑んでは空いた片手を街へと差し向けては、そう僕へと言ってくる。


そんなサービスに僕も嬉しくなって笑ってしまう。


そして、幌馬車は街の外の待ち合い小屋へと到着しては各々、人が降りていく。


『ここまで、ありがとうございました』

「いやいや、お兄さんは旅人かな? 良い出会いがあるように! ホッカイドウは観光も良いからね。ゆっくりすると良いよ。じゃぁ、また機会があれば、ご利用お待ちしているよ!」


最後に降りては御者の方にお礼をすると、御者の方からまた嬉しそうに笑われては言葉を返される。

御者の方は手をこちらに振りながら、待ち合い小屋から御者の方用の連絡所へと歩いていく。


『よし、行くかな』

自分も旅袋を背中にポンッと背負っては、まずは街の入り口へと歩き始めるのだった。

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