Paradise⑩
ある日は商業ギルドからの商人も来ていた。
彼らとの交流は大切なライフラインだった。
ここの畑で採れた野菜や牧場での加工製品。
そして、内職で作った服や陶芸品、小物を引き取ってはお金を貰っていた。
逆にそれに合わせて、向こうが持ってきてくれた交易品を買っては生活の足しにするのが通例だった。
商人ギルドの方もここまで来るのに疲れる事もあるから、宿泊はする。
だから、彼らから見える世界の話や商流や販売の仕方とかも希望する子達には教えたり見聞きしてくれたりしていた。
どうやら、この街には港があり船が出ていては船旅をすれば少し離れた地へと辿り着く事が出来ると教えてくれた。
まぁ、船旅もお金が必要な訳で。
その為の商売とか、苦労とかも時には面白おかしく話してくれたりしたのだった。
後は鍛冶ギルドだ。
鍛冶ギルドといっても、幅は広い。
単純に物の製作に携わる分野の人や、それを販売、届ける分野。
色んな人が集まって居た。
今回来ているのは釘とか工業用製品を届けに来てくれた人だった。
神父様が対応しては商談をしている。
そして、お互いに笑顔を浮かべては腕を組んだので、商談が成立したらしい。
鍛冶ギルドのおじさんが言葉をこぼして居たけれども、やはりうちの教会の神父様は良い意味で変わり者らしい。
本来の教会の人というのはもう少し堅苦しいイメージというか、そのままの人が多いらしかった。
僕の中で、その日神父様の好感度なるものが上がったような気がしたのだった。