表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/117

興味

「……まったく、正気とは思えないな」


 柔らかな寝台に腰を下ろして、グスタフが呟いた。


「同じ部屋にいるなら、私が監視していることになるという訳です」


 そう言って、セレスティアは微笑んだ。

 セレスティアは、組織の頭領であるカドッシュに、もはやグスタフには「リベラティオ」に敵対する意思がないとして、その待遇の改善を願い出た。

 結果、部屋の寝台が一つ余っているということで、グスタフはセレスティアと同じ部屋で過ごすことになったのだ。

 身体能力を著しく低下させる「(かせ)」は着けたまま、単独行動は許可されず、勿論(もちろん)この本部から出るのは禁止という条件だが、それでも破格の扱いと言えるだろう。


「ユハニ・ヴァルタサーリは、君には随分甘いと見える。ところで、君の、お供たちは納得してるの?」


 グスタフが、傍らに立っているフェリクスとアーブルに目をやった。


「君に敵対する意思がなく、かつセレスティアが承知の上なのであれば、言うことはない」


 フェリクスは頷いた。


「『(かせ)』が付いたままなら、あんただって何もできないだろうしな。ここまで来て、何か仕出かすとも思ってないけどさ」


 アーブルが肩を竦めて言った。


「言っておくが、僕は『リベラティオ』に協力する気はないからね」


 念を押すかのように、グスタフが言った。


「そこまで要求するつもりはありませんよ。ただ……私は、今まで(とし)の近い同性の方とお話しする機会が殆どなかったので、できれば、話し相手になっていただければと……」


 微かに頬を染めるセレスティアを見て、フェリクスは少し複雑な気持ちになった。


 ──考えてみれば、セレスティアも、長い間、孤独な時間を過ごしてきたのだ。同性のほうが話しやすいこともあるだろうし、彼女が友人を欲しいと思うのも、何ら、おかしなことではない筈だが……


「そこの男……フェリクスとかいったか、本当は、あまり面白くなさそうな顔だね」


 グスタフが言って、薄く笑った。


「貴様の大事な姫様を盗ったりするつもりはないから安心しろ。でも、嫉妬深い男は嫌われるぞ」 


「お、俺は別に何も……」


 図星をさされた気がして、フェリクスは狼狽した。

 肉弾戦では勝てるかもしれないが、舌戦になると翻弄されそうだ、と、彼は思った。


「しかし、人一倍、努力はしてきたつもりだったが、貴様と戦って、上には上がいるというのが、初めて身に沁みたよ」


 不意に、グスタフが少し寂しそうな微笑みを浮かべながら、ぽつりと言った。


「だが、君に食らった鳩尾(みぞおち)への一発は痛かったぞ」


 彼女との初めての戦闘を思い出し、フェリクスは自分の鳩尾(みぞおち)を撫でた。


「普通は、『痛かった』程度で済まない筈なんだけどね……」


 フェリクスの言葉に、グスタフは半ば呆れた顔で、小さく溜め息をついた。


「僕と戦った時も、全力は出していなかっただろう。どんな修練を積めば、貴様ほどの強さが身に付くんだ? いや、もう生まれつきの素質が違うとしか思えないな」


「俺は、半年ほど前に、ある村の近くの森で倒れているところを保護されたのだが、それより前の記憶はない。だから、残念だが、君の参考になるような情報は提供できない」


「そうなのか。てっきり、王女付きの騎士か何かだと思っていたよ」


 少し拍子抜けした様子で、グスタフが頷いた。


「今は、姫様専用騎士みたいなものだろ」


 アーブルが言って、片目をつぶってみせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ