表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/117

仮面の男3(挿し絵有り)

 ──アーブルは、これで相手の出方を見るつもりなのだ。


 そう考えたフェリクスも、口を開いた。


「俺も、アーブルと同じ考えだ。この組織に関わって、セレスティアを少なからず危険に晒す可能性があるなら、尚更(なおさら)あなたのことを知らなければならない、と思う」


 セレスティアが、やや驚いた様子で、フェリクスとアーブルを交互に見やった。


「貴様ら、カドッシュ様が、よからぬことを考えているとでも言いたいのか!」


 先に反応したのは護衛たちのほうだった。

 周囲の空気が、ぴりぴりと張りつめる。


「落ち着いてください」


 あくまで穏やかに、カドッシュが護衛たちを(たしな)めた。


「申し訳ありません」


 護衛たちは、即座に姿勢を正した。カドッシュの人望によるものなのだろう。


「君たちの言う通りですね。こちらこそ、失礼しました」


 カドッシュは、そう言うと、両手の指先で、こめかみに触れた。

 かちり、という金属音と共に、彼の仮面が外れ、その下の素顔が露わになった。

 若々しく、一目見て聡明な印象を受ける面立ちだ。髪と同じ、夜の闇を思わせる黒い瞳が、フェリクスたちを淡々と見ている。


挿絵(By みてみん)


 その様子を見た護衛たちが、目を剥いていた。

 護衛たちの態度を見るに、カドッシュが素顔を晒すのは、滅多にないことなのかもしれない。


「あ、あんた……」


 どういう訳か、カドッシュの素顔を目にしたアーブルも、驚きの表情を浮かべている。


「彼を、知っているのか?」


「映像でしか見たことないけど、俺の記憶が正しければ、この人は……帝国十二宗家ていこくじゅうにそうけの当主の一人だ」


 フェリクスの問いかけに答えながら、そんな馬鹿なとでも言いたげに、アーブルは首を横に振った。


「アーブルくんの言う通りです。私の本当の名は、ユハニ・ヴァルタサーリ……帝国十二宗家の一つ、ヴァルタサーリ家の当主でもあります」


 カドッシュが、そう言って頷いた。


「帝国十二宗家は、建国の際に功績のあった者たちが、高い地位と権力を与えられたところから続く、特権階級と聞いている。『智の女神』が排除され、帝国が瓦解したなら、あなたも多くのものを失うのではないか?」


 ずっと抱いていた疑問を、フェリクスはカドッシュに投げかけた。


「全てに見て見ぬ振りをしていても、私が生きている間くらいは、帝国も持ちこたえるかもしれません。しかし、このままでは、いずれ人間そのものが滅びると、私は考えています。そして、戦争が始まったことで、その流れが、更に加速しています」


「カドッシュ様……ユハニ様は、ご自身に与えられた力を(もっ)て、その『流れ』を止めたいと、お考えなのですね」


 カドッシュの言葉を受けて、セレスティアが言った。


「ご理解いただけたようで、何よりです。それと、『リベラティオ』として活動する時の私は、カドッシュ・ミウネということで、お願いします」


 柔和な微笑みを浮かべて、カドッシュが答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ