連休初日からの違和感
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過去最高の気持ちで深い眠りに落ちていた俺の耳にドアがノックされる音が聞こえ、目が覚め始める途中にお腹の上に程良い重みと揺れを感じ目を開くと、妹の那月がお腹に跨がり座り見下ろしていた。
「・・なつきぃ?」
「お兄ちゃん、彩音ちゃん家来た・・・・」
「彩音が? なんで?」
「知らない・・・・追い返す?」
「・・・・・・いや、そういえば呼んだ気がする」
「お兄ちゃん、ホント?」
「たぶん・・まぁ、今日が最後かもな」
「そっか・・それなら、ちゃんとおもてなししないとだね?」
「だな・・」
那月は立ち上がり部屋から出ると、玄関で待っているだろう彩音の迎えに行った。
「俺も着替えて支度しないと・・」
リビングで那月が彩音の相手をしてくれているようで俺は素早く支度を済ませてリビングに入ると、ソファに座り楽しそうに会話をする那月と彩音の視線を受け止める。
「お〜彩音」
「おーじゃないよ諒ちゃん。本当に寝起きなんだね」
「まぁね。せっかくの休みだからさ」
「何よそれー」
プクッと頬を膨らませ抗議する彩音の頬を指先で突き、プスッと口から空気が漏れるとクスッと彩音は笑う。この反応は昔から変わらないなと懐かしく思い彩音の前で笑ってしまった。
「それじゃ、俺の部屋に行こうか?」
「そうだね」
手を振る那月をリビングに残して俺は彩音を2階にある自分の部屋へと案内して、久しぶりに2人きりの時間を過ごすことになる。
「彩音が部屋に来るの久しぶりだな?」
「うん、高校受験の時以来かな? リビングには何回か来てたけどね」
「高校に入ってからクラスが俺だけ別になったしな〜」
中学時代まで部屋に来た彩音が愛用していたクッションを久し振りに取り出し、たったままの彩音の足元に置く。
「良かったら、コレ使って」
「ありがとう諒太ちゃん」
彩音はクッションを触りながら座ると四角い小さなコタツテーブルにスマホを置いてから、置いてあったお菓子を手に取りつつスマホを横に移動させた時に真っ黒だった画面が明るくなり、通話中との表示とともに湊斗の名前も表示され数秒で消えるも、お菓子に夢中だった彩音は気付いていない様子だ。
「彩音、ゴールデンウィークにどこか行きたい場所ある?」
「んーそうだねー暑くなってきたし、海にも行ってみたいかな?」
「海かー中学の時は、みんなでよく行ってたよなー」
「だよねー去年も楽しかったしねー」
「そうだなー」
去年の夏といえば彩音と付き合い始めた頃だ。その年に彩音と海だけは行った記憶はない。もうその時から彩音と湊斗は秘密裏に関係を持っていたのだろうか。
この会話を彩音の電話の向こう側にいる湊斗に聞かれているため、あまり突っ込んだ質問ができないためとりあえず無難な遊び先の映画や遊園地そして海に行く約束を決めた頃に昼飯の時間がちかづいていた。
「彩音、昼飯を一緒に食べないか?」
「ううん。午後から部活の練習だから、一回帰らないとだから」
「そっか・・なら仕方ないね」
「ゴメンね、諒ちゃん」
「別に良いよ・・それじゃ、また明日な」
「うん、また明日ね」
玄関で笑顔で手を振る彩音を見送りドアが閉まってからリビングに戻りドアホンカメラで外の様子を見ていると、彩音が1人歩き画面の右へと姿を消した直後に左から湊斗が彩音を追いかけるように通り過ぎて行く。
「お兄ちゃん・・・・」
「那月・・兄ちゃんさ、学校が始まる前に言うよ・・彩音に」
「うん・・」
俺達3人の関係を全て知っている妹の那月は、半泣きで俺に抱き着き見上げている。
「那月、パスタでいいか?」
「うん」
彩音と3人での昼飯を回避できた俺は、ミートパスタを作り2人で食べ終えた頃に香苗さんから着信があった。
「はい、俺です」
「こんにちは、諒太くん。香苗さんです」
「香苗さんですね」
「ふふっ・・やっぱり諒太くんだ」
「な、なんですか?」
「なんでもないわ」
「あの、香苗さん。今夜、時間ありますか?」
「うん、良いよ」
「時間は、また後で連絡します」
「大丈夫、待ってるね」
香苗さんとの話しが終わる前に家の電話が鳴ったため、那月が応対してくれていると俺の方を見て呼んだ。
お兄ちゃん、学校の担任から電話だよー」
「三原先生から?」
特に何もしていない俺は三原先生からの電話がなぜ来たかわからないまま、那月から子機を受け取る。
「はい、澤田です」
「澤田君、担任の三原です。今日のお昼から学校に来れますか?」
「えっ? 昼から学校にですか? 俺、なんかやらかしました?」
「電話じゃ言えないから、学校に来てくださいね。もちろん、私服ではなく制服でです」
「・・・・わかりました」
「では、先生はせっかくの休みなのに、独りぼっちの職員室で待っています」
通話が終わったことを知らせる電子音を聴きながら、三原先生に呼び出された理由が思い当たらずに立っていると、那月に子機を取られる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「先生が、学校に来いって」
「学校に? なんで?」
「さぁ・・理由は電話じゃ言えないってさ」
「なにそれ? お兄ちゃん、行くの?」
「あぁ、呼ばれたからな」
「私も行く!」
「那月も? 制服で行かないとだぞ?」
「良いよ。家に1人で居てもつまらまいし」
「わかった。それなら一緒に行こう」
「うん!」
互いに部屋に戻り背服に着替えてから家を出て自転車で学校へと向かいいつもの駐輪場に自転車を置かずに、職員室に近い校舎横に置いてから三原先生が待つ職員室を目指した。
「那月は、廊下で待ってて」
「お兄ちゃん、ソフト部の部室に行って来てもいい?」
「いいよ。先に終わった方が中庭の自販機近くのベンチで待つことにしような」
「オッケー!」
那月は手を振りながらソフト部の部室へと行くのを見送ってから、職員室のドアをノックして中に入るのだった・・・・。
感想&評価に感謝です。
話が中途半端ですが、先を描くと長くなりすぎるので
ここできらせてもらいました。