エピローグ・・・橘彩音⑩
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校内放送で呼ばれた私は湊斗くんと職員室へと行くと、たまに見かける教頭先生と朝の校門にいる生徒指導の先生そして三原先生に連れられ会議室に入ります。
「ふむ、2人とも我が校の生徒として自覚ある行動をしているかね?」
教頭先生が投げ掛ける言葉は遠回しに私達が校内でシテいたことを自白させようと聞いているようにしか聞こえず、小さな声で否定すると、湊斗くんは大声で否定し暴れる寸前です。
「吉岡、落ち着け! 教頭先生は、2人の話を聞いているだけだから」
生徒指導の先生は私達をただ疑っているのではなく、体育館にある部室を使うクラブに所属している生徒に聞いている途中だと説明していますが、そんなはずはないと思います。
その言葉を疑わず素直に受け止める湊斗くんはなんて単純なんだろうと思うも、それれに対してとやかく言う資格は私にはありません。
ずっと先生達は遠回しに質問を繰り返すだけで、誰も核心をついた質問をあえて避けているままで終わり、もう家に帰っていいと投げやりで言われ会議室を出ると湊斗くんは不機嫌そうに何も言わずに先に帰って行きました。
「あっ・・・・」
1人取り残された私は不意に襲われた孤独感から逃げるかのように自分の教室に行き、カバンを手に中庭を通って帰ろうとすると、楽しそうに話す女の子達ばかりに視線がいってしまいます。
「逆に独りぼっちじゃんわたし・・帰ろっ」
小走りで中庭を抜けてからはゆっくりと歩いて校門に向かっていると、自転車を速めに押して歩く男子生徒が視界に入り自然と目で追いかけます。
「・・諒ちゃん?」
その日を最後に諒ちゃんを学校で見なくなった私は、会えないことに電話をするも繋がりません。
「諒ちゃん・・どこにいるの?」
毎日私は隣りのクラスにある諒ちゃんの席を見に行くも姿は無く、どうしても諒ちゃんの姿を見たくなり夜にこっそり家を出て諒ちゃんの家の前に来ますが、彼の部屋だけ明かりがつく日はありませんでした。
もう諒ちゃんは私に何も言わずに遠くに行ってしまったのと考えるようになった頃の朝に、学校の校門近くで諒ちゃんの後ろ姿を見つけます。
「諒ちゃん? 諒ちゃん!」
私の声に諒ちゃんはゆっくりと振り返り顔を合わせますが、私が探し求めていた諒ちゃんは私のことを知らない人だと真顔で言ったのです。
知らないフリを普通にされるのは故意に無視されるより辛く、私の存在を消し去られたかのように苦しくてたまりません。
でもその姿が誤魔化す演技ではないように見えて隣で罵声を浴びせる湊斗くんのことなんかどうでもよくなり、このまま家に帰ろうと学校に背を向け踏み出しますが彼に腕を掴まれ許してはくれないようです。
久しぶりに諒ちゃんに出会えてのに知らない他人の反応をする諒ちゃんが頭から離れず、今日1日なんの授業があったかでさえ記憶に無く翌日の何気ないお昼休みに諒太と那月ちゃんにバッタリ会ってしまいました。
「りょうちゃ・・」
「橘先輩、何かご用ですか?」
まるで私から諒ちゃんを守るかのように立つ那月ちゃんの瞳が怖くて、言葉が喉を詰まり上手く話せません。
「えっと、その・・」
「橘さん、こんにちは。そのお茶は美味しいですよね?」
「お兄ちゃん?」
「諒・・ちゃん」
友達やクラスメイトのような関係にも程遠い距離感がある諒ちゃんの話し方に、私はショックで涙が溢れ落ちそうになるのを耐えます。
「どうしました? 俺もその緑茶のペットボトル好きなんでよく買うんですよー」
湊斗くんに無理矢理お昼休みにお弁当を食べるのを付き合わされていた時にもらっていたお茶は好きでは無く、諒ちゃんと好みが合うこの緑茶が好きで買ったのに、胸がズキリと痛みます。
「諒ちゃん・・どうして?」
「橘先輩。少しお話いいですか?」
「・・・・」
那月ちゃんは諒ちゃんと何か話した後に、私の左腕を強く握りここから違う場所へと強引に連れて行くのでした・・・・。
感想評価に感謝です。
彩音のエピローグの結末難しいですね。
最終話を投稿したら、別作品の投稿を
始める予定なんですけど・・




