エピローグ・・・橘彩音⑨
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「橘さん・・」
眠れず朝を迎え部屋を出たくない気持ちに勝って登校した私を待っていたのは、湊斗くんではなく諒ちゃんのクラス担任の三原先生でした。
「・・・・はい」
「教室に行く前に、先生と保健室でお話しいいかな?」
「・・はい」
もう先生に知られていることを諒ちゃんから聞かされていた私は、素直に後をついて行くだけです。
保健室のドアは既に解錠されているようで、確かめることなくドアを開ける先生の後ろ姿に私の心は深く暗い場所へと沈んでいきます。
「・・橘さん、先生からの質問は嫌なら答えなくて良いですが、できるだけ教えてください」
諒ちゃんとの関係を聞かれた私は幼馴染という関係を伝えた後に、私の顔色が悪いように見られ体調を心配してくれて授業を休んでも良いと言ってくれますが断ります。
「そうですか、個人的なことを先生が橘さんに聞くのは理由があります。今は教えられませんが、次の質問を最後にしますね」
「はい」
「橘さんと同じクラスの吉岡湊斗くんとは、どういう関係ですか?」
「・・澤田くんと同じ幼馴染です」
「本当にソレだけですか?」
もう先生は私と湊斗くんとの関係を知っているから聞いてくるんだと思い、ここは湊斗くんに言われたことを伝えようと私は思いついてしまうのです。
「・・・・中学生から・・中学2年から吉岡くんと付き合っています」
私の言葉に三原先生は驚く反応をするだけで、何も聞いてこず私は解放され教室へと向かいます。
保健室で三原先生が向ける瞳から感じる感情が怖かったため、クラスメイトの顔でさえ見れず今日は机と睨めっこして過ごそうと心に決めました。
「みんな、悪いけど今日は午前中で終わりだから」
私のクラス担任が突然お昼で授業が終わると言う言葉になんでなのと考えると、ふと今朝の三原先生の顔が浮かびました。
「諒ちゃん・・」
時間となり解散となったクラスに私は席から離れ隣りのクラスへと歩き、不安ながら教室を覗くと諒ちゃんが1人だけで席に座っていました。
声を掛けた私への反応は他人そのもので冷たく遠い感じの諒ちゃんでした。
「だから違うの・・入っていい?」
諒ちゃんは湊斗くんが彩音の彼氏だからと言い拒絶してきます。その言葉を聞くたびに身体が震え思うように言葉が出せません。
「だよな・・でも、湊斗とは中2からなんだろ?」
「・・・・」
今朝言った三原先生への言葉をなんで諒ちゃんは知っているの?と思い喉がギュッと締め付けられます。
「彩音? 別に俺は彩音を責めていない。ただ、純粋に湊斗といつから幼馴染から先の深い関係になったか知りたいだけ・・・・」
諒ちゃん助けて・・彼に脅されて私は・・・・最初はその感情でいっぱいでした。今の穢れた私は、彼の欲望を拒否せず応える女なんです。
問い掛ける諒ちゃんの哀しい表情を見れなくなり俯くしかできない私に、諒ちゃんは優しい口調で伝えてきます。
「うん、そっかそっか・・もちろん、俺が悪いところもあった結果だと思ってる。だからさ、本当に別れよう俺たち。幼馴染としても」
諒ちゃんが吐き出す言葉の途中から別れの言葉を告げられると予想できていましたが、幼馴染という関係でさえ断ち切ると言うことに信じれず顔を上げます。
「諒ちゃん、まってよぉ・・私の話をきいてください」
諒ちゃんに捨てられそうで怖くて言えなかったこと・・湊斗くんからの脅しを伝えようとしますが、私の想いは手遅れだったようです。
「聞くよ、今は無理。またそのうち話を聞かせて」
教室を出ようとする諒ちゃんを追いかけることができない私の耳に校内放送で、湊斗くんと私が呼ばれるのが聞こえると背後から湊斗くんの声が聞こえました。
湊斗くんが廊下出てきたらことで、諒ちゃんは私を湊斗くんに押し付けるかのように歩き去ってしまったのです・・・・。
もう数話ほどエピローグのお付き合いお願いします。




