翌日の昼休みという日常の違和感
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日間ランキング80位になったことに驚きです。
明日には圏外ですが・・・・笑
午後の授業をカバンも弁当箱も忘れていたことを思い出したのは、那月と一緒に家に帰りリビングのソファに一緒に座っていた時だった。ただ隣りにくっついて座る那月は、俺に何も聞かずにいる。
「・・那月、あのさ・・」
「なぁに? お兄ちゃん」
ずっと味方でいてくれる妹の那月には打ち明けようと想い、今日の出来事をゆっくりと告げることにした。
「あのさ、俺が泣いていた理由なんだけど・・・・」
「・・うん」
「その、俺ってさ・・一応、こんなんだけど彼女がいるだろ?」
「うん、彩音ちゃんがね」
「そう・・その彩音が湊斗と浮気してたんだ」
「えっ!? 彩音ちゃんが浮気?」
「あぁ、それで、ここから先は妹の那月には凄く言い難い内容なんだけどさ」
「聞くよ! お兄ちゃん、私は聞くよ」
那月は兄である俺の右手をソッと触れて顔を向けている。
「・・あ、彩音がさ・・・・男バスの部室で湊斗と昼休みにシテたんだ・・男女がするアレを最後まで」
「!!!!」
クリッとした那月の目がさらに大きく見開き見つめるも、黙ったままでいてくれている。
「兄ちゃんさ、彩音があんな幸せそうな声を出すなんて信じられなくてさ・・でも、何度も頭と心で否定しても耳から入る声が現実だって・・2人は俺に隠れてもう深い関係になってることを知ってさ・・兄ちゃんはさ・・・・」
兄として妹の那月に泣き顔を見せたくないはずなのに、涙が溢れて止まらない俺は那月から顔を逸らすと那月は黙ったまま立ち上がりソファに座る俺を正面から優しく抱き締め包んでくれた。
「・・・・ありがとう、那月。俺はもう、大丈夫だと思う」
「・・・・」
ずっと抱き締めてくれた那月をゆっくりと離した俺はソファから立ち上がり、そのまま自分の部屋へと戻りベットに寝転び部屋に閉じこもった。
午後の授業の合間の休憩時間に彩音からのメッセージの着信通知を見るも、アプリを開かず未読のまま放置しているとクラスメイトの太一からメッセージが届いた。
「サボりの諒太。隣りクラスの彼女が休み時間の度に来るけど、ケンカでもしたのかい?」
「昼飯を誘いに行ったら、吉岡湊斗と食べてるからって断られただけ」
「は? 彼氏と食べずクラスメイトの幼馴染を選んだっていうのか?」
「そういうこと」
「わかった。あとは、まかせとけ」
それ以降、太一からメッセージが届くことなく彩音からだけ無駄にメッセージが来るためスマホの電源をOFFにしてから勉強机に置きベッドで眠り起きた時には、ベッドに腰掛ける制服姿の那月がいた。
「・・那月?」
「お兄ちゃん、おはよ」
「おはよう」
「お兄ちゃん、朝ご飯食べれる?」
「・・大丈夫」
もう朝だったことに驚きながらも那月と部屋を出てリビングに行くと、朝ご飯の支度をしてくれた母さんが出勤するところだった。
「おはよう、母さん」
「おはよう諒太。なんか辛そうな顔をしているわね? 1日ぐらい無理して学校に行かなくてもいいのよ?」
「大丈夫。ちゃんと、行くよ」
「そう・・わかったわ。母さんは、先に仕事に行くわね」
「「 いってらっしゃい 」」
「行ってきます。戸締まりお願いね? 那月ちゃん」
「はぁ〜い」
母さんが仕事に行くのを見送り、リビングに戻ってから那月と2人で椅子に向かい合って座る予定が、なぜか並んで座る状況になった。
「お兄ちゃん? 食べよ?」
「・・そうだね」
「「 いただきます 」」
部活の朝練があるため毎朝早く家を出る那月と久しぶりに食べる朝食は、テレビを見ながら話しが盛り上がってしまい、遅刻しそうなギリギリの時間で家を出て自転車に乗り急いで学校へと向かう。
「お兄ちゃん、ギリギリだったね〜」
「はぁ・・はぁ・・危なかった。はぁ・・歩きなら、絶対に遅刻だった・・」
息が上がって喋るのも苦しい俺に対して、那月は平然としているのはソフト部と帰宅部の実力差なのだろう。
「そうだね。でも、休んでる暇は無いよ? 早く教室に入らないとだから」
「はぁ・・だな」
産まれたての子鹿のように震える足を那月にバレないよう気合を入れて駐輪場から並んで走り、教室棟の廊下で別かれた俺は自分の教室が見えたところで、担任の三原先生が教室のドアに手をかけていたタイミングだった。
「澤田諒太君、先生より後に入ると遅刻ですよ?」
「待ってください! 三原先生〜」
ギリギリ三原先生より先に教室に入ることができた俺は、しばらく先生には逆らえないなと思いながら窓際の席に滑り込むように座り乱れた呼吸を整える。
「おはようございます。みんな揃っているわね? 来週からゴールデンウィークが始まりますが、休み明けに実力テストがあることを忘れないでくださいね?」
三原先生の笑顔からは想像できないほどの死刑宣告された教室には、悲鳴が響き渡り休みを満喫できないと陽キャの連中が騒いでいるのを横目に、俺は窓の外に見えていた桜の花が散っていたことを改めて知った。
「なぁ、諒太?」
「なんだよ? さんよ」
「・・今日は、頑張れな?」
「はぁ?」
「・・俺も、わからんけど頑張れ諒太」
昨日の午後をサボッた俺だけど、別にクラスの雰囲気が変わったような様子は無く気になって仕方がない俺は午前中の授業が集中できないまま昼休みを迎えた時に、太一が朝言っていた理由はこの教室には存在しなかったことを知る。
「・・諒ちゃん」
「・・・・彩音?」
昼休みという休息の時間に教室にやってきた、彩音という存在だったことを・・・・。
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