エピローグ・・・橘彩音⑦
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ゴールデンウィークになり今日は諒ちゃんとデートする日なのに、どうして湊斗くんとホテルにいるんだろう。朝早く起きて、諒ちゃんに可愛いねって褒めてもらいたくて支度したのに・・・・わたし、どうしてベッドの上で裸でいるのかな。
「・・彩音、早くシャワー浴びな。もう時間だろ?」
「・・・・」
とっくに諒ちゃんと駅で待ち合わせの時間は過ぎている。それなのに私の上で満足するまで拘束していた彼の言動が、冷静になっている私の頭では理解できないのです。
さっきまでは、あんなに彼から受ける刺激を求めていた私がいたのに・・・・心と身体がおかしくなっているようです。
穢れた身体についた諒ちゃんのではないモノの汚れを長い落とすため、無駄に広い浴室へと向かい熱めのシャワーで身体を洗い、どこのメーカーかわからないシャンプーで髪を洗ってから濡れた身体をタオルで拭き服を着た後にスマホから着信音が聞こえます。
「彩音ー諒太から電話だぞ〜!」
ポーチに入れていた私のスマホを湊斗くんが勝手に取り出し、私に手渡して来たのを奪い取り慌てて電話に出ます。
「諒ちゃん、ゴメン! 寝坊しちゃったの! 今急いで支度しているから、すぐ行くね!!」
「えっ? 寝坊?」
「うん、本当にゴメンね。あと、10分くらいで行けるから待ってて!」
「そっか・・駅で待ってるよ」
「うん、わかった」
慌てていた私なのに最低な理由で諒ちゃんを待たせることにして、電話を切ろうとした直前に彼は言わなくても良いことを私に言います。
「彩音〜支払い終わったから部屋出るぞ〜」
静かな部屋の中で聞こえる湊斗くんの声が諒ちゃんに聞かれたのではと思うぐらいのタイミングで通話が終わった電子音が耳に聞こえています。
もしかしたら湊斗くんの声が聞かれたかもと思いつつ、私はホテルを出たので後は彼を無視して駅へと急ぎ向かいますが、どこにも諒ちゃんの姿はないため探し歩き回りますが見つかりません。
「・・・・諒ちゃん、帰ったのかな?」
改札口前で立ち止まり、手に持つスマホで電話をかけますが繋がりません。何度も何度も呼び出しするだけで諒ちゃんは電話に出てくれない状況が続いた後で、やっと繋がりました。
「もしもし?」
「諒ちゃん! どこにいるの? ずっと西口で待っているんだけど中にいるの?」
電話に出た諒ちゃん声を聞く耳に周囲の雑音が聞こえ、ホームにいるような音がします。
「・・そう、ホームにいるよ」
「だよね・・どこ?」
「4番ホーム」
「今から行くから!」
改札口の天井からぶら下がる電光掲示板を見て、今日の目的地がある電車の乗り場が4番ホームであっていることを確かめながら改札口で電子決済でゲートを開けて構内に入ってからは急いで階段を上がり4番ホームへ続く階段を降りる途中の視線が高いうちにホームにいる諒ちゃんを探し見つけ駆け寄ります。
「諒ちゃん!」
「彩音、ここだよ」
ベンチに座る諒ちゃんは、飲み切ったペットボトルを持つ手を降りここに長く居たことを私は知りながらも左側に座ります。
「西口にって言ったのにどうして先に・・・・私が遅刻したのが悪いんだよね。ゴメンね諒ちゃん」
「良いよ・・来てくれたし」
駅のホームは風が抜けやすいのか街中と違って強めの風が吹き抜け、まだ自分の髪が乾ききっていないことを遅れて知ります。
「なぁ、彩音・・」
「なぁに?」
私の髪が濡れていることに気付いたのか諒ちゃんは、私を見る前にチラッと髪の方を見てから私の目を見ていますが、誤魔化すような下手な返事を私はします。
「シャンプー変えたんだね?」
「えっ・・変えてないよ?」
中学生からシャンプーの銘柄を変えてない私でいたからこそ、さっきまでいたホテルのシャンプーの香りがする私に諒ちゃんは気が付いて聞いてきたのです。
「そう? いつもと違う香りがしたから・・あっ電車来たね」
「・・・・」
誤魔化す私の嘘を見抜いているような諒ちゃんの瞳には疑惑の感情は無く、ただの勘違いだったと認めたようなそんな瞳で私を見た後に興味を無くしたかのようにホームに滑り込んでくる電車の方に顔を向けて呟く横顔に、私は無言のままで見ることしかできません。
そんな私は諒ちゃんからスッと出された手を見るだけで、さっきまで湊斗くんに触れていた手で握る勇気を持てず躊躇っていると、諒ちゃんはぶらぶらと手を揺らし電車に乗り込む後ろ姿について行くだけの私でした。
大好きな諒ちゃんを裏切り続けている私は、恋人同士の幸せなデートの時間でさえ息苦しく感じて、ところどころ見せる諒ちゃんからのスキンシップを、それとなく拒否してしまい溝を感じながら1日が終わり夕方の帰り道に湊斗くんからの電話で、予定より早くデートを終わらせ別れた後に隠れて湊斗くんと合流した夜に起きた出来事を、その時の私は知る由もありませんでした・・・・・。
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