エピローグ・・・吉岡湊斗⑥
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「彩音ちゃん、あんなヤツのこと忘れて教室にいこう?」
「・・・・諒ちゃん」
諒太が自転車で走り去った後も、その方向をずっと見続けているため隣にいる俺の声すら届いていない彼女の肩を掴みグイッと引き寄せ強制的に俺へと意識を戻す。
「彩音、行く?」
「・・・・あっ・・うん」
この日の彩音ちゃんは久しぶりに諒太の姿を見たせいで、アイツがいない間に彼女の心に俺の居場所を大きくしたはずのものを一瞬で失った。
再び諒太の存在が大きくなり居座り続けそうで、声を掛けても反応が薄いまま今日が終わってしまう。
次の日からやり直しだと思い、学校に来ると何故か諒太は妹の那月ちゃんと登校していたんだ。
そんな日の昼休みに限って俺は弁当を持って来るのを忘れたのを昼休みになってから気付き、舌打ちをしながら1人で売店へと向かい売れ残りのパンを買った帰りに外の空気が吸いたくて中庭を抜けると、1人ベンチに座る諒太に声を帰るも普通にシカトしたから蹴飛ばす。
弁当を忘れイラついていた感情は諒太に無視されたことで一気に感情が爆発し、見下ろしながら見る諒太の顔で良いことを思い出し強引に男バス部室へと連れて行った俺は、隠そうとしていた彩音とのことを全て暴露し歪む諒太の顔に優越感に浸り満足して教室に帰る。
午後の授業が始まるまでのわずかな時間で、買った時とはかなり形が変わった不味そうなパンを食べ終えたところで授業が始まり、暇な時間を過ごしていると教室に生徒指導の教室達が授業を中断させ俺の方に来た。
「吉岡! 来いっ!!」
目の前に立つ高倉先生が俺の腕を強引に掴み立ち上がらせる。
「痛っ・・」
騒つくクラスメイト達の視線を集めた俺は反射的に後ろの席にいる彩音に顔を向けるも、驚いた顔で見上げているだけだ。
「これぐらい痛く無いだろ!? 黙って来い!」
大人の男の力に俺は反抗するも勝てるはずもなく、そのまま引きづられるような形で教室から出されるも隙を見て逃げようと暴れた所で廊下で待っていた他の教師達に囲まれ逃げ場を失い、そのまま生徒指導室へと連れて行かれ入ると校長先生が待ち構えていた。
「吉岡くん、校長の高畑です。まずは座って落ち着いてくれるかな?」
「落ち着けって・・校長先生! なんで自分がここに来なきゃいけないんですか!?」
「まぁまぁ・・今は深呼吸をして冷静になりなさい。話はそれからですよ? 吉岡くん」
「意味わかんねーよ!」
「吉岡! お前、校長先生に向かって何を言ってんだ!? 大人しくいうことを聞け!」
高倉先生が俺の胸ぐらを押して力づくで押さえつけようとするため、両手で腕を掴み持ち上げようとしたところで座っていた椅子を蹴られバランスを崩す。
「高倉先生? まだ生徒に向かってそんな暴力的な行動は看過できませんよ?」
「すす、すいません校長先生・・」
「まぁ、後でゆっくり2人きりで話しましょう」
「・・・・」
日頃から生徒を暴力的に指導していた高倉先生は、いつもの行動が校長の前でやってしまいジロッと睨まれてしまい小さくなっている姿が惨めでざまぁ感が滲み出ている。
「さて、脱線したので戻しましょう・・・・吉岡くん、後ほど1人来るので少し待っていてくださいね?」
「・・はい」
俺の他に誰が生徒指導室なんかに誰が来るんだと思いながらポケットにあるスマホを取り出しイジるも誰も文句は言わないからこのまま暇つぶしで使っていると、ドアがノックされやっと誰かが来たようだ。
「入りなさい」
校長先生が応えるとドアがゆっくりと開けられる音が聞こえ俺は振り返ると、そこには涙目の彩音の姿があった。
「橘彩音さん、吉岡くんの隣りに座りなさい」
「はぃ・・」
校長に言われ部屋に入る彩音と視線が重なるも俺を見る目は昨日とは違い、そのまま視線を逸らされ隣りに座る姿を見続けると校長は口を開く。
「・・吉岡くん、橘さん・・後でもう1人来る予定ですが、2人は決して後ろを振り返らず私を見ていることを約束してくれますか?」
「「 ・・・・ 」」
「いいですか?」
「「 はい 」」
校長がまた言うもう1人は誰だと思い返事を遅らせてから反応すると、彩音と声が重なり何か俺と見えない繋がりがあるような気がしてニヤついてしまいそうだ。
「ありがとうございます。では、その生徒が来るまで私の話を静かに最後まで聞いてください」
「「 はい 」」
「よろしい。では、吉岡湊斗くんと橘彩音さんの2名は停学処分を言い渡します」
「はぁ!?」
校長の停学処分という言葉に俺は反射的に声を上げた。
「吉岡くん、最後まで話を聞きなさい。このような処分を生徒に告げることは非常に残念です。しかし、2人は停学処分を受けるに値する行為が発覚し確固たる証拠があるからです。何か言いたいことはありますか?」
「校長先生! なんで俺と橘さんが停学なんですか?」
「当校に通う生徒として、校内であってはならない行為があったという情報と十分な証拠が提出されたからです」
「証拠?」
俺と彩音が停学処分に値する行為なんて・・そういえば、部室でシタな・・ってか、なんで教師にバレた? 人目につかない時間と場所を選んでヤッタのに。
「そうです」
「そんなことは一切やっていませんし、疑われる理由がわかりません」
「吉岡くん、それは事実として行為をしていないと主張しているのですか? 虚偽・・先生達に嘘をついたことが後から発覚した場合は、今以上に処分が重くなりますよ?」
「だから、俺は何もシテいませんし関係ありません!」
「そうですか・・・・おっと、彼がそろそろ来る時間のようですね」
「校長先生、さっきから後で来る奴は誰なんですか?」
「・・・・」
俺の問い掛けを普通に笑顔で無視する校長をみていると、再び背後のドアがノックされた。
「入りなさい」
「失礼します」
背後にあるドア越しから聞こえた声は幼馴染で彼女を寝取ってやった諒太の声で、隣りに座る彩音の肩はビクッと反応していたことに俺は気づいていたのだった・・・・。
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次話で、最終的な展開へとなっていきます。
長くてすいません。




