エピローグ・・・吉岡湊斗⑤
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突然の午前授業になった理由がわからず担任が少しの時間だけ教室を出た間に、クラスメイト達の雑談のなかで午後から職員会議があるらしいと聞こえた俺は後ろの席に振り返る。
「なぁ、彩音ちゃん? 昼から職員会議あるってしってた?」
「・・・・」
「彩音ちゃん?」
「ぅふぇ?」
「だから、昼から職員会議があるんだってよ?」
「しし・・知ってたよ?」
「はぁ・・してたのか?」
「う、うん・・さっき、三原先生に・・」
だんだん小さく震えている彩音ちゃんの声は聞き取れなくなる。
「三原先生・・に会ってた? 何を聞かれたんだ?」
「吉岡くんと、いつから付き合ってるのって・・」
「それで、なんて答えた?」
あの女教師が、俺の後に彩音に会っていたことにおれは嫌な予感がする。
「・・中2から付き合ってるって」
「よしよし・・俺と同じ答えで良かったよ・・・・覚えてくれたんだね」
「・・うん」
午前中の予定されていた授業は全て自習となり騒がしい教室で過ごし担任が来たのは10時を過ぎた頃で、そのまま解散となり嬉しそうに帰って行くクラスメイトを見送り数人残った教室に彩音と居たけど、何も言わずに不意に俺から離れ教室を出て行く。
「・・彩音ちゃん?」
今は彼女を追いかける気がしなかった俺は席から動かず、他に残っていたクラスメイトに手を振り見送っていると校内放送で俺と彩音ちゃんが呼ばれた。
・・・・2年C組の吉岡湊斗、同じく橘彩音は直ちに職員室に来なさい。繰り返す・・・・
行きたくなくても校内放送で呼ばれたから行かないと後から面倒なため、ため息を吐きながら席を立ち廊下へと出ると隣りの教室のドアから中を覗いている彩音の後ろ姿を見つけた。
「彩音〜呼び出しだとよ〜彩音?」
彩音はどうやら教室にいる諒太と話しているらしい。すると、教室から廊下に諒太が姿を見せ俺を見る。
「おい湊斗! 大事な彼女を野放しにしとくなよ!」
「諒太! なんだお前は! 彩音はな・・・・」
いきなり諒太が彩音の彼氏は俺だと言ってくれるため諦めてくれたのかと思いながらも否定しない俺は、とりあえず彩音の気持ちを代弁しようとするも遮られる。
「もうたくさんだ湊斗! いや、これからは吉岡くんと橘さんだ。もう、俺は用事があるから帰る!」
俺達から逃げる様に去って行く諒太の後ろ姿に笑みが溢れそうだけど我慢して、呆然としている彩音ちゃんを連れて職員室に入ると、三原先生に出迎えられそのまま生徒指導の教師達に囲まれ生徒指導室へと連れて行かれた。
生徒指導高倉先生が長机を挟んだ向こう側に偉そうに座り、正面から生徒の俺を獲物を狙うような鋭い瞳でジッと見て威圧している。
「吉岡・・お前が、ここに連れて来られた理由・・わかるか?」
「・・わかりません」
「わからない? それが、吉岡の答えでいいんだな?」
「高倉先生が、自分に何を聞きたいのですか?」
俺の返しにイラッとした表情になる高倉先生は静かに息を吐き出し黙り込むと、代わりに三原先生が同じ様なことを聞いてきた。
「吉岡くん、本当にわからないのね?」
「・・全然わかりません。なんで、俺がココに連れて来られたかがわかりません」
「そうですか・・それなら今日は結構です。吉岡くんは先に帰って良いです」
「・・・・」
どうやらこれ以上の追求が無い様で、隣に座る彩音ちゃんを置いて先に生徒指導室から出る俺は彼女を連れて行こうとする、女同士でしか聞けない話をする理由で追い出され家に帰ろうと駐輪場に行くと、偶然見つけた諒太の自転車を眺めているとアイツが姿を見せた腹いせに絡むことにする。
「諒太! お前、マジ最低だな!?」
ムカついていた感情を諒太にぶつけてそれなりにスッキリしたような気になった俺は、弱々しく自転車を押して逃げて行く小さな背中を見送った翌日から諒太を学校で見かけなくなった。
諒太が学校に来なくなり毎日隣りの教室に通って諒太を探していた彩音の行動に苛立ち、もういい加減行くなと釘を刺すと大人しくなり諒太の教室に行かなくなった彩音は自分の席で外を無言で眺めている。
「・・もう諒太から寝取り済だな」
学校が休みになり週末は俺の家に呼び部屋で俺が満足するまで行為を繰り返し、暗くなった夜に家に帰らし学校がある日は一緒に通学させていると、彩音はボソッとつぶやいた。
「・・穂波さんに怒られないかな」
「大丈夫だよ。穂波ちゃんは通学路が反対方向だし、俺達は幼馴染に見られているだろ? まぁ、彩音ちゃんの彼氏は諒太ってみんな思っているだろうしね」
「・・・・・・」
そんなある日の朝にいつもより遅い時間に学校に近づくと、正門近くに若い男が校内を眺めている姿視線が吸い寄せられていた俺は、見覚えのある後ろ姿だなと思い出したタイミングより早く彩音が反応してしまった。
「諒ちゃん! 諒ちゃん!」
俺には見せない笑顔で諒太の名前を呼ぶも、目の前にいる諒太の反応はイマイチで何か違和感を感じるていると、俺たちの会話は噛み合わず、意味がわからないまま諒太は俺達の前から去って行ったのだった・・・・。
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