エピローグ・・・吉岡湊斗③
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「ち、違うの・・違うの諒ちゃん」
隣りで諒太と出会ってしまった彩音ちゃんは、パニックになり壊れた機械のように同じことを繰り返している。
「りょ・・諒太。お前がなんで、この時間に・・」
もう家に帰っているはずの時間帯に諒太がここにいることが信じられず、俺も言葉がうまく繋げられない。
「よっ! さっきぶりだね!? あそこのケーキ屋で、1番人気のケーキを那月に買った帰りなんだ。2人はクラス委員か何かの買い出しの途中なのか?」
俺達が出て来た路地はラブホ街に繋がる路地で誰でも知っている情報なのに、諒太は知らないフリで声をかけて来たことに俺を馬鹿にしているようで腹立たしい。
「諒ちゃん、聞いて・・お願い、違うのわたしね・・」
どうにか取り繕うとすると彩音ちゃんを黙らせるため俺は、か弱い声を上書きするように大声で諒太に絡むように言葉を浴びせるも、俺達に罵声を浴びせる様子はなく平然とした反応を見せてくる。
彩音ちゃんは握っていた俺の手を離し立ち去ろうとする諒太の右腕を掴むと、諒太は彩音ちゃんを拒絶するように腕を払いのけた。
「アイツ・・」
「諒ちゃん、どうして!?」
「その汚い手で俺に触れるな!」
諒太はまるで彩音ちゃんを汚い物のように払いのけ、急に嘔吐したことに俺の感情が爆発する。
「ふざけんな!!」
諒太に拒絶され膝から崩れ落ちる彩音ちゃんの横をすり抜け、諒太が持つ箱を蹴飛ばし視線が飛んでいく箱へと向く諒太の胸ぐらを掴み顔を殴り吹き飛ばす。
「いってぇ・・」
何かぶつぶつ言いながら俺たちよりも、地面に転がり潰れた箱を拾いに行く背中に俺は大声で発した。
「諒太ぁ! お前が先に謝るのは彩音だろ!!」
無防備な背中を蹴り飛ばし、再び路上に受け身も取れず顔から倒れた諒太の姿にスッキリしてきたところで、再び予想外の存在がここに現れた。
「那月ちゃん・・」
この状況で傷だらけの兄と無傷な俺達を見る那月ちゃんは、諒太を気遣う表情で話しをしていたけど、急に殺意を込めた感情で俺を見て来たことに思わず後退ってしまう。
「・・・・そこの2人か? 大切なお兄ちゃんをこんなことしたのは?」
「那月ちゃん、コレは諒太が悪いんだ。彼女である彩音の手を汚いと罵ったから」
「だから、あんたが私を名前で呼ぶな!」
那月ちゃんの威圧する感情に俺は年上で男なのに黙り込んでしまう。
「そこの女の手が汚いのは当たり前でしょ!?」
なんで何も知らない妹の那月ちゃんがそんなことを断言できるのかがわからない。
「いいえ、あんただって同じだ! お兄ちゃんの彼女だった女を部室で・・」
「那月やめろ! もう、いいんだ。ありがとう」
「でも・・」
諒太の制止で那月ちゃんは爆発させた感情をスッと押さえ込む姿を見ながら、なんで部室という言葉が出るんだ?と俺は考えを巡らす。
「那月、ありがとう。ここからは、俺が話すから」
「うん・・ごめんなさい」
諒太に宥められた那月ちゃんは、俺が蹴飛ばして崩れた箱を大事そうに抱えて帰って行った後に諒太は俺と彩音ちゃんを違う場所で話そうと持ちかけて来たことに面倒になると感じて俺は逃げるように帰った・・・・その日の夜に彩音ちゃんにメッセージを送っても既読にならず返信も返ってこなかった。
「返事くらい返せよ、あの女・・・・明日、会ったらお仕置きだな」
返事を返さない彩音ちゃんをどうやってお仕置きをしてやろうか考えながら翌朝を迎え連絡するも電話にでず、結局そのままゴールデンウィークが終わり学校へ行くと、思ってもいない事態が起きるとは俺は知る由もなかったのだった・・・・。
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