エピローグ・・・橘彩音①
アクセスありがとうございます。
本編で幕間として彩音と湊斗の関係を描いてなかったので
数話に分けてエピローグとして投稿させてください。
「諒ちゃん・・・・こんな私で、ゴメンなさい・・・・」
綺麗な女性に貴方は幼馴染で私が彼女と言われた告げられた後に見送る光景は、あの幼馴染の男と関係を拒絶し諒ちゃんに助けを求めていたら、もしかしたら歩いて行く諒ちゃんの隣りで歩くのは橘彩音だったのだろうなと想いながら2人が見えなくなった今でも、変わらない街並みを眺め涙を流すことしかできません。
私には幼馴染で仲の良い男の子がいました。彼は優しくていつも私の傍にいてくれる大きな存在だったのに・・・・ほんの小さなきっかけでこんな未来になるなんて、あの時の私は間違えてたんだろうな。
そうです、あの時の小さなキッカケで楽しくて充実していた毎日の日常がズレ始めたのです。
学校の帰り道に幼馴染の諒ちゃんと湊斗くんの3人で生徒指導の先生の悪口を言いながら盛りあがっている途中に、諒ちゃんが新しく見つけたカフェに行こうと誘って来たので帰っても予定が無い私と湊斗くんは頷き、そのまま家に帰らず3人でカフェへと行きました。
コンフォタブルという由来はわからないけど、住宅街にひっそりとあるカフェに入るとカウンターに白髪混じりの男性が笑顔で出迎えてくれました。
オドオドすることなく諒ちゃんは先に入り、勝手に窓際の席に座るも店員さんは笑顔のまま何も言わないため、ドキドキしながらついて行き諒ちゃんと湊斗くんと向き合い座ります。
私と諒ちゃんは好みが一緒なのでカフェオレを注文すると、直前まで悩んでいた湊斗くんは大人ぶっているのかホットコーヒーを注文しました。
「諒太さ、この店はいつ知ったの?」
「ん〜この前フラフラしてたら偶然見つけたんだ」
「ヘぇ〜諒太にしては、珍しいな?」
「そう? それより湊斗がコーヒー飲む方が珍しいぞ? 彩音ちゃんもそう思うでしょ?」
「うん、私もそう思う・・湊斗くん、どうしちゃったの? 頭でも打った?」
「なんだよ、彩音ちゃんまでが俺がコーヒー飲むのおかしい?」
諒ちゃんと笑いながら冗談だと湊斗くんに言いながら揶揄い楽しい放課後を過ごしていると、いきなり表情が真剣になる湊斗くんが重大な発表があると言うので、諒ちゃんと私は顔を見合わせ静かになります。
「「・・・・」」
「・・・・」
でも、湊斗くんも黙ったままなので我慢できなくなった諒ちゃんが先に口を開きました。
「・・急になんだよ? そんな顔してるってことは、赤点を取りまくって休みは補習祭りとか?」
「そこまでバカじゃねーよ。あのな?」
「「 うん 」」
「なんと、俺に彼女ができましたー!」
「「 ・・・・・ 」」
「おい? 反応は?」
「いやいやいや、湊斗に彼女? あり得ないだろ?」
「湊斗くん、だれだれ? 同じクラスの子?」
「まぁまぁ、落ち着けよお二人さん・・・そんなに知りたい?」
湊斗くんは驚く私と諒ちゃんを見て、いつもの少し気持ち悪いニヤニヤした顔でスマホをテーブルに置いて写真を見せてくれました。
「E組の瀬田穂波ちゃん。こないだ、放課後に告白したら成功したんだ」
「すごいよ! よかったね、湊斗くん!」
「ありがとう、彩音ちゃん」
「・・・マジかちくしょう・・湊斗に先越された・・・・俺も彼女欲しい・・」
勝ち組の顔をする湊斗くんと負け組の顔をして落ち込む諒ちゃんが呟く声が聞こえ、心の中で私がいるよって視線を送りアピールをすると、諒ちゃんがチラッと私を見てくれました。
「・・彩音ちゃんは、好きな人いるの?」
「わたし? えっと・・・・いないよ」
諒ちゃんに興味本位で聞かれたってことは、私のことは好きじゃないのかなと悲しい気持ちになってしまい嘘をつきました・・・・本当は諒ちゃんのことが好きなのにです。
カフェで落ち込んでしまった私ですが、湊斗くんに彼女ができたと聞いた日からはしばらく3人で遊んだりする時間が減ってしまうも、諒ちゃんと2人きりになれる時間が増えたことは私にとって結果的に嬉しかったのです。
テニス部に所属する私と帰宅部に所属する諒ちゃんと毎日一緒に帰ることは出来ないけど、部活が休みになった日は一緒に帰れるという幸せなイベントに喜んでいた私に諒ちゃんは、ある日の帰り道で小さい頃遊んだ懐かしい公園へと行かないかと誘われた私は、素直に応じました。
「えっと・・ん〜と・・橘彩音さん!」
「は、はい!」
ひさしぶりにフルネームで呼ばれた私は、先生に呼ばれた時のように大きく返事をしてしまいます。
「好きです! 俺と付き合ってください!!」
「ぅへぇ!」
前触れもなく大好きな諒ちゃんに告白された私は、キョドッて女の子らしくない声を漏らし恥ずかしさと諒ちゃんに告白されたことにパニックになり諒ちゃんの差し出されていた右手をギュッと強く握ってしまいました。
「あ、彩音ちゃん?」
「・・んぁ! ちがっ・・その、お願いします!」
「いいの?」
「うん! これからもよろしくね? 諒ちゃん!!」
「ありがとう、彩音ちゃん!」
「ひゃっ」
目の前で喜んでくれる幼馴染の諒ちゃんが私の彼氏の諒ちゃんへと変わった瞬間に抱き締められ、恥ずかしさと嬉しさが混ざった感情は言葉に表せないほど幸せでした・・・・今の私と比べれば。
お互いに落ち着きを取り戻しベンチに肩を寄り添うように座りながら、湊斗くんに黙っていようかと話し合いをしていましたが、一人だけ蚊帳の外は知られた後に喧嘩になるかもと言うことで明日の学校で一緒に報告することに決めたのでした・・・・。




