学校という日常の中での疑念
アクセスありがとうございます。
一度も振り返らず夜の通りを歩き家に帰った俺は、スマホを手に彩音からの着信とメッセージを拒否することなくただ放置して眠りに付き、次の日からは妹の那月の買い物に付き合ったり外していたバイトをして1日を消化していく日が続く中で、バイトがない日に香苗さんと会う時間が増えていた。
「・・諒太くんは、明日から学校だね〜」
「そうなんですよ・・あと一週間休みが欲しいくらいです」
「わかる〜大学は高校より休み長いよ?」
「いいですねー俺も香苗さんと同じ大学うけようかなー」
「・・・・」
バイト先のコンビニで来客が途切れ暇な時間をレジ横のカウンターで香苗さんと何気無く交わしていた言葉に、急に隣りが静かになったため顔を向けると、香苗さんは顔を紅潮させ固まっている反応に自分の失言を遅れて気付く。
「そそ、それはその・・ですね、香苗さん?」
「・・・・良いのよ諒太くん、無理しなくて」
「えっとー補充行って来まーす」
逃げるようにレジから離れ裏へと行った後に、香苗さんの視線を確かめながらお菓子の補充を終わらせた俺は、その後の時間は微妙な距離感で過ごしバイトが終わり簡単な挨拶で済ませて先に家路へと向かい、明日から始まる学校の支度を済ませ眠りについた。
「・・お兄ちゃん、朝だよ」
「・・・・おはよ、那月。ありがとな」
「おはよ〜。朝ご飯、できてるからね?」
「わかった」
起こしに来てくれた那月は既に制服に着替え終えていて、俺がベッドから起き上がるのを見てから先に部屋を出て行く。
眠たい体をゆっくりと動かし連休中にやめていた朝の通学というルーティーンを再開し、決めている時間に家を出て久しぶりの学校へと一人で向かう。
通い慣れた通学路を自転車ではしる途中にあるコンビニ前で、見覚えのある自転車が止まっているのを見かけ止まると、コンビニから那月が出て来た。
「お兄ちゃんだ!」
「那月、一緒に行こうぜ」
「うん!」
先に家を出ていた那月と途中のコンビニから一緒に学校へと向かい、学年別で分けている駐輪場に自転車を停めてから一緒に教室棟へと並び歩く。
「・・お兄ちゃん、大丈夫? なんか、辛そうだよ?」
「んーわからんけど、行くしかないかな? クラスが違うのが、唯一の救いかも」
「そだね・・あのね、お兄ちゃん。今日は、那月と一緒にお昼食べない?」
「オッケー。昼休みに那月の教室に行くよ」
「ありがとう、お兄ちゃん。またお昼休みにね〜」
「おぅ、またな那月〜」
那月は1年の教室がある方へ続く廊下を小走りで去り、俺は階段を上がり2階にある教室へと向かう途中に彩音と湊斗の教室の前を歩く俺は視線を向けないよう耐えきって、自分の教室のドアを開けて入った先にある視界には休み前と何も変わらないクラスメイト達がいて、挨拶を交わしながら窓際の自分の席に座る。
「おはよう諒太。無事生きてたんだな?」
「おぅ、太一・・それは、こっちのセリフだ。バイトで過労死したって聞いたぞ?」
「ふっ・・俺は毎日睡眠時間を削ってバイトしても死なない男なのさ」
「そんなの聞いたことねーし」
「それより、諒太・・知ってたか?」
「な、何だよ急に・・」
太一の言葉になんのことか分からず、自然と昨夜の彩音と湊斗のことが頭をよぎる・・。
「・・・・今日は、午後の授業が無いらしい」
「はぁ? そんなこと聞いてないぞ?」
「俺もだよ諒太。さっき、C組の連中が廊下で言ってたんだ・・」
「何で急に?」
「職員会議やるからだって」
「職員会議? 休み明けの初日なのにか?」
午後の授業をやめてまでやる職員会議は、いったいなんのためなのかと太一と考えていると、周囲のクラスメイト達も同じ職員会議のことで盛り上がっているところで担任の三原先生が教室に入って来た。
「おはよー! みんな。席に座らないと遅刻扱いだぞー? うん、良い生徒達だね。今日は、午後の授業を中止することになりました。なので、お弁当持って来た人は、食べてから帰っても構いません。もちろん、購買はお腹を空かせた可哀想な生徒のために開けるそうですよ?」
三原先生が教壇で一方的に午後の授業は中止だと告げたことでテンションが上がるクラスメイトを笑顔で見渡している途中に俺と視線が重なると優しい笑顔が消えた。
「・・澤田くんは、お昼ご飯を食べ終わったら帰らず、生徒指導室に来なさい」
「えっ? なんで俺?」
三原先生の言葉でクラス中の視線を一気に集めてしまった俺は、突然のことでどうしたらいいかわからない。
「みんな、注目。別に澤田くんが悪いことをしたからじゃないことを、先生は先に言っておきます。変な噂を流した子は、先生が後から見つけ出し成敗します。だから、そんなに身構えなくてもいいですからね澤田くん?」
強制的にみんなの視線が三原先生へと戻ったことでホッと胸を撫で下ろすも、なんで呼ばれたのかその理由がゆっくりと時間をかけてわかった気がした。
これから夏休みまでの学校行事を三原先生から聞いて、あの実力テストは嘘でしたとテヘペロをするという驚愕の行為に俺達の空気は凍りつき、半泣きの三原先生は今日のうちに伝えたいことを伝え終わった頃に10時過ぎとなり下校という事実上の解散となった。
「はいはい。中途半端な気分は先生だけですが、今日はこれで終わりです。でも、3年生と1年生は通常授業だから静かに帰ってください。澤田くんは、先生の気分が変わったので今から一緒に生徒指導室に行きましょう」
「はい・・・・」
このままの流れで俺も帰ろうと企むも三原先生は見逃してはくれず、教室を出て生徒指導室という密室へと連行されるのだった・・・・。
感想&評価に感謝です。
日間ランキング上位に入れて嬉しいです。