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彼氏彼女とその幼馴染の物語  作者: だいちき
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いつも通りの日常での違和感

アクセスありがとうございます。

メインは、ファンタジー作品ですが少しこちらのジャンルも描いてみたいと思い投稿しました・・すいません。



 高校に入学してからは中学までバスケをしていた放課後の部活時間は、帰宅部に所属してコンビニバイトで小遣いを稼いでいる。


 クラスメイトに接客中の俺をイジられないよう通学路から少し離れた国道沿いにある店舗で働いているから、立ち寄る同じ制服の学生で知り合いを見たことは一度もない。


 いつものように出勤登録をしてからジュースの補充のため裏へと移動し、在庫が少ない人気商品のペットボトルを補充し終えて、次に大人が飲むアルコール類の缶の補充しようとしたところで、ショーケース越しに見覚えのある制服を見て警戒する様に誰なのかを確認する。


「・・・・湊斗?」


 幼稚園の頃からの付き合いがある幼馴染の湊斗が、俺が働くコンビニに来たことに驚き何を買うのか気になったため、補充する手を止めビール缶越しに覗き見ていると、ジュースを取るためショーケースの扉が開き声が聞こえた。


「・・別に無理して俺なんかについて来なくても、よかったんだぞ?」


「いいの。諒ちゃんは、バイトだし」


 湊斗が話していた相手は、幼馴染で彼女である彩音だった。どうして彩音が湊斗と一緒にいるんだと思い自然と腕時計に視線を落とす。


「まだ部活の時間だよな・・・・なんで、彩音が湊斗と一緒なんだ?」


 聞こえる会話で彩音と湊斗が2人だけでいることがわかり、気になる俺はそのまま動かずヒンヤリするこの場で耳を澄ます。


「あいつ帰宅部だからバイトできんだよなー高校でも一緒にバスケやろうって約束したのに・・・・そうだ、今から諒太がバイトしているコンビニに行ってみようぜ?」


「だっダメだよ湊斗くん。今日も部活のテニスの練習って伝えているから・・・・それに、恥ずかしいからってバイト先教えてもらってないもん」


 今日も部活の練習があると伝えていると言う彩音の言葉に、2人は俺の知らないところで何度も会っている関係に聞こえ、背中がゾクリとして手に持っていた缶ビールを床に落とし転がしてしまった。


「やべっ・・」


 足下を転がる缶ビールを慌てて拾い少し変形させてしまったことに悩んでいる途中で、バタンと扉が閉められた後にハッと我に返ると2人の声は聞こえなかった。


「・・まさか2人は」


 想像したくない最悪なことを想像してしまった俺は、早まる胸の鼓動と喉の渇きに動けないでいると事務所のスピーカーからレジ応援のコールが鳴った。


「行きたくない・・けど、行かなきゃ・・でもな」


 この店でバイトをしていることを教えていない彩音と湊斗にレジで出会うことを避けたい俺は、いつものように動けずにいると再びレジ応援コールが鳴ってしまったことに諦め、なかなか力が入らない足を叩きレジへと向かった。


「諒太くん、レジお願い!」


「香苗さん、すいません遅くなりました!」


 狭い事務所を抜けてレジへと小走りに出るとレジ待ちの客が7人いて対応に追われる涙目の香苗さんの姿と、お前がいたなら早くレジやれと言う視線を向ける客に顔を逸らしながら休止中のレジを立ち上げ2番目に待つ客を笑顔で呼ぶ。


「2番目にお待ちのお客様、お待たせしました。こちらのレジへどうぞ〜」


「もう、諒太君遅いぞ?」


 サンドウィッチと紙パックの野菜ジュースを置きながら声をかけてきた若お姉さんは、近所の会社で働く常連の皆山さんだ。


「すいません。ジュースの補充していたんで」


「ふふっ・・知ってるよ? それに、缶を落としたでしょ?」


「バレました?」


 皆山さんは肩まで伸ばした茶髪をかきあげながら微笑んでいる姿にドキッとして、大人の女性の魅力を感じた気がするけど住む世界が違う。


「たまたま音が聞こえたからね」


「あはは・・368円です。袋はどうしますか?」


「今日は、いらないかな」


「ありがとうございました〜」


 電子マネーで決済した皆山さんはサンドウィッチと野菜ジュースを手にして、颯爽とヒールで歩く音を鳴らし店から出て行く後ろ姿を見送り、次に待つ客達を素早く捌いた。


 レジ待ちの客がいなくなり店内に客がいないゆっくりとした時間になって、気分が落ち着いた俺は今になって彩音と湊斗の姿を見なかったことを思い出す。


「2人・・いなかったな」


「・・りょうたく〜ん?」


 入り口側のレジで立ったまま国道を行き交う車を眺めていると、背後からご不満全開の声で俺の名前を呼ぶ香苗さんの声でゆっくりと振り返る。


「・・は、はい。香苗さん」


「ど〜して、お姉さんのヘルプにすぐ来てくれなかったのかな? いつもの諒太くんなら、コールが終わる前に来てくれてたのに」


「いや、それはですね・・その・・・・」


 香苗さんに彩音と湊斗のことを正直に話すか迷っていると、俺の反応に香苗さんは何かを察したらしい。


「ふ〜ん・・もしかして、さっきいた諒太くんと同じ学校のカップルが原因とか?」


「ぅ・・・・」


「・・・・ゴメンね。私、そんなつもりは」


「いいんです。俺は大丈夫です香苗さん」


「でも・・・・」


 何か言い掛けたところで男性客が入店しそのままレジに来て香苗さんがタバコ購入の対応をしたため話が途切れた。


「・・女の勘・・なのかな」


 小さく呟きながら気晴らしに、この時間帯はあまり売れないファストフードの何かを作ろうとフライヤーがある場所へと歩き香苗さんの後ろを通り抜けたところで右手を掴まれた。


「香苗さん?」


「ゴメンね、諒太くん」


「別にいいですよ。ただ、彼女が幼馴染の男と2人っきりでいたんで・・」


「えっ? あの子は、諒太くんの彼女だったの?」


「はい、今年の夏で1年目なんです」


「そう・・」


 なぜか悲しそうな表情をする香苗さんは、握っていた手を離し弁当コーナーへと歩いて行った。


「なんだったんだ?」


 香苗さんの反応がわからない俺はきくこともできず、そのまま冷凍庫からコロッケを取り出し決められた7分にタイマーをセットして調理開始ボタンを押した。


 外は薄暗くなり夕食時間前のこの時間は客足が途絶え、この暇な時間のうちに掃除と冷蔵コーナーの温度管理チェックを済ませ、隣でソワソワしている香苗さんと立ち話をして時間を浪費していると、ぶかつがえりの高校生がまばらに入店して来る。


「ねぇ、諒太くん」


「はい」


「あの子達も知り合いなのかな?」


「違いますね。同じ学校ですけど、名前もクラスも知りません・・ただ、顔は見たことあるかなーって感じです」


「そうなんだ」


 それから香苗さんとのバイト時間の終わりを迎える21時にオーナー夫婦が出勤し、業務の引き継ぎを終わらせてからユニフォームを脱ぎ制服に着替え外に出る。


 店の駐車場で香苗さんは水色の軽自動車に乗り込み、自転車で帰る俺は国道を走り去る香苗さんとを見送ってから住宅街の道を走り家に帰った。


「ただいま〜」


 家に入りリビングのドアを開けて入ると、テーブルの上に1人分の夕飯がラップに包まれ置かれてあったのを確かめていると、この部屋にいる家族に声をかけられた。


「おかえり〜」


「ただいま、那月。母さんは?」


「お風呂だよー」


 ソファでゴロ寝しながらテレビを見ている妹の那月に歩み寄り、黒く艶のある長い髪の頭を撫でる。


「そっかー母さんは風呂か。それで、今日は何味を食べてるんだ?」


「ん〜地域限定の塩梅味チップス」


 頭を撫でられ身を委ねる那月は目を瞑りながら、食べているチップスを俺の口元に1枚運んでくれるため、パクッと食べてみた。


「お兄ちゃんどう?」


「・・なかなかの味だな」


「でしょ? お兄ちゃんも癖になるよ?」


「かもなー」


 2枚目を食べたいと思えない俺は、那月の頭から手を離し夕飯を食べてから自分の部屋へと戻り部屋着へと着替えベッドに寝転んだ後に、数時間振りにスマホの画面を見ると彼女の彩音から数分前にメッセージが届いていた。


「バイト終わった?」


「終わったよー」


「おかえりー」


「ただいま。部活おつかれさまー」


「今日も先輩達は、厳しかったんだよー」


 彩音は、自然の流れで嘘をついていることに指先が止まり震えるも、返信が遅くなりすぎないよう俺はメッセージを作り送信する。


「センパイは試合が近いから、気合い入っているかもねー」


「絶対にそうだよ! 今日もボール見えにくいのに陽が沈むギリギリまで練習するんだよー諒ちゃんがバイトだから、暗い道を1人で帰るの寂しいんだからね?」


 彩音が今日は参加してない部活のことを言ってきた時点で、消し去ったはずの想いが再び頭をよぎりどんな返事をしようかと悩み考えていると時間だけが流れ、いつのまにか寝落ちしてしまっていたらしい。


 後頭部に振動を繰り返し感じたことで目が覚めた俺は、繰り返されるスマホの目覚ましを止めてから待ち受け画面の着信通知とメール件数がたくさんあることに慌てて開く。


「全部、彩音からかよ・・って、香苗さんからメッセージって珍しいな」


 彩音からのメッセージは全て俺を起こそうとする内容で、あってから一応謝ろうと決めてから気になる香苗さんのメッセージを開く。


「諒太くん、昨日の話しの続きなんだけど次のバイト終わった後に少し時間もらえないかな?」


「・・昨日の続き?」


 香苗さんのメッセージを読むも、その話しの続きが何だったか思い出せない俺は登校する時間が迫る2回目の目覚ましアラームを止めてから、素早く支度を済ませて学校へと向かったのだった・・・・。


 

 


気分転換に描いた作品です。




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