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アマネと彼女の母

アースマザーならぬ水星マザーに恐怖した

マジモンの洗脳手法がアニメで見られるとは思わなんだ

あとボブかわいそ…


エゼルカとケンゾウに気付いたウィンターフィールド女史は軽く頭を下げ、和やかに二人に近づいた。


(美人だなぁ!オイ!)


ケンゾウは少し舞い上がり始めていた。


エゼルカは即ケンゾウの尻をつねって警告し、正気に戻した。


「ウィンターフィールド商会を経営している、ミサト・ウィンターフィールドと申します」


ミサトは軽く自己紹介をした。


それを受けて、ケンゾウも自己紹介を始める。


「アリサカ商会を経営している、ケンゾウ・アリサカと申します」


「そして、こちらが…」


「妻のエゼルカ・アリサカと申します」


エゼルカが軽く頭を下げた。


まずはミサトが切り出す。


「常々アリサカ商会の噂は耳にしております。魔導製品の新規販売・買い付けのみならず、学者達を雇い開発まで行っているその先見性…とても素晴らしいですね」


(学者にしては歯の浮くような台詞だな)


「いやぁ…それ程でもありませんよ。基本事業で利益を確保しているからこその冒険ですから」


「ウチは貿易やインフラがメインで、魔導製品の開発・販売は卸売り事業の延長みたいな所があるんですよね…」


「なので、まだまだ事業規模は小さいですし、財務状態も健全とは言い難い所はありますな」


ミサトはふふっと笑ったが、目は笑っては居なかった。


「それより御社の冒険心というか開拓精神は恐ろしいモノがある…」


ケンゾウが言葉を続ける。


「まさかこの王国で魔道製品の開発・販売をメインにやるとは…嫌でも業界での噂は立ちますよ…」


ミサトは僅かに微笑むと、口を開いた。


「…海の向こうでは帝国政府が支援して、若手の事業家達に魔道製品の開発事業をドンドン立ち上げさせています」


「実は私は帝国西部の大学に留学していた事がありまして」


「…ほう。それは…」


「そこで学生の時に事業を立ち上げたのです」


ケンゾウは驚いた。


「最早こちらとは文化が全く違うとしか言い様が無いですな…」


「こっちの学生達は役人や軍人になるか、大商会に入る事しか考えてませんよ。エラい違いです」


「最近ではその風潮が少しずつ変わり初めてはいますが、まだまだと言った感じですな」


ケンゾウはグラスに入ったワインを一気に飲み干した。


「しかし起業の資金を集めるのはそう簡単な事では無いハズ…」


「…まさか冒険者の経験がおありで?」


ミサトは手を合わせると、ケンゾウに笑いかけた。


「…本当に素晴らしいですわ、アリサカさんは…」


エゼルカは一瞬で、この女学者を警戒した。


「貴方の商会は将来ウチの商会の強力なライバルになりそうですね…」


その言葉を聞いてケンゾウがニヤリと笑う。


「その時はウチの学者達と息子がお相手しますよ」


(良いわよ!アナタ!)


ミサキが何かに気付いたように言葉を返す。


「息子さんがいらっしゃるのですね。私にも娘がいますが…」


「商会を継がせる気はありません」


「えっ?」


ケンゾウは驚いて危うく、手に持ったグラスを滑らせそうになった。


「あの娘は商売にも学問にも向いていない」


ミサキは淡々と話を続ける。


「なら向いている人を探し出して任せた方が、合理的だとは思いませんか?」


「アリサカさんのご子息は優秀だと伺っております。なら世襲も道理でしょう」


ケンゾウは絶句した。


(この女一体何なんだ…!?…それに息子の事を何故…)


「…その辺りは見解の相違がありますな」


ケンゾウが反論する。


(アナタ!)


エゼルカが彼の上着の裾を引っ張る。


(ダメだ。コレは俺の経営者としての哲学に関わる。看過できない)


「…我が祖父から聞いている言葉があります」


「…なんでしょうか?」


「『立場が人を形作る。能力の差など、大した話では無い。如何に周囲の人間に恵まれるかだ』、と」


「…」


ミサトは表情こそ柔らかかったが、彼女の目には底冷えするような冷酷さが宿っていた。


「アリサカさんは案外ロマンチストでいらっしゃいますね」


「かもしれませんな。その分苦労も多い」


ケンゾウはその冷酷な瞳を正面から見据えた。


「…面白い時間を過ごせて有意義でした。では…」


そう言ってミサキは去って行った。

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