【閑話】それは、キット気のせいよ![サージス視点]
藤乃 澄乃様主催の
『バレンタイン恋彩企画』参加作品です。
バレン・タインデイの話を聞いた時、多分僕は貰えないだろうな、と思いながらも当日エレナを探していた。
僕は彼女に、一度告白しているけど本気にされていない。
原因は、僕の軽い言動にある。
本気なんだけどな。
まぁ、昔の僕を知っていれば、今の僕の言葉はふざけていると思われていても仕方がないけど。
ただ、人脈を広げる為には、明るくて軽くて話しかけやすい、相手を油断させて警戒されない。
そんな僕が、学園の中では必要だった。
中庭のベンチで空を見上げるエレナを見つけた。
そして、エレナからチョコレートを貰った。
友達にあげた余りだという事は分かっている。
それでも嬉しい。
メッセージカードには、「大好きです」って書いてあった。
友達には素直に好意を伝えるんだな、と少し羨ましく思ったけど、このカードを引き当てたのは僕だ。
家宝にします。
「エレナ!受け取ってもらえたよ!」
「マリ、よかったわね」
「私も、名前を覚えてもらえました」
「そう、ミリィ頑張ったわね」
エレナのクラスの友達が、結果を報告しに来たみたいだ。
僕は二人にベンチを譲って、後ろのテーブル席で見守る。
エレナが楽しそうで良かった。
貰ったチョコレートのラッピングをほどいて、中のチョコレートを一つ食べた。
幸せです。
幸せを噛み締めていると、エレナにマリと呼ばれていた子がニコニコしながら近付いてきた。
「サージス様、そのチョコレート、エレナから貰ったんですか?」
「そうだよ、君達にあげた余りを僕に恵んでくれたんだよ、エレナちゃんは優しいよね」
「なるほど、なるほど」
僕の返事を聞いて、何故かニヤニヤ笑いになった。
「どうしたの?」
「いえ、エレナが言ってたんですよ、手作りのチョコは安全性の問題で貴族の方にあげる時は、よほど親しくないと受け取ってもらえないから、お互い信頼できるようになるまで渡してはいけないって」
「え?」
「だから、エレナとサージス様は、とても親しくて信頼し合ってるんだな、と思って」
「え?本当に?」
「少なくとも、エレナにとって、無意識にチョコレートを渡せてしまう相手って事ですね」
「う……嬉しいです」
「サージス様、頑張ってくださいね。私達エレナにも幸せになってもらいたいので」
そう言って、彼女はエレナ達の所に戻って行った。
僕は机に肘をついて、火照る顔を手で覆った。
嬉しくて胸が熱くなる。
そして、誰も聞いていないけど、真面目な言葉で呟いた。
「エレナ、大好きだよ」




