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第六話 約束

キラーキャットが最期に腕を振り回した際、チロルは顔と横っ腹を爪で斬りつけられていた


傷はやや浅かったものの、結構な量の血が流れている

もちろん最初に切り裂かれた右肩からもである


「メロン…メロン!!!」


チロルは弱々しい声で叫ぶとメロンが目を覚ました


横にはキラーキャットが崩れ落ちている


「た…助かったの!?」

メロンがそう言うと同時にチロルは崩れ落ちた


「ちょっとチロル! ボロボロじゃない!」

メロンは涙目でチロルを抱き抱えた


「なぜ…おれの名前を…?」

蚊の鳴くような声でチロルは呟いた


「馬車で自己紹介したでしょ…っていうかしゃべらないで! もうすぐ王都から助けがくるはずだから」


メロンはチロルの傷を手でおさえながらそう言った


しばらくすると数人の兵士と冒険者達が駆けつけてきた

「おい大丈夫か! ってキラーキャット!? なぜこんな街道に…」


「この人重症です!」

メロンがそう言うと冒険者の一人が駆け寄った


「ひでぇ傷だこりゃ!とりあえずヒールかけるけど失った血は戻らないからな」


ヒールをかけてもらったチロルの傷口がゆっくり塞がってゆくがそれに安心したのか意識を失った





(あれ…知らない天井だ…ってここどこだ!?)


ゆっくり起き上がったチロルはベッドに寝かされていた

部屋を出ると階段があり降りていく


「おっ起きたか!」

そう言いながら男が声をかけてきた


「ここは…どこですか」


「冒険者ギルドだよ、名前チロルだっけ!? チロルが起きたら奥の部屋にいるギルド職員が今回の件のこと詳しく聞きたいって言ってたぜ」


「そうですか、ありがとう。行ってみます」


「あ、覚えてないかも知れないけどヒールかけてくれた奴にお礼言っときなよ! あそこのテーブルに座ってる奴だ」


「あ、はい!」

チロルはそう言うとテーブルに座ってる冒険者の元に行った

「あの…ヒールありがとうございました!」


「おう! 起きたか! いいってことよ、助け合いだ。オレがピンチの時は駆けつけろよ!」

男は笑いながらそう言ってきた


男としばらく雑談した後、奥の部屋に行きキラーキャットの報告を済ませたチロルは受付に向かった

冒険者登録の為だ


「あのー冒険者登録お願いします!」


「ようこそ冒険者ギルドへ! 私は受付のミーアと申します!登録はこの用紙にわかる範囲でいいので記入してくださいね」


(えーっと、出身地に名前と職業とスキル… あ、スキル2個あるけど剛腕だけ書いとくか…)


「あ、もう書き終わりましたか!? では見せてくださいね」

ミーアは用紙を受取りチェックした後こう言ってきた


「本来なら冒険者になるためには試験があるんですが、チロルさんはキラーキャットを二人で倒したという事で十分資格があると判断して試験は免除となってます」


ミーアは奥の部屋に行った後しばらくして戻ってきた


「はいこれがチロルさんの冒険者カードになります、どうぞ受け取ってください。なくさないようにね! あとキラーキャットの素材は、向こうにある買い取りカウンターで預かってるという事なので行ってみてください」


冒険者カードを手にしたチロルはミーアにお礼を言って買い取りカウンターに行った


「あの…」


「あ、チロルさんですね もう大丈夫ですか!? えーっとキラーキャットはこちらの独断で解体済みとなっておりまして…これが買い取り対象の部位です」


職員はそう言うとキラーキャットの爪と牙、そして毛皮をテーブルに並べた


「これらはすべてこちらで買い取りでよろしいでしょうか?」


「あ、えっと…はい。お願いします」


「では全部で金貨200枚となっております。どうぞ」


「はぇ? 200枚!?」


「キラーキャットは個体数が少なくて素材がなかなか出回らないので高めになっております」


「そ、そうですか…ありがとうございます」


チロルは200枚もの金貨を収納袋に入れたあとメロンの事を思い出した!

(そうだ…メロンと2人で倒したんだ。一人だったら勝ち目はなかった… 金貨半分渡さなきゃ)

慌てて受付カウンターに戻りミーアにメロンの事を聞いた


「あーメロンさんね、チロルさんと同じく冒険者登録を少し前に済ませて外に出て行かれましたよ。おすすめの宿屋を聞かれたので多分そこに行ってると思うけど…あ、チロルさんの事すごく心配してましたよ!」


チロルはミーアからその宿屋の場所を聞き、小走りで向かった

「えっと…この辺かな 宿屋まちぼうけ… あ、あれか!」


中に入ると一階は食事フロアになっておりテーブルが並んでいる

一番奥のテーブルにメロンが頬杖をついて座っているのが見えた!


「メロンさん!」


「あ、チロルだ。もう大丈夫なの!?っていうか呼び捨てでいいよ。まぁ座ってよ」


チロルはメロンと向かい合うように座った


「メロンありがとう! メロンいなかったら勝てなかった」


「うん、アタシも一人だったら死んでた!」

メロンは笑いながらそう言った


「んで、さっき冒険者ギルドでキラーキャットの素材のお金貰ったんだけど半分受け取って!」


「ええ…いいの!? アタシキラーキャットのお尻に矢を突き刺しただけだよ」


「いいに決まってるよ! じゃあこれどうぞ!」


金貨100枚入った袋をテーブルに置いた


「ほえっ!? すっごい…金貨100枚!? 半分って事は50枚もくれるの!?」


「ちがうよ! 半分がそれ! 100枚づつだよ」


「ふぇええええ…まじでいいの?」


「うん、ところでメロンも冒険者登録したんだって!? おれもさっき登録したとこ! よかったらパーティ組まない?」


「あああ…誘ってくれてありがとう! でもワタシ村に戻らなきゃ… 家の手伝いしなきゃいけないし。身分証明書が欲しかったから冒険者カード作っただけなんだ…ごめん」


「謝んなくていいよー! でもメロンと出会えてよかった」


「うん、ワタシもチロルに会えてよかった。もうすぐ日が暮れるから今日はここに泊まるけど明日には村に帰らなきゃ…あ、ロマネ村の道具屋の娘なのワタシ! 村に来る事あったら寄っていって! 安くするわよ!」


「アハハ、うん! オレはラドン村だよ!」


チロルはメロンとしばらく雑談したあと最後に再会を約束し握手をして宿屋を後にした


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