第一話 コピペ士誕生!
今日は15才になった子供達が教会で職を得る日だ
ここ王都の教会には色んな町や村から集まった15才の少年少女がすでに30人ほど列を作っていた
「君の得た職は魔法使いだ!」
教会の者がそう告げると少年は歓喜の声を上げた
「っしゃーーーーー!!!」
父兄席や列を成す少年少女から拍手が上がる
さぁもうすぐ俺の番がくる
俺の前にはラドン村の幼馴染の少女キュリが緊張した顔付きで並んでいる
「ねぇチロル…大丈夫かなワタシ…」
「どんな職でもキュリはキュリだよ」
そう話してると教会の者がキュリを呼んだ
「次の人どうぞ壇上へ…さぁこの石に手を置いて」
キュリが聖なる石に手を置いた瞬間眩いほどの光が周囲を覆った
「な…なんと…聖女!!!」
教会の者が声を荒げる
その声を聞き壇上の奥から偉い人が続々と慌てた様子で出てくる
聖女が現れたのは実に300年ぶりである
癒しの魔法はもとよりそこにいるだけで部隊全員に聖なる力を分け与える事で戦力を大幅に上げる事が出来る
また中レベルのゾンビのような敵に対しては聖属性魔法で瞬殺する事が出来る力を持つ
教会の者達は震える声で警備兵を呼び出しキュリの護衛をさせると同時に王城に使いを出した
キュリは何がなんだか分からないようだったが時間がたつにつれ状況が分かってきたのか全身を震わせている
父兄席からキュリの両親が呼び出され今後は家族全員ここ王都で暮らし、キュリを王族や貴族の子が集まる学園に入学させ最高峰の教育をさせる事が告げられている
王城から続々と騎士たちが教会に集まる
きらびやかな細工が施された黄金に輝く鎧に身を包んだ王国騎士長がキュリの前で跪く
「今後はわたくしどもがキュリ様をお守りします!まずは王城へお越しください。王がお待ちです」
そう言うとキュリを囲むように騎士達がガードし教会の外で待機させていた豪華な馬車にキュリとその家族を乗せて王城に向かって行った
チロルはあっけにとられた顔でその様子を見ていた
「キュリ…聖女ってすげぇ…」
ゴホンと軽く咳払いをした教会の者が声を発した
「では次の人…チロル君、壇上へ」
チロルはやや緊張の顔で壇上へと歩く
壇上に上がった余裕のチロルは聖なる石に手を置いた
聖女キュリと同じようにまばゆい光が周囲を…
覆わない!
「……チロル君、君の職業は…コピペ士!?…です」
教会の者たちは初めて聞くコピペ士に首をかしげている
「コピペ士ってなんだ!?」
地球から転生したチロルはコピペという単語を知っている
チロルは思った
(コピペってコピー&ペーストのことだよな…)
何をコピーできるのか…その時チロルはまだよく分かっていなかった