群像と青姦
『群像と青姦』
透明はどこまでも透明で
やっぱり僕は何も知らない
どこかで誰かが消えようと
透明はどこまでも透明で
青天に霹靂が走ろうが
群像は大して犯されない
たとえ僕の影が消えても
透明はどこまでも透明で
美学を孕んだ透明の犯行
『生活』
ノンフィクションに感動して
泣けた自分に驚いたが
やはり、それはアクビだった
それでも客観的に観れば
ぼくは至って尋常だろう
『僕たちは殴り合いになりたい』
ところで僕たちは殴り合いになりたい
その為には幾つかの条件が要る
まず力の均衡 一方的ではいけない
次に強いエゴ 信念がないといけない
そして最後に同じだけの痛みと恐怖
対等に傷を負う覚悟がないといけない
この迎合の世の中では対等が判らない
ただ悟った顔の奴らが俯瞰している
そこには怪しい優しさが蔓延っていて
それを信じないと狂人だと言われる
だから僕たちは殴り合いになりたい
己の存在の主張 その対価も自分へ
友達から遠慮なく殴られる幸せ
僕の存在を敵視して殴ってくれる幸せ
きっと僕はそのとき微笑んでしまう
「殴り合いなんてしたくないよ」
そう言いながら本当は
僕たちは殴り合いになりたい
そんな"アイ"になってみたい
ありがとうございました。
布団で寝ていると少しだけ暑く感じてきて、除けたらやっぱり寒い今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。今回の詩集は自分と他者や世界との関係をテーマに書きました。相も変わらず、明るく季節感のある詩でなく華がないですが、どうだったでしょうか。ちなみに、表題作の一連目は以前投稿した【三篇『アルシマ』】の『アイランド』と同じです。まあ、分かる人はいませんがね。
コロナが以前流行っているようなので皆さんもどうぞ、お気を付けて下さい。m(_ _)m