目が死んでる少年が成長してそれなりに強くなる物語を書いて欲しい
夜行バスが寝れなくて暇だったんです…
でもそれなりに眠かったから誤字脱字とか間違った表現とかがあっても笑って流してくださいな
青々と茂った木々によって日光が遮られ、わずかな隙間からの光しか与えられないほど深く暗い森
鳥の囀りや虫の鳴き声すらなく、あたりは異様な静寂に包まれている
おおよそ人が入り込んだ形跡はなく、むせかえるような緑の薫りが漂っていた
そんな中をまだ10歳にも満たない少年が一人歩いていた
細すぎる手足を漫然と動かし、木の根に足を取られ躓きかけながらも歩くのをやめようとはしなかった
よほど何か大きな意思があるのかと少年の眼を見てみるが、その眼は死人同然のものであった
少年の足取りは重かった
拓かれていない森を裸足で歩いているのだから当然である
それ以外にも身体には明らかに人の手によってつけられた傷跡が見受けられた
しかし少年の足取りの重さはそれだけでは足りない
少年は生贄に選ばれたのだ
ある小さな農村の近くの森、今少年が歩いている森の奥で竜を見たと村一番の猟師が告げた
そうなると人里に下りてくるのは時間の問題だった
すぐさま村民たちはどうするか相談をしたが、村には竜を相手取ることのできる優秀な冒険者を雇うほどの金はなかった
国に助けを求めるという案も当然出た
しかし、全員合わせても50人に満たない小さな農村を強大な竜から守るために兵士を国が、領が消耗するはずがなかった
なぜなら農村のあるナンデーモイイ王国は隣国ナマエオモイツカナーイ帝国からの侵略に兵力を割かれていたからだ
竜を相手するとなると一個大隊とまではいかないが、中隊規模は必要である
さらに言えば国に数十人しかいない魔導士は殆どの物理的な攻撃を弾く鱗を持つ竜の討伐において、有力な攻撃手段として必須である
それだけの戦力を、ただの農村を救うために、戦争中に寄越すはずがないという反論は提案した青年を黙らせるのに十分すぎるものだった
優秀な冒険者を雇う金は無く、国は助けてはくれない
自分たちはただの農民であり、畑を荒らす獣なら戦うが相手は生態系の頂点に立つ竜であるのだから戦おうなどという気すら起きない
そうして十分に沈黙が続いた後に生贄を出せばという声が誰かからボソリと呟かれたのだった
またしばらくの静寂の後、出たのは反対の声ではなく誰を生贄にするのだ、というものだった
そして、あいつはどうだ、俺は嫌だといったざわめきが大きくなり始めようとした時、死んでも問題ないのがいるではないかと言ったのは村長だった
そうして白羽の矢を立てられた少年だが抵抗も拒否もしなかった
するだけ無駄という考えが産まれて数年しか経たずとも染み付いてしまっていた
少年が産まれてすぐに母親が亡くなった
元々病弱だったため、少年を産んだというのは奇跡のようなものだった
父親は妻を愛していた
妻を亡くし、その手に残ったのは奇跡的に産まれてきた赤子だけだった
父親は産まれた赤子を少しの金とともに他の赤子のいる家に預け、妻が眠る家に帰っていった
数日後、父親は妻に寄り添うように死んでいたのを見つけられた
服毒による自殺だった
毒の元となる植物は森にあふれていたのに加え、遺書が机の上に置かれていたのもあり、すんなりと自殺として処理された
遺書には産まれた赤子に全ての財産を譲ることと、預けた家族に赤子が成長するまで財産を預けること、赤子の成長にその財産を使って欲しいことなどが書かれていた
預けられた家族は、しばらくはそれなりの金が赤子の両親から転がり込んできたため自分たちの赤子と同じように育てていたが、時間が経つにつれ少年に対する育児は丁寧さを損なっていった
そして少年の両親が残した遺産は少年では無く、その家の子供に使われるようになった
食事も、着るものも、寝床ですら満足なものを与えられなかった少年と、ただの農民にしては優良な環境を与えられた少年とでは大きく差がついた
両親が蔑ろにしている存在である少年を、両親から与えられて育った少年がどうするかは想像に難くない
同年代の子供たちを恵まれた環境で得られた身体によってしたがえ、ガキ大将とも呼べる存在になった少年は、弱者を淘汰すべく少年の小さな身体に容赦ない暴力を振るった
最初は痛みを与えられまいと抵抗した少年だったが、周りには自分よりもいい環境で育った子供しかいない上に、ガキ大将という抗うにはあまりに差がありすぎる存在まで居たのではもはや抵抗は無駄でしかなかった
むしろ自分が暴れるほど攻撃が過激になるのを少年は感じた
そうして少年は耐えることを覚えた
耐えれば過激になることはなく、一定の暴力で済んだ
ならばと少年は必死に耐えた
痛みに耐え、罵りに耐え、空腹に耐え、寒さに耐え、熱さに耐え、悪意に耐え、病気に耐え、不条理に耐え、不合理に耐え、理不尽に耐え、耐えて、耐えて、耐えて、耐えて、耐えればいつか、耐えてさえいればいつか
いつか何だと言うのだろうかと思ってからは耐えるという抵抗すらやめた
差が縮まるどころか開く一方のこの状況で何を期待しているのだろうと、このまま死んでいくしかない状況で何を耐えているのだろうと少年は思ってしまった
それからは何もしなくなった
暴力を振るわれても防御すらしない、暴言を吐いても耳を塞がず無表情で立ち尽くしている
ただ光の灯っていない眼でこちらをじっと見つめてくる
ガキ大将たちはそんな少年に恐怖を覚え、いつしか少年を避けるようになっていった
生贄に選ばれたのは避けられるようになってしばらく経ってからのことだった
少年は生贄に選ばれたことに対してほんの少しの苛立ちを感じたが、それもすぐに消えて生贄になることを受け入れた
そうして竜がいるであろう森を奥へ奥へと少年は進んでいるのである
森に入る前に、森に入ったらそのまま逃げてしまおうかとも考えたがやめた
途中まで猟師が後ろをつけてくると言うのが聞こえてきたためである
痛みを受けるのならば逃げずに死んだほうがマシだと少年は考えた
緩慢な歩みで、しかし着実に森の奥へと進んでいく少年は暗い森の奥に光を見つけた
同時に全身をぞわりと悪寒が走った
少年の眼には変わらず意思の光は灯らないが、本能は少年の身体を使って危険だと告げていた
ふと気づくと歯がガチガチと鳴っており、皮と骨しかない身体は震え、その身体のどこから絞り出しているのかというほどの汗が滝のように流れた
それでも少年の足は光の方へ進んでいるのだというのだから恐ろしい
そしてついに開けた場所に少年は辿り着いた
そこにあったのは生態系の頂点
だったものだった
もはや生物として正しい形は留めていなかった
広場は竜から流れている血で赤い湿地の様相を見せていた
獲物を容易く切り裂くはずの爪はその大半が砕けて散らばり、騎士たちの攻撃を弾くはずの鱗はボロボロになったものが広場のそこらじゅうで血に塗れていた
30mはあったであろう竜の巨体は頭、胴、左前脚、左翼、尾に分解されており、それぞれの切断面から絶え間なく血が流れている
断面部の鱗は、役割を果たすことなくスッパリと斬られていた
さらに胴体には右肩から左足の付け根までの切り傷があり、そこから内蔵が飛び出していた
少年はむせかえる血の匂いで濃密な死を認識させられ、ほとんど何も入ってなかった胃の中身を血の海に垂らした
少し落ち着いてから、一体何がこの絶望とも呼べる生物をこんな姿にさせたのかという疑問が浮かんだのと同時に、自分の身体が未だに何かに警鐘を鳴らしているのに気が付いた
内容物から目を逸らしつつ、本能に従って転がった胴の上を見てみると人影がある
人影は少年に気づいた様子を見せ、
「ん?なんだお前、迷子って感じじゃなさそうだな」
と、日常を感じさせる声色で少年に声をかけた




