姉の友達が誘ってきます…
夕方になってもカウンターから離れない女性陣。俺はキッチンから出るタイミングを逃していた。
なんでずっとここに居るの?
「それでさー、アイツ好き好き言ってたクセに別の男と付き合ってたのよ」
「うわーアイツも悪い女だねぇ」
「そうそう。アイツはモテるアピール凄いし、結構嫌われてるよねー。晩御飯何が良い? 私はオムライス」
「うどん!」
「ハンバーグ!」
「…統一して下さい」
結局オムライスを作る事になったので米を炊く。炊き上がるまで暇なので、逃げる様に2階にある自分の部屋へ行く事に成功した。
ドカッと椅子に座ってため息を一つ。
「やっと1人になれた…」
――コンコン。
「と思ったのに…はい」
「泰人君、入って良い?」
「…もう入ってますよね?」
律子さんがニコニコしながらの部屋へ入ってきた。
「へー」
俺の部屋を見渡していく。大きな本棚と机、パソコン、ベッドがあるシンプルな部屋だが、律子さんは嬉しそうだ。
俺は正直緊張している…姉を除いて女性が入る事など無かったのだから。
椅子から動けず、とりあえず手元にあった本を手に取る。
「本がいっぱいあるね」
「まぁ読書は趣味なんで」
「エッチな本は?」
「無いです。デジタル派なんで」
「ふーん。ねぇ…夜中に来て良い?」
「…それは、駄目です」
……心拍数が上がる。バクバクだ。
頭の中で、美人の誘いを断るのか? という俺と、そういう事は駄目だという俺が闘っている。
頑張れ俺。
「なんで? 良いじゃん」
「…夜中に何する気です?」
「もう、解ってるくせに」
律子さんはフフッと笑いながら俺に近付き、自然な動きで太ももの上に座りだした。
「なっ、えっ…」
太ももに柔らかいお尻が乗り、全体重が太ももに集中するが重くは無い。
これはヤバい…
突然の事で、完全にパニックだ…
律子さんが俺にもたれ掛かり、耳元に口を近付け…
「…エッチな事しよ?」
「っ!」
鼓膜にビリビリと響く艶のある声。
エッチな事…エッチな事…エッチな事…
耳に当たる吐息が理性を吹き飛ばす。
――バンッ!
「あー! やっぱりここに居たか! 律子! やめなさい!」
「ちぇー」
「ちぇーじゃないでしょ! もう、目を離したらこれだ!」
姉ちゃんが乱入。口を尖らせ、ムスーッとする律子さんの襟首を掴んでズルズルと連行していった。
去り際に律子さんが口角を上げ、俺にウインクをしていった。
「……」
なんだったんだ……悪戯なのか、遊んでいるのか、それとも本気? いやそれは無いな。
それにしても…柔らかかった…良い匂いだった…
「…ごちそうさまです」
良い思い出になりそうだ。