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仲間を想うのならやめろ。同類と思われる

 次の日、源に昨日のタイタンについて報告をした。

 誰かに愛されるというのは素晴らしい…という事を力説しようとしたが、源の無機質な視線に圧倒されて最後まで力説出来なかった。


「戸橋、お前は幾つの世界を救った?」

「あ? 三十は救っていると思うぞ」


「ふっ、そうか。では勇者よ、今こそ旅立ちの刻だ!」

「声デカイからほんとにやめて…」


 源…盛り上がるのは良いけれど…声がデカイ。クラスの皆はいつもの事なのでスルーしているが、俺は巻き込まれるので恥ずかしいんだ。

 源の言葉を訳すと『中級者向けのゲームを貸してあげるよ』という事なのだが、普通に言えよと思う。


「源…中村を見てみろよ」

「至って普通のゴリラだな。いや…今日は攻めているぞ!」


 中村は自分の席でカバンを枕に寝ている。よくもまぁあの大きな巨体で器用に寝るなぁと思うが、寝ている時は関わるなという合図なので起こさない。


「ゴリゴリに攻めているな。電子レンジ柄のパンツなんて何処に売ってんだよ」

「しかもあいつ絶対起きてんぞ。徐々にパンツが下がっていく」


 ただ半ケツはやめろ。それはただのセクハラだ。

 後ろの席…イケてるグループの石田理香(いしだりか)に半ケツアピール。

 イケてるグループへ半ケツという一石を投じるなマジで仲間を想うならやめろ。


「そういえばさぁ…戸橋ってウンコする時に叫ぶ派」

「叫ばないぞ。そんな事したらシャウトゾンビにクラスチェンジしてしまう…やめろ…パーンを…思い出させるな…くっ…ふっ…」


「青ひき肉狙撃…ぬっ…ふっ…」

 中村の――ぐおおおぉ!――を思い出してしまう。つられて源も自爆。

 笑いをこらえている為、ゾンビとサイコが「「ふっふっふっふっ」」と笑い…そしてゴリラが半ケツの様子にクラスメイトが全力で引いていたという夢を見た。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「じゃあまた来週な、アウロリサイコパス」「じゃあまた来週、エンシェント平日ゾンビ」「じゃあな、変態視姦ゴリラ」


 授業が終わり、いつもの通り軽く罵り合いながら帰宅した。


「ただいまー…誰も居ないか」


 俺の家は一軒家で両親と姉の四人家族。家族それぞれの部屋があるので、基本的に皆趣味に没頭している。


 あっ図書館行くなら、借りた本返さなきゃな…勉強に関係無い歴史書なんてなんで借りたんだろ…


 ――コンコンコンコン。

 姉ちゃんかな?

「はーい」

「やーすとー。お父さんとお母さん居ないからご飯作ってー」

「たまには作れよ」


「自分の味付けに飽きたから、他の人の味付けを食べたいの」

「なに結婚10年目の主婦みたいな事言ってんだよ。そもそも姉ちゃん料理ほとんどしないだろ」


「おねがーい…きゅるーん」


 姉が口を尖らせ、両手を前にして可愛いポーズをしている。少し恥ずかしそうにしているので、クラスの男子からしたら悶絶する可愛いさなのだが…俺には効果が無い。姉にときめくのはアニメの世界だけ。

 姉ちゃんとの思い出は…病院送りにされた思い出達だけだ


「恥ずかしいなら言うな…何が良いの?」


「麻婆豆腐!」

「材料が無い」


「ハンバーグ!」

「ひき肉が無いんだよ」


「じゃあ親子丼!」

「…はいよ」


 姉ちゃんと二人きりでの夕食。会話は少ないのは当然…俺の話題はゴリラとサイコパスだし、姉ちゃんの友達とかよく知らないから。

「やすと、入学してクラスメイトに友達出来た?」

「未開拓地帯を開拓してしまうと冒険心が無くなるじゃねえか。俺のパーティーはゾンビにヘタレの戦士と魔法の使えない魔法使いだぞ」


「…結局何が言いたいの?」

「友達という言葉をこの世から消せば救われる人間が沢山居るという事さ」

「なにそれ」

 身内ネタのジャンルが違うから、ボケがぶつからずにスレ違う。



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